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IBM BlueHub:共創するIBMメンバーを徹底解剖!

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IBM BlueHubは日本IBMが推進しているスタートアップとの共創プログラムです。テクノロジーとオープンイノベーションで日本発の革新的事業の創出をご支援しています。今回は第7期を募集するにあたり、本プログラムの取り組みについて取材していただきました。

過去のプログラムでの事例をもとに、IBMとの共創の現場に迫る!

先日、日本IBM(以下IBM)がスタートアップとの共創を通じて革新的なビジネスの創出を目指すプログラム、IBM BlueHubの第7期開催が発表され、4月26日よりエントリーの受け付けが開始された。(プログラム詳細はこちら/応募締切:2021年6月30日)

2014年から始まったIBM BlueHubは、過去6回のプログラムで約30社の企業を採択し、多くの共創事例、資金調達実績を生み出してきた。7期目となる今回は、スタートアップとIBMのタッグを強化すべく、各事業部門も参画する体制が構築されたほか、6期までと同様、IBMテクノロジーの無償提供、VCメンターによるビジネスメンタリングといったメリットを享受することが可能だ。

また、コンサルタント、Go-to-Marketに精通したセールスのメンバー、デザイナー、研究者など、多様な専門領域を持つIBMメンバーとの共創も、引き続きスタートアップにとっての大きな魅力となる。

今回TOMORUBAでは、過去のIBM BlueHubのプログラムの現場で、様々な採択企業との共創に取り組んできた5人のIBMメンバーへのインタビューを実施。過去のプログラムでの実際の事例や、共創するメンバーから見たプログラムへの参加のメリット、マッチするスタートアップのイメージなどについて詳しく伺った。

※プログラム詳細についてのインタビュー記事はこちら

濱口悟氏

▲濱口悟氏(クラウドアプリケーションアーキテクト)
保険・金融・電気業界の基幹システム構築・運用を担当後、流通業界・ヘルスケア業界・電気業界向けの画像情報解析やLPWA・IoTセンサー開発、ブロックチェーン等の先進技術の実証実験、ハッカソン支援活動に携わる。現在はIBM Cloud上の仮想基盤で金融機関の基幹システム構築プロジェクトに参画中。IBM BlueHubでは歯っぴー(5期)、Datumix(6期)などとの共創を担当。

岡村健一氏
▲岡村健一氏(デジタルビジネス戦略/若手組織リーダー)
事業戦略コンサルタントとして10年以上の経験を持ち、デジタルテクノロジーを活用した全社改革、新規事業に関するプロジェクトなどを多数成功に導く。直近ではブロックチェーン関連のプロジェクトに参画し、金融業界や消費財メーカーへのコンサルティングに従事。現在はGBS Associates Program(新卒者の採用・育成プログラム)の日本における責任者も兼任。IBM BlueHubではトラジェクトリー(4期)、pickupon(5期)などとの共創を担当。

松谷和明氏
▲松谷和明氏(クラウドアプリケーションパートナー)
インフラストラクチャー・エンジニア、アプリケーション・アーキテクト、ビジネス・アーキテクトを経験し、2014年よりIBM Cloudサービス、2017年よりマルチクラウド・サービスをリード。IBM BlueHubではクラスター(2期)、ナーブ(3期)、フレンバシー(4期)、pickupon(5期)、Gemsmith Partners(6期)などとの共創を担当。クラウドを中心とした実装技術やエンタープライズの経験からスケールすることを想定した非機能要件やアーキテクチャー設計などの観点でアドバイスを実施。

山本博人氏
▲山本博人氏(インタラクティブエクスペリエンスコンサルタント)
2007年IBM Business Consulting Services入社。2009年事業統合に伴い、日本IBM入社。GBS製造部門コンサルタント、GBS製造部門ソリューション営業マネージャー、GBS Interactive Experience(iX)、シニアマネージングコンサルタント、iX Associatesリーダーなどを経験し、製造業向け顧客接点領域のコンサルティングを得意とする。IBM BlueHubではチュートリアル(5期)、Datumix(6期)などとの共創を担当。

