ダイバーシティー&インクルージョン

女性活躍推進を通じた男性の意識改革

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「すべての『個』が輝く働き方のできる組織づくりのために」
日本IBMでは、女性がキャリアを継続していく上で直面するさまざまな課題を社員自らが確認し、目標を掲げて、結果に結びつく施策を提言していくため、1998年に諮問委員会として「Japan Women’s Council(※JWCと記す)」を発足しました。

2019年からは初めて男性メンバーも参加し、新しい視点を取り入れた女性活躍の推進や管理職意識改革などの取り組みを実施してきました。ブログでは2020年JWC8期に参加した男性メンバーの思い、そして来年の9期への活動に向けて語ります。

 

JWCに男性が参加する意義とは?

2019年9月にJWC8期の活動は開始しました。メンバーは総勢32名、そのうち男性メンバーは6名です。最初は参加することに躊躇していた男性メンバーも、一人ひとりが少しずつ女性活躍推進への理解を深め、互いに議論し、アイディアを出し合うことで、多くの新たな活動が生まれました。

男性視点に立った管理職の意識改革セッションの実施、日本版Women Ally宣言の作成、「女性管理職の一歩を後押しするヒント」をテーマにした情報発信等がその一例です。

一方、参加した男性メンバー自身にも、JWCの活動を通じて様々な気付きがありました。この男性メンバーの意識変容そのものがJWCに男性が参加する意義の一つと言えます。

参加開始から1年半、男性メンバーの一人ひとりがIBMにおける女性活躍の推進、JWCに対する本音を語りました。


知ることから始めて、その後考える必要性

鹿内 一郎
鹿内 一郎
グローバル・ビジネス・サービス事業本部
クラウド・アプリケーション・サービス
シニア・パートナー

JWCに参加する前からダイバーシティーにかかる企業の課題はある程度知っていたつもりでした。しかし今になって思えば断片的であったし、何より自分自身が見て・聞いた事実に基づくものではありませんでした。JWCに参加し、IBMの女性の皆さんが抱える漠然とした、しかし、確実に存在感のあるモヤモヤや、数字にあらわれる男女の違い等、一緒に働く仲間の「生の声」を聞くことで、自分自身のダイバーシティーや女性の活躍機会に関する考え方も変わったと思います。

ダイバーシティーというテーマは、ステレオタイプな情報をもとに何かを考え始めるのではなく、まず正しく事実を知り、考える。このプロセスを徹底し、当事者として「策」を考え、推進していくべきテーマであると強く感じました。第9期のJWCも、また新たな事実をもとに、会社がよりよくなるような施策が検討されるはずです。それがどのようなものになるのか楽しみです。


女性「活躍」の意味合い

穴原 匡史
穴原 匡史
グローバル・ビジネス・サービス事業本部
戦略コンサルティング
シニア・マネージング・コンサルタント

JWCの活動にノミネーションされた自分は、女性活躍のためのサポーターであるのだろう、そのように活動してきていると認識されているに違いない、と思っていたのですが、それは大いなる慢心でした。JWCの活動の中の「Lean In」チームに参加し、女性が「一歩前に踏み出せる」ために何ができるのか、何が壁なのか、に耳を傾け、考える中で、ステレオタイプな価値観や固定観念がまだまだ自分の中にあったのだと気付かされました。

「女性の活躍を支援する」といっても、個々人にとっての会社での、あるいは生活の中での「成功」は違いますし、そのために必要なサポートも違います。今期の活動の集大成として、日本版のWomen Ally宣言を作成しました。この宣言文を作る過程で自分の中で何となく考えていたこと、何となく行動してきたことが言語化できたのではないかと考えています。一人一人に目を向け、その成功のために自分が何をできるのか、自分自身が「Lean In」を続けることが重要だと気付かされた1年半でした。


