ダイバーシティー&インクルージョン

“個”が輝く働き方「外国籍社員編」

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「すべての『個』が輝く働き方のできる組織づくりのために」

日本IBMでは、女性がキャリアを継続していく上で直面する、さまざまな課題を社員自らが確認し、目標を掲げ、結果に結びつく施策を提言していくため、1998年に諮問委員会として「Japan Women’s Council(※JWCと記す)」を発足。「意識改革、スキル改革、働き方改革」を3本柱として、2019年からは男性メンバーも参画し、新しい視点を取り入れた女性活躍の推進、ならびに管理職の意識改革などに取り組み、継続的に情報を発信しています。今回のブログでは女性一人ひとりがあと一歩を踏み出すためのアイデアご紹介します。


森本 真由

著者:森本 真由
グローバル・ビジネス・サービス 経営戦略コンサルティング

日本IBMにて経営戦略コンサルタントとして、国内、及び、グローバルの環境で戦略の立案から実行まで幅広い案件に従事。専門は、新たなテクノロジーを活用した新規事業立案・実行支援、及び、M&Aに伴う統合プロセスの実行支援。

2017年以来、JWCのメンバーとしても活動。当初は女性コンサルタントの働き方に係る取組に限定して活動していたが、アメリカ、オーストラリア、インド等の国々において様々な国籍・バックグラウンドの人々と協業する中で、より多様な観点から「ダイバーシティ」を推進する必要性を認識。今回は日本で働く外国籍社員に焦点をあて、”個”が輝く働き方について考察します。

人手不足が加速する日本企業と外国籍社員受け入れの必要性

日本の就労人口の低下に伴う、外国籍社員の積極的な採用の必要性については、みなさんご認識のとおりでしょう。実際、総務省の労働力調査では「外国人労働者数」「外国人労働者の就業者全体に占める割合」は共に過去10年間右肩上がりで上昇しています。※下記の図:内閣府ホームページ PDF参照

外国籍社員が日本で働く上での課題

しかし、現在の日本は決して外国籍社員にとって働きやすい国とは言えません。2019年5月にOECDが発表した「高学歴労働者にとって魅力的な国」で日本は35か国中25位でした。

実際に日本で働く外国籍社員のうち、約7割が「外国人がゆえに機会が与えられなかったと感じることがある」と感じており(※アデコ調べ)外国籍社員が働きやすい環境を整える上では課題が残ります。

弊社では、多様性がビジネスの成功には必要不可欠と考え、”Be Equal”と称される考え方のもと、人種、肌の色、宗教、性別、性的嗜好、国籍、障がいの有無、年齢によって差別されることはありません。

採用、 昇進、報酬に対し、共通の機会を提供することを約束されているので、外国籍社員を含む様々なバックグラウンドの方々が数多く活躍しています。

とはいえ、実際に日本で働く弊社の外国籍社員(若手コンサルタント)に対し具体的な課題についてインタビューをしてみたところ、以下のような意見があがりました。

  1. 日本人同士のコミュニケーションに馴染めない
    「過去に協業した先輩社員と意見が異なった際に「日本人にしかわからないニュアンスなんだよ」と言われたことがある。具体的にどのように改善すべきかを説明してもらえず、「外国人だから伝わらない」という前提で話されたことがショックだった。自分の周りでも、同様の経験をしたことがある外国籍社員の話を聞く」
  2. 日本の文化に馴染みきれない
    「日本の文化の中でどのように自己アピールをすべきかわからない」
    「飲み会などの業務外のイベントを含め、日本の文化に馴染みきれず、戸惑うことがある」
  3. 言語の壁が立ちはだかる
    「(コンサルタントという職種上の特徴でもあるが)日本では日本語の些細な表現の誤りを含め、細かく指摘・訂正される。欧米のように「伝われば良い」という文化ではなく、高いレベルの言語力が要求されるため、負担が重く感じる」

周りができること、外国籍社員自身ができること

では、上記のような課題に対し、周りの人間には何ができるのでしょうか。

筆者の周りで外国籍社員との協業経験が多い社員、及び、弊社の外国籍社員からは、以下の意見があがりました:

上記の1.に対しては、協業するメンバーの間では、可能な限り互いの考えや思考プロセスを言語化し、論理的に話す・討議する(「伝わるだろう」との考えのもと、言語化することを怠らない)ことが考えられます。

そして2.は、外国籍社員に日本の文化に馴染むことを期待するばかりでなく、日本人が彼らの文化に対する理解を深め、たとえ自身に馴染みがない言動をしていたとしても、相手を理解し、尊重することが大切です。

3.については、そもそもグローバル環境でビジネスを遂行する上で、英語を社内の共通言語としている企業も増加しており、日本語にこだわる必要はなくなってきています。とはいえ、お客様対応やその準備など、日本語を使用せざるを得ない場面もあります。 社内のコミュニケーションは、「正しく情報が伝わること」を重視し、些細な誤りに拘らない、社外へのコミュニケーションなど、日本語の正しさが求められる際は周りがサポートする、タスクの設計時にそのための工数も考慮するなどの工夫ができます。

私自身、上記のような周りの人間の意識変革は必要不可欠であると考えます。

一方で、日本で20年以上の就労経験を持ち、日本IBMで管理職として活躍する外国籍社員は、外国籍社員自身ができることとして「若いうちから必要不可欠な人材になるための専門性を身につけること」が重要と言います。

これができれば、たとえコミュニケーション上の障害があったとしても、自身が周囲から求められ続けるからだそうです。

「専門性を高めて必要とされる存在になる」ことは、女性が出産・育児などのライフイベントを経ても働き続けるための一つのヒントなのかもしれません。

まとめ

私自身、M&A関連の案件を中心に外国籍社員や海外のIBMメンバーと協業する機会が多く、様々なバックグラウンドを持つメンバーと協業することは、自身の中の常識を覆し、考えを深めるきっかけになり、クライアントに大きな価値をもたらすことができると考えています。

弊社では、外国籍社員が働きやすい環境づくりのために、全社向けの情報発信は日英両方で行う、お祈りの部屋を設ける、カフェテリアでは豚肉・牛肉が入っている場合に明示するなどの取り組みを実施しています。ただし、それらの制度に加え、周囲の人々の意識改革も必要不可欠です。

外国籍の社員は日本ではマイノリティーになるがゆえに上述のような課題に直面することがありますが、出身国ではそうではありません。

つまり、誰でもマイノリティーになることはあるのです。今回は外国籍社員に焦点をあてブログを記述しましたが、これは女性にも共通しており、会社ではマイノリティーになることも多いですが、別のコミュニティではそうならないことも多々あります。マイノリティーの体験を想起することは、より広い枠組みでのダイバーシティ&インクルージョンの理解を深めることになるのではないでしょうか。

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