渡邉翔太氏
▲渡邉翔太氏(事業戦略コンサルタント)
自動車・重工業・電機・通信・金融・不動産・製薬等、様々な業界の企業に対し、中期経営計画策定、マーケティング改革、販売戦略、営業BPRなど、幅広いテーマのコンサルティング経験を有する。デジタル技術を活用した新規事業の立上げを専門領域とし、2018年より広告代理店ADKと日本IBMの戦略的パートナーシップ「alphabox」プログラムを担当。IBM BlueHubではGemsmith Partners(6期)などとの共創を担当。

AI、フィンテック、クラウド、セールス、事業戦略…それぞれ専門領域を持つIBMメンバーの素顔

――まず、IBMの皆さんの業務内容や得意分野、そしてスタートアップに対して支援できる領域などについてお聞かせください。

濱口氏:お客様の基幹系システムのインフラ構築を担当しているほか、画像をAIで分析して様々な診断を行うサービスの提供などでご支援してきました。スタートアップとの共創でも、画像診断やAIの鍛え方、統計の取り方についてサポートできるほか、アプリケーションのプロトタイプ開発の手法、クラウド上のアプリケーションに組み込むべき機能などについてアドバイスできます。

また、業界としては流通とヘルスケアに加え、金融・保険の大型案件も担当しているのでフィンテックについてもサポートできます。

岡村氏:私は約10年にわたって事業戦略系のコンサルティングを担当しています。直近ではブロックチェーンのチームに所属し、金融業界や消費財メーカーのお客様をご支援してきました。また、前職ではエンタープライズ向けのプロダクトを提供する会社に在籍していたので、事業戦略やブロックチェーンに加えて、プロダクトのコンセプト整理なども得意領域としています。

IBM BlueHubに参加するスタートアップは、プロダクトやプロトタイプがあったとしても、市場にローンチできる状態にまで至っていないフェーズが多いこともあり、「これは確かに凄そうですが、どうやって売っていくんでしたっけ?」といったようにあまり押し付けがましくならない程度に、ディスカッションの壁打ち相手になりながらサポートしていくことが多いですね。

松谷氏:ここ数年はIBM Cloudのサービス部隊で仕事をしていますが、アーキテクトとして20年のキャリアがあるので、システムやソフトウェアの作り方、それらに関するアプローチの手法、クオリティの作り込みといった領域を得意としており、IBM BlueHubでもテクニカルメンターという立ち位置で共創を担当しています。

VCメンターの方々が事業計画や資金調達面をアドバイスする傍らで、私はIT関連のプロダクトをスケールさせるためのテクニカルな部分でのサポートを行うなど、スタートアップのプロダクト強化に軸足を置いて活動しています。

山本氏:グローバル・ビジネス・サービスというサービス部門のなかで、これまで製造業のお客様へのコンサルティングや提案・営業に携わっていましたが、ここ数年はiX(インタラクティブ・エクスペリエンス)と呼ばれるチームでデジタル・マーケティングなど顧客接点領域を担当しています。

そのため、スタートアップが顧客にプロダクトを提案する際の営業や提案のアドバイスから、スタートアップと社内の各セールス部門と連携した共同提案の検討、さらにはIBMのお客様との連携などまでサポートしてきました。

渡邉氏:事業戦略コンサルティングを担当するチームに所属しており、お客様の中期経営計画の策定、製品・サービスのマーケティングや販売戦略策定、さらには新規事業立ち上げなどを支援しています。直近では自動車業界が長く、CASEと呼ばれるような領域についてのマーケットリサーチやビジネスモデルの構築に携わっています。

スタートアップとの共創では、既存サービスとの差別化やユースケースの洗い出し、市場投入へのロードマップ策定といった戦略的な部分を一緒に作っていくことが多いですね。また、広告代理店のADK社と共に仕事をする機会が多いので、ブランディングやビジュアライズといったコミュニケーション領域についてもサポートできると思います。

――松谷さんなどが担当している技術面での支援に関してはIBM Cloudなど、IBMの製品・サービスを活用したサポートがメインになるのでしょうか?