マイノリティになってみて気づいたこと

三田 寛之
三田 寛之
グローバル・ビジネス・サービス事業本部
金融デジタルイノベーション
アドバイザリー・プロジェクト・マネージャー

WC8期に参加して、通常業務や日頃参加しているコミュニティーでは知ること/気付くことのできない学びが数多くあったことが本当に学び深いものでした。一番の学びは、コミュニティー/ディスカッションの場におけるマイノリティの立場を強く実感したことに尽きます。

私が参加したチームは「女性が一歩前にでるためにはどうすれば良いか」というテーマで活動しており、主な議題は、私自身がその時点で知識としてもっていたことよりも、もっと多様で深い「女性の働きづらさ」に関する内容でした。女性メンバーたちは盛んに発言・議論されているのですが、自分はそれに理解を追いつかせていくのがやっとという感じでした。それでも「三田さんはどう思いますか?」と声をかけていただき、自分の考えを発すると「その観点面白いですね」と取り入れてもらえました。これを通じて、マイノリティの立場のひとが意見を発しづらいことと、それでも実はその意見は価値があるのだと体感しました。自分自身が他の場でマイノリティにあたる方の気持ちを汲み、意見をきちんと引き出す工夫をしなければと気づかされました。

JWCとしての課題は、女性活躍推進は社内総論賛成であることは間違いないものの、本当に適切に「実践できる人」を増やしていく必要がまだまだあると思います。そのために、JWC9期では、社員一人一人が自分の行動を振り返り/行動を変える意識を持つような機会を提供していくことに取り組んで行っていただきたいと思います。


まだまだ足りない!共感力と実行力

柴田 英喜
柴田 英喜
グローバル・ビジネス・サービス事業本部
インタラクティブ・エクスペリエンス
エグゼクティブ・ディレクター

私の専門はデザインという領域でデザイン思考というメソドロジーを活用し多くの課題を解決しカタチにすることを業務としています。そのアプローチは対象となる相手を深く理解、共感するところから始め、繰り返し試行錯誤しながら、課題を解決に導くものです。

JWCに参加し、多くのメンバーと様々な視点から現在の状況を見つめてみると、何気ない会話や対応において誤解や落胆を生むシチュエーションがあるなど、まだまだ多くの課題があること、女性活躍が進んでいないことを痛感しました。また自らの組織での女性活躍に関する議論に参加してみると、誰もが重要性に理解を示すものの、実際にアクションに起こしていく段になると、腰が重い、また実行できない理由が目立ってくるように感じました。

相手の気持ちを知ることはとても難しいことではありますが、改めて、相手の立場になって共感する、そんな相手を想像する力がとても大切だと再認識しました。そして何か問題を感じたのなら、変えてみる、やってみる、そんな実行力がとても重要だと感じました。


習うより慣れよ!

小林 義明
小林 義明
グローバル・ビジネス・サービス事業本部
製造・流通・統括サービズ事業部
シニア・プロジェクト・マネージャー

JWCでのこの1年の活動は、いくつもの気付きを与えてくれました。
活動に参加する前から組織が抱えるダイバーシティー&インクルージョンの課題は認識していたつもりしたが、活動の中で実際に多方面から女性のキャリアや働き方に関するモヤモヤした困りごとを見聞きし、これを解決する為に案作りをいざ開始してみると、JWC参加前の自身の認識はある一面に限ったものであったということを痛感させれました。

私のような現場のプロジェクトマネージャーや所属長のポジションは、まだまだ男性が占める割合が高いのが現状です。今後、今期の活動目的でもある「意思決定の場にダイバーシティーとインクルージョンを」の実現をより加速させていくには、会社としてのトップダウンでの施策はもとより、現場で女性社員と直接コミュニケーションを取るこのポジションの男性に多くの「気付き」をいかに持ってもらうかが重要になってくると考えています。

私が多くの気付きをもらえたように、次のJWC9期においてもより多くの男性社員を巻き込みながら、活動の輪を広げ、施策の議論・提言に繋げていただくことを期待してます。


