イノベーション

急速に変化する世界で事業継続性を支援するDynamic Deliveryモデルによってデジタル・リインベンションを加速

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新型コロナウイルス感染症による混乱で、多くの企業がコグニティブ・エンタープライズやハイブリッド・マルチクラウドへの移行を加速することになりました。

新型コロナウイルス感染症の影響が世界中に広がるなか、変革のジャーニーは中断されてしまい、企業は、重要なビジネス運用を継続させながら、従業員を自宅に避難させることで対応してきました。また、オフィスのポリシーを変更して、バーチャルでの社員のエンゲージメント・プロセスを展開し、業務を効率的にバーチャルで進めるためのコラボレーション・プラットフォームをすぐに採り入れました。この変化し続ける世の中では、事実上距離感が同じ世界で分散化され、自己啓発するチームへシフトし、オフィスの物理的な境界はなくなっています。

しかしながら、企業がニューノーマルに適応するなか、Digital Reinvention®(デジタル・リインベンション)とクラウドの採用を加速しようとすることが、組織の成長のための重要な原動力となっています。

デジタル・リインベンションに対するIBMの構想では、ハイブリッド・マルチクラウドによって支えられたインテリジェント・ワークフローを備えたCognitive Enterprise™(先進デジタル企業)を描いています。ただし、リモートで、非対面の働き方という未知の状況で先に進めるには、仮想型作業と物理型作業の両方に対応した事業継続性を支援するデリバリー・モデルが必要です。

IBMでは、お客様が新たな要件に対応して持続的な価値を引き続き高められるように、サービス・デリバリー・モデルを発展させ、強化しました。この包括的なモデルは「Dynamic Delivery」と名付けられました。技術的基盤やネットワーク上の人材を、AIと自動化で強化されたバーチャルな方法に統合して、変化するビジネス状況へ迅速に適応できるようサポートしています。単なるバーチャル・コラボレーションやプロセスの自動化だけにとどまりません。これはニューノーマルにおいて、企業が価値を実現するために必要な次世代サービス・デリバリーであることを表しています。

「Dynamic Deliveryになくてはならないのは、従業員の意欲を引き出し、力づけること、バーチャルでも心を動かすリーダーシップ、柔軟で利用可能な専門知識、相互接続されたデジタルのナレッジ・プラットフォームやプロセスに注力することです」。企業はDynamic Deliveryを導入することで、タイムラインに対する信頼性を上げ、人材のオーケストレーションと最適化、コスト削減、先進デジタル企業になるための、デジタル変革ジャーニーの加速を実現することができます。

Dynamic Deliveryには、3つの主要コンポーネントがあり、それぞれに3つのケイパビリティーがあります(下図を参照)。

  • 非対面のサービス提供(Contactless Delivery)
    高度な自動化とシームレスなバーチャル・コラボレーションにより必要な方法とツールのフレームワークを使用します。
  • クラウド上のデリバリー基盤(Human in the Network)
    柔軟なサービス・デリバリー・モデルに必要な技術要件に対応します。
  • ネットワーク上の協働(Delivery Foundation)
    バーチャル・チームの構築と管理、新しいエンゲージメント方法の開発と導入、リーダーシップ・モデルの強化、クラウド・ベースのナレッジ・マネージメントを実現するためのロードマップを提供します。
  • これらのコンポーネントとケイパビリティーは、パンデミックの初期のころからIBMが世界中で自社の運用を仮想化し、多数のクライアント・エンゲージメントを成功させてきた経験から得た洞察に基づいています。

    Dynamic Delivery3つの主要コンポーネントがと3つのケイパビリティー解説図

    このパンデミックにおいてIBMがお客様のサポートを続けるなか、「私たちは二度と準備ができていない状況にはしない」というコメントを何度も耳にしました。独自に対策する場合でも、経験豊富なサービス・プロバイダーに依頼する場合でも、将来に向けて備えを充実させる行動がいくつかあります。
    最初に、上図に示されている9つの各コンポーネントについて以下のアクションを開始することをお勧めします。

    1. ギャップ・アセスメントの実施。業務内容を確認し、バーチャル・デリバリーに適したものとコロケーションが必要なものを判断します。このギャップ・アセスメントは、デリバリー変革の開始点となります。
    2. 標準の策定。バーチャル・ワークを可能にするために、ネットワーク、ツール、ITサポート、バーチャル・オフィスの構成といった自社のインフラを見直します。
    3. ロードマップの再設計、作成、導入。9つのコンポーネントにわたってポリシー、プロセス、ツール、イネーブルメント、ガバナンスを設定します。
    4. 強力なガバナンスと評価のシステムの作成。透明性とコラボレーションを支援するプラットフォームによりデジタル・ダッシュボードを導入します。これは、組織でDynamic Deliveryモデルが広く採用され、受け入れられるために不可欠です。
    5. 組織でデリバリーの変革を検討する際、以下の質問を検討してください。
    6. お客様やベンダーとのリモートでの対話やエンゲージメントのために、新しいケイパビリティーを確立していますか?
    7. 会社のインフラ、ポリシー、ITサポート・プロセスは、拡張性や法令準拠を担保したデリバリーをオフィスやこれまでとは違う場所から実施できるように整備されていますか?
    8. 異なる場所でのシームレスな運用を可能にするデリバリー・プラットフォームはありますか?そのプラットフォームは、パートナー企業間で展開できるように拡張性があり、相互運用可能なものですか?
    9. セキュリティー対策は十分で、新しい働き方に組み込まれていますか?
    10. 従業員の採用、オンボーディング、育成、評価、エンゲージメントのプロセスは、バーチャルと対面を組み合わせて再定義されていますか?
    11. バーチャル・デリバリーのキャパシティー管理とデプロイメントのプロセスをどのように実施していますか?
    12. シームレスなバーチャル・デリバリーを実現するために、ナレッジ・マネージメントのツールとプロセスを制度化していますか?
    13. 中断が発生した場合、バーチャル・デリバリーが実施できるように、業務の実行や方法は、自動化され、運用可能になっていますか?
    14. パートナー企業やベンダーとの契約プロセスはどの程度デジタル化され、ベンダー管理プロセスはどの程度バーチャルに実施されていますか?
    15. デジタル・ダッシュボードなど、バーチャルでの業務遂行のために、どのようにガバナンスを対応させていますか?

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Sreejit Roy
Sreejit Roy
Senior Partner, Move and Build Cloud Application Services, IBM Services
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