松谷氏:初期のIBM BlueHubでは、「IBMのサービスを使ってくださいね」というスタンスが全面に出ていましたが、現在は「何がなんでもIBMのサービスで」ということはないですね。クラウドに関して言えば単なる置き場所に過ぎないので、AWSでもAzureでもGCPでも構いません。

それよりもWatson のようなAIであったり、開発言語やデータストア周りであったり、クラウド上でどのようにプロダクトを作っていくのか、どのような技術を組み合わせていくのか、という観点でアドバイスをさせていただくことが増えています。

過去のプログラムにおけるスタートアップへの伴走支援事例を紹介

――過去のIBM BlueHubにおけるスタートアップへの具体的な伴走支援事例について教えてください。

濱口氏:私は5期のプログラムで、スマホの画像で歯周病をチェックできるプロダクトを作っていた歯っぴー社との共創を担当しました。歯っぴー社の小山さんは技術畑の出身であり、ハードウェアには強かったのですが、ソフトウェアの開発に課題感をお持ちでしたので、クラウド活用やソフトウェア周りのサポートをさせていただきました。

IBM Cloudや画像認識サービスの使い方をマンツーマンでレクチャーしたほか、機械学習のための画像分類器の作り方やトレーニングの方法、さらにはデータの集め方などについてもアドバイスしました。歯周病チェックのプロダクトなので歯のデータが必要だったのですが、歯形も個人情報になるため、なるべく問題のない方法で収集する必要があったので、アドバイスとディスカッションの結果、最終的には大学病院などを当たっていただいて、データを集めることができました。

――濱口さんは医療・ヘルスケア分野についても知見があったのですね。

濱口氏:以前、動物の白内障を画像で診断する案件を担当していたので、歯っぴー社の歯周病の画像診断についてもアドバイスをしやすかったという面はあると思います。歯っぴー社は5期のデモデイで審査員特別賞を受賞し、プログラム終了後も医療機関と組んで実証実験を進められているということで、私としても嬉しく思っています。

5期デモデイで特別賞を受賞した歯っぴー社の代表・小山氏
▲5期デモデイで特別賞を受賞した歯っぴー社の代表・小山氏(デモデイレポート記事より)

――岡村さんはいかがでしょうか?

岡村氏:プログラム中にメンタリングの中心的存在となるのはVCですが、私もVCとスタートアップのディスカッションに同席します。そこで何かお役に立てると感じることがあれば随時アドバイスをしています。

その定例のディスカッションを有意義なものにすべく、「このように考えて、このように振る舞ったらいいと思いますよ」など、コミュニケーションの取り方などについて助言することもあります。

――岡村さんはトラジェクトリー社(4期)、pickupon社(5期)のとの共創を担当されていますね。両社に対して具体的に行った支援などについて教えてください。

岡村氏:ドローンの航行ルートを自動生成・自動誘導するプラットフォームを開発していたトラジェクトリー社については、プロダクトに機械学習を組み込める可能性があるということで、IBM社内から機械学習の専門家をアサインしてディスカッションの場を設定しました。そのほかにもエンジニアやコンサルタントなど、彼らの要望に応じて社内から様々な専門家をアサインし、協議の場をセッティングしましたね。

また、音声認識による営業支援ツールを開発していたpickupon社に関しては、シナジー創出の可能性を考慮してIBM社内のSalesforce導入支援の部門を紹介したほか、pickupon社の提案先として可能性があるお客様の担当営業も紹介しました。このように技術面、営業面の双方でスタートアップの皆さんが必要とするネットワークをアレンジさせていただくケースが多いです。

5期で採択されたpickupon社の代表・小幡氏
▲5期で採択されたpickupon社の代表・小幡氏。(インタビュー記事より)

――松谷さんもクラスター社(2期)、ナーブ社(3期)、フレンバシー社(4期)、pickupon社(5期)、Gemsmith Partners社(6期)など、数多くのスタートアップを担当されていますね。

