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大統領に選ばれたバイデン氏へのIBM CEOからの書簡
2020年11月11日
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IBM CEOのアービンド・クリシュナは、次期大統領に選出されたジョー・バイデン氏に以下の書簡で選挙戦を祝福するとともに、IBMが次期政権と協働していきたいとしている政策の概要を伝えました。
2020年11月9日
次期大統領に選出された
ジョゼフ・R・バイデン殿
第46代米国大統領選出おめでとうございます。また、カマラ・ハリス氏の歴史的かつ画期的な次期副大統領選出についてもお祝い申し上げます。
土曜の午後のスピーチで、米国が直面する大きな課題に団結して取り組むことに言及されました。IBMは、新型ウイルス対策に科学を活用し、経済機会の拡大、民族平等の達成、危機的な気候変動に立ち向かうという大統領のビジョンを共有し、新政権とともに私どもの使命を果たしてまいります。
IBMはこれまで幾多の危機や大きな変化の際、大統領のビジョンを支持してきました。フランクリン・ルーズベルト大統領が社会保障法に調印した時、IBMは2600万人の労働者の記録を処理するシステムを提供しました。また、ケネディー大統領が、人間が月面に着陸することを目指すと発表した時も、IBMはアポロ計画を成功に導いたコンピューターを開発しました。そして今日、研究者が新型コロナウイルス感染症の潜在的な治療法の発見を支援するため、IBMはこれまでにない大量の演算能力の確保に取り組んでいます。
私たちはテクノロジーが進歩を推進する力になると信じています。この信念に基づき、技術的なイノベーションによって、全てのアメリカ国民に恩恵をもたらす政策の推進を提言をいたします。
新型コロナウイルス感染症対策への科学とテクノロジーの活用
新型コロナウイルス感染症対策本部を召集するにあたり、危機に迅速に対応できる民間セクターの科学者やコンピューティング資源で組織するScientific Readiness Reserveの創設を提案いたします。IBMはCOVID-19ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)コンソーシアムを組織し、新型コロナウイルス感染症治療に注力する科学のスピードを加速させています。
ご存じの通り、AIはがんやその他の疾患の治療において医師を支援するという重要な役割を果たすことができます。そこで、アメリカの科学研究者コミュニティーが官・民両方のAIツールにアクセスできるよう、National Research Cloud for AIの創設を提案いたします。
同様に、IBMは科学者に量子コンピューターへの専用アクセスを提供するため複数の国立研究所と協力する準備ができています。これは長期的には新薬の研究や発見を支援します。
団結やインクルージョンの推進、スキルギャップの解消
土曜日、アメリカの成功のため、教育と教育者が重要な役割を担うことを強調されました。IBMもそのことに賛同し、貴殿とご婦人、そして新政権とともにSTEM For Allを促進します。なぜなら、4年制大学の学位だけが成功への道ではないからです。急速に成長しているテクノロジーを活用する仕事では、技術実習や画期的な6年制高等教育など学業とキャリア重視のスキル教育を合わせた新しいトレーニングが含まれるべきで、これにより、デジタル格差を解消することができます。こうした目標に向け、協力させていただきたいと思います。
重要なことですが、技術的なスキルだけでは、構造的な人種差別や進歩への障壁をなくすことはできません。これが、IBMが全てのアメリカ国民にインクルージョンと機会均等の提供を支援し、平等法案、警察法でのジョージ・フロイド氏の正義の可決、若年移民に対する国外強制退去の延期措置(DACA program)の復活、ドリーム法案の成立を長年提唱している理由です。
デジタル・インフラストラクチャーのモダナイズ、サステナビリティーの推進
コロナウイルスの大流行とリモートワークの導入は、米国のデジタル・インフラストラクチャーが極めて重要であることを証明しました。急速な技術革新がもたらす可能性を十分に享受するために、新政権が連邦政府機関に対し、ITインフラストラクチャーとしてハイブリッドクラウドの導入を推奨することを提案します。データとサービスのよりよい管理を可能にするため、IBMが支援する銀行の勘定系や通信ネットワークなど、民間ではすでにこのアプローチを迅速に採用しています。
さらに、オープンな無線ネットワーク標準を通じ、オープンで、セキュアな5Gエコシステムを促進することを提案します。21世紀のデジタル経済に向けた現代的な連邦政府レベルのプライバシー法案の可決に向けて協力したいと思います。
より現代的なデジタル・エコノミーは持続可能な経済を牽引することができ、また牽引すべきです。IBMは、アメリカ合衆国が、パリ協定に再び参加することを強く支持するとともに、経済全体を対象とする炭素税の導入のために、貴殿と議会に協力する用意があります。
テクノロジーへの信頼の醸成
社会でテクノロジーが責任ある役割を担う点について話されましたが、私たちも同感です。IBMは、政府による、標的に的を絞ったピンポイント的な規制(precision regulation)によるアプローチが、イノベーションのスピードを損なわずに、新たなテクノロジーの利用に対する倫理的な枠組みを構築するのに役立つと考えます。
例えば、IBMは大衆監視、人種プロファイリング、基本的人権と自由の侵害に繋がる顔認証の利用、転用を規制するために協力する準備ができています。IBMは通信品位法230条の更新を提唱した最初のテクノロジー企業の中の一社で、有害で違法なオンライン・コンテンツを抑制するために、プラットフォーマーが適切な監視を行うことを求める規定(“reasonable care” requirement) を盛り込むことを提案しています。さらに、IBMは、国境を越えたデータの自由な流れを保護するための貿易協定における明確なルールの設定を支援しています。これは、オバマ政権以来、幅広く超党派で支持されてきた目標です。
IBMは新政権と今後数年にわたって協力していくことを楽しみにしております。
新政権の成功と偉大な国家の繁栄を心よりお祈りいたします。
アービンド・クリシュナ
IBM CEO
※この記事は米国時間2020年11月9日に掲載したブログ(英語)の抄訳です。
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