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IoT保険はGroupamaの保険金請求と事故の削減にどのように役立っているか
2021年08月04日
カテゴリー IBM Consulting | 保険
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日本語訳監修
原口昭則
日本アイ・ビー・エム株式会社
グローバル・ビジネス・サービス事業本部
保険・郵政グループ サービス事業部
アソシエイト・パートナー
保険・郵政グループ サービス事業部にて、お客様のデジタル変革に向けたサービスビジネスを推進。これまで18年以上にわたり、ITスペシャリスト、Client representative、営業部長として保険業界をご支援。社長補佐を経て、2020年より現職。
テレマティクスを活用しているGroupama社は、保険金請求、事故、盗難、道路のくぼみ、さらには迷子の子供までモニターすることができます。
- テレマティクス保険は、自動車保険業界のあらゆる面においてトランスフォーメーションを主導しています。
- リスクプールと保険数理表は、実際のドライビングデータが優先されることが多い状況です。
- IoTを活用すれば、取引をしている住宅ローンの金融機関がライフスタイルを彩るコンシェルジュになる可能性もあるのです。
2014年、Groupama Assicurazioniが顧客の車両やトラックにスマートセンサーの導入を開始しました。その主な目的は車両の位置情報を常に取得することによって、盗難や不正行為を防ぐことでした。
そして、業界ではテレマティクス保険として知られるこのIoTシステムを保険契約者が利用された場合、年間15%から25%の保険料を抑えることができました。
同時に、Groupama社は、車両の位置情報、速度、加速をデータ化することで、衝突事故をリアルタイムに検知することができるようになりました。 衝突に関わるデータが一定の基準を超え、重大事故の可能性を示した時、サービスセンターはお客様に連絡します。 そして応答がない場合は、救急サービスが現場に急行しました。
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Groupama社によると、1か月に約200回、現場への急行派遣が行われています。また、当サービスをご利用されていないご契約者よりも早く現場に到着することができ、 致命傷や負傷の重症化を防ぐことができたケースがありました。
人命救助は、Groupama Assicurazioni(パリを拠点とするGroupama Groupのイタリアの関連会社)によりG-Evolutionと名付けたテレマティクスプログラムの成果の一部にすぎません。 このサービスは、お客様がより安全に、近い道順で運転すること、無謀な運転を減らすことにも役立ち、さらには車両を犯罪から遠ざけ、家族の安全にも役立ちました。
G-Evolutionの融資・事業開発担当のEmanuele Scarnera氏は、「通常、お客様が保険会社に連絡するのは、何か不幸なことが起こった場合です」と言います。 「それがテレマティクスを活用すると、お客様が事故に遭われてしまうリスクを軽減、場合によっては未然に防ぐこともできます。」
しかし、最も予想外だったことは、サービスを開始した2015年以降、プライバシーに関する意識の高いイタリアの保険契約者の3分の1以上がそのサービスを受け入れたことかもしれません。
特にメッツォジョルノと呼ばれる、アブルッツォからシチリアにかけてのイタリア半島の南半分の地域では、組織犯罪が絶えないため、自動車のオーナーが早期からこのサービスを採用することを後押ししたと考えられます。
Scarnera氏によると、盗難や不正請求が多いため、メッツォジョルノ地域における保険料は北部の2倍にもなります。 また、南部の経済は低迷していて、給与は北部の60%以下です。保険を契約する余力がなく、不正や犯罪が多くなる傾向にあります。このような環境がさらに保険料を押し上げ、犯罪の増加につながる悪循環を招いています。
車両の正確な位置情報は盗難時に役立つことはもちろんのこと、GPSにより刻々と送られるデータは、非常に小さな不正行為も明らかにすることができました。 例えば、あるお客様が正面衝突などの保険対象の事故に遭った時に、後部バンパーについた過去のキズも請求の対象にしようとした場合、G-Evolutionはそれらを識別することができます。 その衝突事故の瞬間の車の挙動を捉えたデータと、過去のその車両のデータが共にアルゴリズムを通じて分析され、保険金請求処理が検証されます。
G-Evolution社のマネージングディレクターであるPedro Bernardo Santos氏は、テレマティクスが保険事業を刷新すると考えています。 リスクからの回避とその管理という従来の業務は主流ではなくなるでしょう。 「新規テクノロジーのおかげで、リスク予測とリスクを未然に防ぐことは保険会社にとって、大きな成長を遂げる可能性のある市場となるでしょう」とSantos氏は述べています。