松谷氏:私が初めて担当したクラスター社は、VR技術を活用したアバターでのイベントプラットフォームを作っていました。スマホから送られてくる大量のチャンクデータを扱うのですが、当初は彼らも10数名程度のイベントを想定していため、HTTPプロトコルの使用を考えていました。

一方、IoT関連のプロジェクトを日常的に手掛けてきたIBMは、工場から送られてくる大量のチャンクデータをライトに送ることが可能なMQTTというプロトコルをプロダクトとして持っていたため、彼らにもMQTTの活用を勧めました。結局、プログラムが終わる頃には、クラスター社のプロダクトは500〜1000名規模のイベントにも使われるプロダクトに成長していたのですが、MQTTを採用していなければ対応は難しかったでしょうね。

――松谷さんとIBMの技術支援が、そこまでの規模に対応できるプロダクトにつながっていそうですね。

松谷氏:他にも、6期で担当したGemsmith Partners社は「fractal」というAI組込み型のプロセス・オートメーションをプロダクトとして持っていました。彼らについては技術的なノウハウを自分たちで保有していたものの、つい最近まで学生だったメンバーがメインだったので、特許の取得など中心に「自分たちの技術をいかにプロテクトしていくか」についてもディスカッションしました。

また、情報をインプットするデータケースに関しては、「正しいデータを与えるだけでなく、間違った情報もインプットすることで、より幅広い対応ができるのではないか」というアプローチの方法についても、結構な頻度で話し合ったことを覚えています。

――山本さんは、チュートリアル社(5期)、Datumix社(6期)との共創を担当されたと伺っています。

山本氏:チュートリアル社はプログラムの開始時点で「Robotic Crowd」というRPAのプロダクトを持っていたので、一緒に売り先を探すというフェーズから伴走支援を始めました。最初はIBMのアウトソーシングサービスを活用いただいている大企業のお客様向けに、コスト削減を目的とした「Robotic Crowd」の導入を提案しようと考え、いくつかのセールス担当チームと協議していました。

また、RPAのPoCにトライしたいと考えているお客様に対して「Robotic Crowd」を提案するなど、IBMのドアオープナーとして活用できないかという話も進めていたのですが、結論として「Robotic Crowd」は、その段階では大企業よりもベンチャーなどの新興企業に向いていることがわかり、売り先を変えていくことになりました。

――山本さんとIBMの支援がなければ「どのセグメントにフォーカスするか」の仮説検証もできなかったかもしれませんね。

山本氏:また、6期のDatumix社は、EC特化型の物流最適化プラットフォームを持っており、それをIBMのお客様に拡大展開することも模索しました。

当初の彼らはサイバー空間内にフィジカル空間の環境を再現する“デジタルツイン”など、特定のキーワードをアピールする営業戦略を取っていました。私自身もソリューションセールスを経験していたので、お客様へのアプローチなど営業の現場で行っている手法を基に、「ターゲットとするお客様の役職や、彼らが求めるKPIにマッチしたストーリーで提案しましょう」とアドバイスをしたり、一緒に提案書の構成などを検討したりしました。

――渡邉さんは松谷さんと同じくGemsmith Partners社(6期)との共創を担当されたようですね。

渡邉氏:Gemsmith Partners社は、いま流行りのノーコードでRPAの対象となる特定の業務をGUIで組み立てられるソリューションを持っていましたが、プロダクト自体を「どんな業界のどんな業務に当てはめればよいか」というユースケースを検討している段階でした。まずはターゲットユーザーを決め、ユースケースを決め、どのような収益モデルでビジネスを行うか、その検討のためのフレームワークを提示しながら一緒に考えていきました。

また、同社のプロダクトは一般の方々にとって取っ付きにくい印象もあったので、デモデイのプレゼンテーションに向けて、「いかにわかりやすく伝えるか」という観点でのアドバイスもさせていただきました。

――渡邉さんはスタートアップへのメンタリングに関して、どのようなことに気を遣っているのでしょうか?

