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日本科学未来館の新館長選任に向けたご挨拶
2020年4月13日
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本日、JST(国立研究開発法人科学技術振興機構)より、日本科学未来館の新館長に選任されました、IBMフェローの浅川智恵子です。今から1年後の2021年4月1日から、日本科学未来館の運営を担うこととなりました。
日本科学未来館は平成13年(2001年)に開館し、東京お台場に設置されています。開館当初以来、館長は宇宙飛行士の経験を持つ毛利衛氏が務めており、私はその任務をIBMフェローと兼務する形で引き継ぎます。
日本科学未来館は「国民一人一人が、人間社会と科学技術の在り方を探り、文化の形成に果たす科学技術の役割と未来を示唆し合い、語り合い、理解し合う場」、との設立当初からの理念に基づき活動しており、東日本大震災など、いくつもの困難な局面もあった中、着実に発展を遂げ、今や世界的にも名前を知られる存在となっています。未来館は来年度(2021年度)から、次の10年間の長期ビジョンに向けた計画期間に入ります。来年4月から館長として、その10年間のかじ取りを任される立場となりました。私が館長として、就任後取り組みたいと考えていることが、2つあります。
第一に、「誰一人取り残さない」社会の実現に、科学技術を通して貢献することです。
2023年はSDGs達成の目標年です。SDGsの重要な目標は、「誰一人取り残さない、ダイバーシティー(多様性)を大切にするインクルーシブな社会の実現」です。私自身、女性でかつ視覚に障がいを持つというダイバーシティーを自分の強みに変え、これまでアクセシビリティの研究開発に取り組んできました。これにより、微力ながらこうした価値観を日本だけでなく、世界の方々にご理解いただくきっかけ作りに寄与できたのでは、と感じています。未来館の館長として、これまでの研究をさらに発展させ、館内において新たに研究室を設置し研究を展開することで、女性や障がいを持つ方々、そしてあらゆる年齢層の方々にとって来館しやすい環境づくりに尽力していきます。
第二に、Society5.0が進展する中で、未来館自身をその実験場とすることです。
2030年に向け、AIの技術が交通や住宅などの身近なものと融合し、社会のデジタル化はますます進化するでしょう。これまで、世界のテクノロジーをリードするIT企業で最前線の研究活動に従事しており、特にこの6年間は多国籍なメンバーと共に海外を拠点として研究を推進してきました。こうした経験をベースに、未来館が、インクルーシブな未来社会をいち早く体験し、社会に実装する道筋を皆さまと共に構想する場となれるよう、展示や情報発信などのさまざまな活動に、全力で取り組んでいきたいと思います。
館長就任までの1年間において、2030年までの長期ビジョンを描いていく中で、未来館の進むべき道を示していきます。新しい未来館にぜひご期待ください。
※JST(国立研究開発法人科学技術振興機構)プレスリリースはこちら
浅川 智恵子(あさかわ ちえこ)略歴
- IBMフェロー、IBM T. J. ワトソン研究所、IBMコーポレーション(IBM Fellow, IBM T.J. Watson Research Center, IBM Corporation)
- IBM特別功労教授、カーネギーメロン大学(IBM Distinguished Service Professor, Carnegie Mellon University)
小学校時代にプールでの怪我がもとで徐々に視力が衰え始め、中学2年生の時に失明。大学卒業後日本ライトハウスでプログラミングを学ぶ。
日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)東京基礎研究所に入社
日本語デジタル点字システムを開発
史上初の実用的な音声WEBブラウザ、IBMホームページリーダーを開発
厚生労働大臣賞
東京大学 大学院工学系研究科 先端学際工学専攻 博士課程修了、博士(工学)取得
日本IBMでは史上3人目のIBMフェローに就任
文部科学大臣表彰
ICT超高齢社会構想会議 構成員(総務省)
紫綬褒章
米国カーネギーメロン大学 IBM 特別功労教授に就任
2020ワールド・ロボット・サミット実行委員会諮問会議(経済産業省)
視覚障がい者の屋内ナビゲーション技術Navcogを発表
米国National Academy of Engineeringメンバー
米国IBM T.J.ワトソン研究所に移籍
全米発明家殿堂入り
米国盲人協会 ヘレンケラー・アチーブメント・アウォード
視覚障がい者のためのナビゲーションロボット、AIスーツケースを発表
参考リンク
女性技術者がしなやかに活躍できる社会を目指して 〜IBMフェロー浅川智恵子さんインタビュー
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