G-Evolutionを担当したIBM GBSのデジタルおよびコグニティブ・コンサルティング責任者のPraveen Velichetyは、「従来型の保険数理表の時代は終わった。 今や、私たちは、日々刻々とダイナミックに動いている世界が生み出すデータを活用することができる。」と語っています。
データの蓄積に伴い、提供するサービスも成長していきました。 Groupama社は、気象データや通行止め情報を考慮した道順案内をナビゲーションできるようになり、これは今後、衝突事故なども回避できるとも期待をされています。 G-Evolutionのアルゴリズムが、あるドライバーがスピードを出しがちであることが予め認識されている場合、ミラノ郊外のA51の、特に雨が降っている時に衝突事故が起きやすいエリアを通りかかる際、システムがドライバーに減速するよう推奨したり、さらには別のルートをナビゲーションできるとScarnera氏は言います。
また、心配性の親という、思いがけないユーザーも、G-Evolutionに関心を寄せています。 「ティーンの子供たちがいる場所を確実に確認できると知って、親御さんは安心されるようです」とScarnera氏はいいます。
このようなサービスは、強力で十分なデータがなければできません。 このような経緯を経て、Groupamaは2017年4月、GBSとローマのWatson IoTチームの支援を得て、テレマティクス事業を社内に設立しました。
「すべてのツール、データ、アルゴリズムが合わさり最先端のサービスを構築することができます。事故防止、保険金請求の自動化、通勤の改善などがその効果です。」とミラノのIBM クラウド・アプリケーション・ イノベーション・リーダー、Tiziana Tornaghiは述べています
この社会的な利便性は、社会全体にも広がっています。
G-Evolutionは、道路のくぼみや他のインフラ問題に関するデータを収集しており、Groupama社はそれを地方政府と共有することを計画しています。 道路の改修は、乗り心地を改善するとともに、車両へのダメージを防止します。
また、優良運転は保険料の低下という形で報われるため、スピードの出しすぎや急ブレーキが大幅に減少し、G-Evolutionは攻撃的な運転への影響を立証しました。Groupama社のデータによると、G-Evolutionのドライバーは1年間に少なくとも800件の衝突を回避しました。
テレマティクス保険の数えきれない機能のおかげで、Groupama社は、保険金請求関連の費用を年間10%から15%程度削減できる見込みです。
G-Evolution社の最高テクノロジー責任者であるSimone Nardocci氏は、「当社はパラダイム全体を変えた」と語りました。 「以前は、お客様との間に何度もやりとりがありました。 現在では、当社は「イエス」なのか「ノー」なのかをはるかに迅速に知ることができるため、保険金請求処理も早くなっています。」
G-Evolutionの次の発展は、ますます劇的なものになり、運転アシスタントだけでなく、ライフスタイルのコンシェルジェとしての役割を果たすプラットフォームの創設を目指します。 また、Groupama社は、クローズドプラットフォーム以外でのドライバーのデータの収益化に関心を持っていないため、消費者の信頼を勝ち取ることができると考えています。
Nardocci氏は、以下のように述べています。「当社は、データをどのように使用しているかを非常に明確に説明しています。 データをマーケティングや営業に使用する可能性がある第三者との間で、データを絶対に共有せず、データをクローズドな環境で常に保護しています。」
目指すコンシェルジュは例えば、スマートホームに接続していて、オーブンのスイッチが入っているとは食器洗浄機がいっぱいになっていることを知らせるだけでなく、それらの電源をオフにできるコネクテッド・カーを想像してみてください。 そして車が、慣れていないルート上にあるコーヒーショップであなたが大好きなカプチーノがセールだと告げる。。。 このようなサービスは様々な予防的なメンテナンスにも役立つ可能性があります。
「保険会社は既に、私たちの生活における様々なリスクへの対処を支援しています」とVelichety氏は言いました。 「それによって保険会社は大きな信頼を獲得しました。日常のニーズにも対処するのに、保険会社ほど心強い支援をできる組織はありません。」
この投稿は、2019/8/30に発行された” How IoT insurance is helping Groupama reduce claims and accidents ” の翻訳です。
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