渡邉氏:プロダクトアウトの発想ではなく、実際に適用可能なユースケースを検討した上で、ターゲット顧客から見たプロダクトの価値について考えてもらうことを重視しています。私の場合は技術よりも、ビジネス的観点・UX観点からアドバイスをさせていただくことが多いですね。

6期で採択されたGemsmith Partners社の最高経営/技術責任者伊藤氏(左)と技術部長近藤氏(右)
▲6期で採択されたGemsmith Partners社の最高経営/技術責任者伊藤氏(左)と技術部長近藤氏(右)。(インタビュー記事より)

共創の現場から見るIBM BlueHubの参加メリット、マッチするスタートアップのイメージについて

――IBMの皆さんから見て、スタートアップがIBM BlueHubに参加するメリットや、IBM BlueHubに向いているスタートアップ像について教えてください。

濱口氏:IBM BlueHubでの共創は、技術を活用したテクニカルな内容だけではないです。スタートアップが成長していく上で本当に必要な要素について、IBMだけでなく協力してくれているVCメンターも含めて、皆さんと一緒になって考えますし、必要なものはその都度IBM社内で用意するので、スタートアップの方々が得られるメリットは非常に大きいはずです。

現状でしっかりしたプロダクトが完成していなくても構いません。これからプロトタイプを育て、磨いていきたいと考えているスタートアップの方々に向いているプログラムだと思います。

岡村氏:IBMの営業サイドは、「常に新しいものをお客様に提供したい」と考えているので、IBMの販路を使ってプロダクトを拡販したいと考えている方は、ぜひIBM BlueHubを活用いただきたいですね。シナジーさえ生まれれば、IBMは組織的に拡販することができますし、極論を言えば海外の販路も活用できる可能性があります。

もちろん、プロダクトが完成していないという企業や、何かにチャレンジしたいものの「どうしていいかわからない」というスタートアップも歓迎です。ただ、「なぜやりたいのか」という部分に関してブレない軸を持っていていただきたいですね。

私たちも、プロダクトを仕掛ける理由や背景がしっかりしている方はサポートしやすいですし、逆に「今、世の中でこれが流行っているから…」という理由だけではご支援も難しくなってしまうと思います。

松谷氏:現在では、多くのインキュベーションやアクセラレーターのプログラムがありますが、IBM BlueHubには良い意味での「緩さ」があると思っています。IBM BlueHubも最初の頃は、他社のプログラムと同じように「IBM Cloudを使ってください」「Watsonを使ってください」と、IBMの製品をトピックにして募集をかけていましたが、いまではそのような制限を外し、かなり広いテーマでスタートアップを募集するようになっています。

また、IBMだけでなく社外のVCにも入ってもらうことで、さらに価値のあるプログラムに進化したと思います。テクノロジーとファイナンスは、スタートアップの成長に欠かせない両輪ですし、IBMとVCという独立した企業同士がタッグを組んでメンタリングを提供していくという点では、非常にユニークなプログラムだと思いますね。

テクニカルな面で言えば、プロダクトをスケールする際にはメインで使用する技術だけでなく、技術と技術の組み合わせが重要なポイントとなるので、「自社で持っているプロダクトをとにかくスケールさせたい」と考えているスタートアップの方々には、とくにお勧めできると思います。

山本氏:IBM BlueHub ではセールスやマーケティングの領域でもIBMとのシナジーを活かして、共にお客様に対して価値提供ができるフィールドをご用意することが可能です。IBM自体が大きな企業なので、どうしてもお客様に対して重厚長大なアプローチが多くなってしまいがちですが、スタートアップの皆さんの持つスピード感やパッションがスパイスとなることで、お互いにとってメリットがある提案ができると考えています。

私の個人的意見ですが、IBM BlueHubには、どちらかといえばBtoB向けのサービス・プロダクトを持ったスタートアップが向いていると思います。また、原体験に基づく課題意識、差別化された技術を持った企業であれば、私たちとしても協業させていただきやすいと考えています。