「特別なことではなかった」でも、それを当たり前にすることが難しい

吉崎 貴哉
吉崎 貴哉
グローバル・ビジネス・サービス事業本部
コグニティブ・プロセス・サービス
アソシエイト・パートナー

私は、JWC参画直後のブログに「自分以外は全員女性という環境におかれてみると、男性が多数のときとは異なる議論や合意形成の流れについていけず、発言を遠慮している自分がいることに気づきました。」と記載しています。あれから1年以上経ちましたが、今となっては自然体で何も遠慮することなく活動しています。

そうなれた理由は2つあります。1つは周りを気にせず自分らしさを発揮しようと吹っ切ったから、2つ目は周囲の女性メンバーが(恐らく無意識的と思いますが)私の意見を引き出そうと気にかけてくれたからです。

また、JWCは、多くのメンバーが初対面、部門も職種もばらばら、上下関係なしという環境でした。その中でも、互いを理解し、あるメンバーが仕事、プライベートの事情で活動に貢献できない時期は他メンバーがカバーする。その分カバーしてもらったメンバーは活動に集中できる時に最大限貢献する。このような循環ができることで、各々の力が最大限発揮され、素晴らしいアイディアや結果が生まれたと思っています。

「ダイバーシティーが目指す姿」とは、まさにこの循環を生み出すことであると感じています。互いが違いを理解し力を引き出し合う。それが最高の結果に繋がる。特別なことではないですが、企業にとってこれを当たり前にするためには、多くの社員がこういった経験をすることが重要であり、そのためにJWCという活動を継続する必要があると強く感じました。

男性メンバーによる行動宣言

最後に、JWC参加経験を踏まえ、各メンバーにこれからの行動を宣言してもらいました。

  • 鹿内:勇気ある相談・提言に真摯に向き合い、個々の違いを受け止め、解決に向けた支援を約束します。
  • 穴原:男性アライとして、ひとりひとりの「成功」を理解し、必要なサポート、アクションを積極的に実施します。
  • 三田:JWCの経験で会社における女性の立場や悩みを理解し、活躍を促進する施策を企画・実行することを学べました。今後は女性はもちろん、他にも様々な観点で自分自身とは異なる立場にある方の意識や悩みを想像して共感するなど、日頃から相手本位のコミュニケーションをすることを一層心がけます。
  • 柴田:JWC8期に参加して、女性活躍推進、ダイバシティーについて自分ごととしてより深く考える機会となったことに感謝すると共に、様々な人に共感し、できること、すべきことを実行する、そんな組織、そんな自分になることを新たに決意したいと思います。
  • 小林:活動の中で自身が見て・聞いて・感じたことを、プロジェクト現場の男性社員に伝播させるべく、この年末の男性社員とのOne on Oneからアクションをおこします!
  • 吉崎:在宅勤務により一層関係が希薄になりがちですが、相手の個性、悩み、立場を理解し、強みを引き出すための丁寧なコミュニケーションを心がけます!

男性メンバーの参画を今後も継続すべき

この活動を通じて、男性メンバーの一人ひとりが、女性活躍、そして、ダイバーシティー&インクルージョンの本質に向き合い、自分がマイノリティの環境におかれて初めて見えてきた気づきがありました。

そして、全メンバーが口を揃えて言うことは、「参画して本当に良かった。一人でも多くの男性がこの経験をするべき」です。また、来期以降も男性陣を固定化させることなく、様々なタイプの男性を巻き込んで新陳代謝を促していくことで、議論や今後の活動をより活性化することができます。

先日、日本IBM社長である山口へのJWC活動報告で、私達男性メンバーはJWCへの男性の継続的な参加を提言しました。JWCは、性別の枠を越えて様々なバックグラウンドを持ったメンバーの意見を取り入れながら、すべての「個」が輝く働き方ができる組織づくりのために、これからもチャレンジを続けます。

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