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自然とテクノロジーでオフィスを公園に! | parkERs南青山新オフィス内覧会レポート
2019年11月23日
カテゴリー IBM Sustainability Software | イベントレポート | プラットフォーム
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「デザイン性×専門性」の高さで、都市に花や緑のある空間デザインを提供し高い評価を得ているのが、花好きに大人気の青山フラワーマーケットなどを運営している株式会社パーク・コーポレーションの法人向けサービス事業部「parkERs(パーカーズ)」です。
そのparkERsが、たっぷりの自然とIoTをはじめとしたテクノロジー、未来への意思とこれまで培ってきた経験、そして楽しむ心と自ら実験しようという意気込みをぎゅっと詰め込んだ新オフィスを、南青山にオープンしました。
11月22日に行われた内覧会の模様と、見どころ溢れるオフィスの一部をレポートします。
■ parkERs新オフィスを構成する3つの公園
parkERs新オフィスのテーマは「『未来の公園』を体感できるワークプレイス」。
公園の持つ機能とその心地よさを「気分や目的に合わせて居場所を選べること」というコンセプトに落とし込み、人と植物が自然に共存し、心地よく働くことができるオフィスとなっています。
「異なる分野のスペシャリストたちが融合することで、新たな価値を生み出すと僕らは信じています。そのためには、安心して衝突できる場所が必要なんです。
たくさんのオフィス設計にかかわってきた中で分かったのは、オフィスを見ればその職場が持つinformal philosophy — 暗黙の信条 — が分かる伝わってくるということ。僕らは、失敗を恐れずやり続けようとしていること、より良い世界を作ろうとしていることを発信していきたいんです。」
— parkERs代表の梅澤さんは、新オフィス案内のスピーチで力強くそう言いました。
そしてクリエイティブ・ディレクターの城本さんと共に、オフィスを構成する3つの公園の特徴とそれぞれに込められたメッセージを紹介しました。
・ インドアパーク
実際に公園で働いている際に感じる「自然の揺らぎ、動き、融合」を、天井から滴り落ちる水滴と水たまり、そしてレースのカーテンと光を用いることで表しています。
オープンマインドな気持ちが呼び起こされ、仲間とのコミュニケーションが自然に発生するエリアです。
・ フォレストパーク
木立が生む木洩れびの濃淡、そして土の感触や匂いが、落ち着きや集中力を与えるエリアです。木々に寄り添い、集中して仕事をこなすことができます。
一方で「人は便利になりすぎるとつながりを失いがち」な点に気をつけ、集中し過ぎが「遮断」や「拒絶」へとつながることのないよう、人の動きに反応して揺れを周囲にも伝える机が用意されています。
・ アウトドアパーク
スギのウッドチップが敷き詰められ、大小さまざまなスツールが置かれているこのエリアのテーマは「創造性」。その時々の気分でスツールや周囲のモノを動かし、環境を自由に変化させることで「自分だけの心地いい居場所」をデザインできます。
「動きがクリエイティビティを刺激する。オフィスにはブランコが必要だ」と、城本さんが常々言い続けてきた言葉を具現化した5つのブランコがシンボルです(そして実際、多くの社員がアイデアを求めてブランコで仕事をしているそうです)。
その他、「2日連続同じ公園での仕事禁止」や、毎朝自分の名前が書かれた「今週の一輪挿し」をその日の席に持っていき「ここにいるよ」と仲間に伝えるルールなど、心地よさと働きやすさを五感に伝えるさまざまな取り組みが実践されていました。
ここからは、筆者がとくに気に入ったポイントを写真とともにお伝えします。
■ 「未来の公園」を形作るさまざまな取り組み
・ 溢れるほどのグリーンと室内循環型有機農業システム
まず何よりも圧巻なのは、オフィスに入った瞬間に目に飛び込んでくる圧倒的な「グリーン」。
ただ、最近増えている「グリーン多め」のオフィスと少し違うのは、その種類の多様さです。「人が一番落ち着きを感じる植物はその土地固有のもの」という研究結果を踏まえ、近隣にある明治神宮の森の植生調査をもとに在来種の苗木を育てているそうです。
そしてこのオフィスには、植物と人間以外にももう一種類の生き物が住んでいます。それがメダカです。
でもこのメダカ、ただここで飼われているだけではありません。メダカの排出物が養分となり植物を育てていく『アクアポニックス』と呼ばれる循環型有機農業システムの一部となっているのです。
・ IoTで人間のストレスをよりつまびらかに
「植物は人間のストレスを緩和し、その人が本来持っている高いパフォーマンスの発揮を後押ししてくれる」 — 多くの人が植物のその力を直感的に理解していますが、それを科学的に証明できれば、人々の暮らしもオフィスワーカーの日常も、今よりもずっと心地よいものとなるのではないでしょうか。
今回の新オフィスでは、オフィス(公園)内のどの位置でどんな作業をしているときにどれくらいのストレス値を示すかを、ウェアラブル端末とIoT(モノのインターネット)プラットフォームを使用して記録しています。
今後、声の調子や脳波などバイタルデータの対象範囲を拡大したり、環境データとのクロス分析や研究も検討中だそうです。
そうした計画を踏まえ、parkERsがIoTプラットフォームとして採用したのがIBM Maximo Worker Insightsです。parkERsとIBMのプロジェクトはまだスタートしたばかりですが、将来的には世界中に拡がるIBMの研究所による量子コンピューターやAI、そしてさまざまな企業とのコラボレーションを通じて、まだ眠ったままの人と植物の可能性を大きく花開かせる大発見につながるかもしれません。
・ SDGsと楽しむ心
オフィス(公園)の中央で目を引くのは、天井から落ちてきた水でできた水たまりです。そして水たまり周囲のデスク表面には、湧き水や波紋、さざ波などの揺らぎを感じさせる水の現象が浮かび上がります。
前述のアクアポニックスとも併せ、オフィスのどこにいても水の音や気配を感じさせる作りとなっているのは、あらゆる生に欠かせない水の大切さを、改めて人々に伝えるためだと言います。そしてさらに、SDGsのゴール6「安全な水とトイレを世界中に」の実現に協力するため、自社ビジネスを通じたウォーターエイドジャパンへの寄付を検討中です。
植物の足元に拡がる土は「parkERs soil」と呼ばれる廃棄物から独自に作りだしたもの。そしてその土を混ぜ込んだ三和土を使用した床材。廃棄物として捨てられる予定だった竹や溶岩石を加工し再利用したオブジェやインテリア。 — これらはすべて、次世代へ緑の地球を手渡せるよう、持続可能性を高めていこうという取り組みです。
最後に、内覧会に来ていた何名かの方たちの、筆者の質問への答えをご紹介します。
「明日からあなたの職場がこの公園になっていたら、1カ月後の自分は今と何が違っていると思いますか?」
- もっと長く過ごしたいので、今より出社時間が早くなっている。
- さらにディープな自然に呼ばれて、自然を探しに行く時間が増えているだろう。
- イライラする回数が減るだろうし、悩んだり落ち込んだりする時間も短くなっている。
- 作業ごとにお気に入りの場所を求めて、1日中あちこちを動き回ってる。
- 毎日を思い切り楽しんで、今よりもうちょっと羽根を伸ばして冒険している。
parkERsでは、オフィス見学を随時受け付けているそうです。ご興味のある方はこちらのフォームからお申込みいただけます。
また、parkERs official noteでは、新オフィス移転までのストーリーなど多くの情報を発信しています。ご興味をお持ちの方はぜひ一度ご覧ください。
ソリューション紹介: IBM Maximo Worker Insights
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(TEXT: 八木橋パチ)
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