渡邉氏:IBMは多くの大企業のお客様とのお付き合いがあるので、BtoBであれ、BtoBtoCであれ、IBMのお客様も巻き込んでの社会実装を目指せるようなテーマを持っているスタートアップ企業にとっては、参加メリットが大きいと思います。

様々なスタートアップのステージがあると思いますが、IBM BlueHubは「ユースケースは見えているがマネタイズに悩んでいる」「メインとなる機能の絞り込みができていない」「市場のニーズがわからずに苦労している」といったように、プロダクト自体のビジョンが見えているものの、さらにビジネスを具体化していく必要があるステージのスタートアップに向いていると思います。

――それでは最後になりますが、参加を検討されているスタートアップの皆さんへのメッセージをお願いします。

濱口氏:人生をかけて事業にチャレンジされているスタートアップの皆さんの立場を理解した上で、私たちとしても可能な限りの支援をさせていただくつもりです。7期についてはオンラインメインのメンタリングになる可能性がありますが、6期までの経験を活かし、アフターコロナも見据えた上で様々なアプローチを検討しながら、皆さんの事業の成功のために真摯に向き合っていきます。

岡村氏:世の中の流行り廃りに惑わされず、「これをやるんだ!」という熱い気持ちを持ってエントリーいただければと思います。ブレない軸と情熱さえ持ってきていただければ、どんな事業やプロダクトであっても形にできると思いますし、私たちもIBMの総合力を使って精一杯サポートさせていただくつもりです。

松谷氏:IBMのテクノロジーはもとより、多くの素晴らしいVCの方々にもご協力いただいているので、事業計画や資金調達についても強力なアドバイスが期待できます。まずは心配せずにエントリーいただきたいですね。

山本氏:IBMのお客様は大企業が中心です。私たちと共にアプローチすることで、単独でのアプローチとは一味違う社会的なインパクトを生み出せる可能性があります。ぜひ、私たちと一緒に業界全体や社会全体に関わるようなDXを切り開いていきましょう。

渡邉氏:私は6期から参加したのですが、半年のプログラム期間はあっという間に終わってしまうと感じました。このような短いプログラム期間だからこそ、IBM BlueHubをフル活用し、IBMを使い倒すためには、スタートアップの皆さんが主体となる必要があります。

IBM BlueHubを主体的に活用することで自分たちの価値を高め、自分たちのプロダクトを広めていくことで社会を変えていきたいという意気込みを持ったスタートアップの皆さんに来ていただけたら嬉しいです。

取材後記

今回のインタビューを通して、あらためてIBM BlueHubがスタートアップに対して多様な専門性を提供できる価値の高いプログラムであることが理解できた。

一口に「共創するIBMメンバー」と言っても、画像認識やクラウド、AIといったテクノロジーやGo-to-Market、事業戦略、コミュニケーションなど、5人の方々の専門領域はそれぞれに異なっており、かつ非常に深く幅広い。また、彼らが中心となりつつも、必要に応じて様々な部門のIBM社員が日常的にスタートアップをサポートしていることにも驚かされた。さらに実際のプログラムでは、IBMのメンバーに加えて社外のVCメンターも参加するのだから、スタートアップにとってこれ以上心強いことはないはずだ。

IBM BlueHub の採択企業となれば、IBMのような大企業のバックアップを受けながら自社のプロダクトを進化・洗練させられることはもちろん、IBMと共に社会に対して大きなインパクトを与えるような活動を行うことも不可能ではないだろう。ぜひ、この機会にエントリーを検討してみてはいかがだろうか。

IBM BlueHub第7期の詳細はこちら(応募締切:2021年6月30日)
(編集・インタビュー:眞田幸剛、取材・文:佐藤直己)

※このページは、事業を創るビジネスパーソンのための「事業を活性化するメディアTOMORUBA」記事の転載です。
※TOMORUBAは、オープンイノベーション支援を行うeiicon companyが運営するメディアです。
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