IBM Sustainability Software

サステナブル・ビジネス運営ガイド(その1)

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戦略ロードマップの構築

実行可能な戦略とロードマップを軸に組織を整える

 
ほとんどのCEOが、ESG(環境・社会・ガバナンス)目標を達成する能力が自分にはあると言います。しかし、それを口にするのと実行するのには、大きな違いがあります。


CEOの64%は、持続可能性の目標を達成できると確信している。
CEOの80%は、政府が公約した目標は達成可能だと考えている。


実際、ビジネスにおけるサステナビリティには、戦略と実行の大きなギャップが存在しています。

大志を全社的な行動へと変換するには、誰もが賛同できる確固たるロードマップが必要ですが、サステナビリティ戦略を策定している企業が86%なのに対し、実行に移している企業はわずか35%に過ぎません。

そして半数以上の企業が、サステナビリティの大志を追求するのに、自分たちにはツールや専門知識が不足していると答えています。

 

サステナビリティ戦略を運用するための3つのステップ

サステナビリティ戦略を策定しているとしても、それだけではロードマップにおける最初の一歩を踏み出したに過ぎません。戦略を実行に移すことこそが重要です。

IBMが自社のサステナビリティー戦略の実践において学んだことと、そして世界中の多数のクライアントと実践してきた経験から導き出した、サステナビリティ戦略運用の3ステップをご紹介します。

 

1. サステナビリティーの目標を定める

何を達成したいのか、達成への進捗をどのように測定するのか。まずはそれを明確にしましょう。ネットゼロを目標とするのであれば、その目標に向けた月次または四半期ごとの進捗状況がどうあるべきかを決めましょう。

従業員の支持を維持する鍵は、進捗状況をきちんと伝えること。そして進捗状況が狙い通りであれば、しっかりと賞賛することです。

 

2. ESGデータ基盤を確立する

各目標へと向かう進捗を測る上で、基礎となる明確なベースラインを作成する必要があります。また、ESG記録システムを確立し進捗状況を文書化・モニタリングする必要があります。

目標への道のりと足取りを正しく計測するのに必要なデータが何であり、どのように計測可能かを、事業全体から適切に選択します。現在のベースラインを再調査し、KPIを設定しましょう。

このプロセスには、機器や設備などの資産、施設、サプライチェーン、ITインフラなど、事業運営に関するさまざまな分野のデータが含まれるでしょう。

 

3. サステナビリティー目標の運用

進捗を追跡するためのESGデータの単一記録システムを確立し、それに合わせた行動ができるよう組織を調整します。

関連する部門やビジネスユニットからの全データがこの単一記録システムに入力され、進捗状況の報告や改善が必要な箇所の特定に誰もが同じデータをもとに取り組めるようにします。

 

あなたの組織では、すでにこれらのプロセスのいくつかは実施済みかもしれません。

ここからは、目標に向かって進捗スピードを上げるために何ができるかを見ていきましょう。

 

サステナビリティーを実践する

持続可能性の実践は、組織全体のカルチャーチェンジを必要とするものであり、単なるテクノロジー・プロジェクトではありません。

難しい変革であることは事実ですが、その一方で取り組みは組織に喜ばしい大きな副産物ももたらします。サステナビリティーの使命を追求することは、社員のモチベーションと組織への貢献意欲を高めるのです。そしてその意欲は、組織のイノベーション力向上にも大きな効果をもたらします。

サステナビリティを企業の中心に据えることで、他にも以下の大きなメリットが得られます:

  •  ガバナンス向上とステークホルダー・エンゲージメント向上
  •  気候変動、温室効果ガス(GHG)排出、その他のESGリスク要因の緩和
  •  サプライチェーンの回復力と安全性の向上
  •  ブランド認知、商業的優位性、競争優位性の向上

 


2021年に転職した従業員の34%は、持続可能な企業や社会的責任を果たす企業で働くために、平均28%の減給を受け入れた。


 

持続可能性を組み込むべき主要分野

  •  サプライチェーン | 透明性と回復力を向上させ、倫理的で持続可能な慣行を定着させ、循環性の高いサプライチェーンの構築
  •  IT | より環境に配慮したITインフラを通じたCO2排出量の最小化。およびデータセンターのワークロードの削減
  •  資産と施設 | 不動産、施設、設備を最適化し、エネルギー使用量と排出量を削減
  •  オペレーション | 事業の長期的な健全性のために、脱炭素化を実現するためのクリーンエネルギーへの移行を管理
  •  規制当局への報告 | 厳しくなり続ける規制当局や投資家からの要求に応えられる精密さを有し、常に詳細を提示できるESG指標の開示

 

戦略策定から実行まで。心強いサポートを

IBMコンサルティング・サステナビリティー・サービスは、持続可能な企業になるための戦略から実行までをトータルに支援します。

透明性の高いサプライ・チェーン構築、タイムリーで信頼性の高いESG報告とリスク管理、倫理性に優れ責任あるコンピューティングとグリーン IT、インテリジェントな資産と施設管理など、サステナビリティを貴社の業務と企業文化に組み込むお手伝いをいたします。

 


「それまでは紙に書かれただけに過ぎなかったものが、IBMのツールのおかげで迅速かつ俊敏なプロセスのもとで現実となりました。」

アレッサンドロ・コリーナ | Hera社 ITイノベーション責任者

 

ガス、水、エネルギー、廃棄物処理などを行っているイタリア企業Hera社は、環境にとってより良い結果をもたらすためにAIやイノベーションを積極的に取り入れています。同社のAIによる埋立廃棄物の削減事例を下記よりご覧いただけます:

参考 | AIが埋立廃棄物の削減にどのように役立つか?


 

* 記事内の主な統計値は、以下のIBM Institute for Business Value(IBV)レポートにて詳細をご確認いただけます。

 

 

当記事は『How sustainability technologies help make facilities work better』を日本の読者向けに再構成したものです。

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