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サステナビリティーは変革を引き起こす「カタリスト」である | from IBVレポート

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当記事は、IBM Institute for Business Value(IBV)のレポート『サステナビリティーは変革を引き起こす「カタリスト」である: 先駆者は志を行動に変える』を一部抜粋し再編集したものです。
全編は下記よりダウンロードしてご覧いただけます。
https://ibm.biz/SusTransCatJ


 

言うはやすく行うは難し

サステナビリティー戦略を掲げる企業は86%にもなるが、その戦略を行動に移す企業は35%にすぎない。

サステナビリティーは変革を引き起こす「カタリスト(触媒)」である

調査でサステナビリティーの先駆者に分類された回答者のうち、63%以上はその他の回答者よりも積極的にイノベーションに取り組んでいる。

推進力: サステナビリティーとデジタル・トランスフォーメーション(DX)の統合

デジタル技術は幅広い分野でサステナビリティーの推進を後押しする。サステナビリティーの先駆者の70% は、サステナビリティー目標を推進するためにハイブリッドクラウドを利用している。

 

Signify社: 光を進歩の手段に変える

「光」という言葉で画像を検索すると、電球の写真が多数検出される。Signify社(旧Philips Lighting社)は、業務用およびコンシューマー向け照明やIoTで使うライトにおいて世界をリードする企業であり、2020年の売上高は65億ユーロを誇る。

ところが同社はわれわれに、電球へのこだわりを捨てるよう促しているように見える。

その代わりに同社は、われわれに世界の環境フットプリントや、資源消費量を削減するよう促し、さらには社会の安全性を高め、人々の生活の快適性を向上させ、都市や地域社会をより楽しく暮らせる場所にするといったことを、照明によって実現しようと試みている。

 

データや分析、IoT、その他のエクスポネンシャルな技術に大きく依存するSignify 社の戦略には、同社の志が垣間見える。

では同社の志は何かというと、それはデジタル技術を利用して、光点をデータや情報のノードとして活用することにより、ビル、都市、住居のエネルギー効率や、食糧生産の効率を高め、環境負荷を低減させることである。

 

さらに同社は、電球などの発光デバイスを所有するという概念を、照明器具の実際の機能、つまり照らすことから切り離そうとしている。「サービスとしての照明」(LaaS)という新しいビジネスモデルに移行することにより、照明を循環型経済に組み込もうと模索しているのである。

西ヨーロッパにおいて廃棄された電球などの照明デバイスの回収率は10%にすぎない。LaaSモデルを拡張した概念である「循環型照明」は、照明器具の回収・再利用・再循環を増やし、それと同時に設備や保守にかかる費用を削減し、さまざまな企業の悩みの種を減らすことができると期待されている。

図4 サステナビリティーのタイプ
3つの基準に基づいて分析した結果、企業には多くの共通点が見つかった

 

Yara社: デジタル技術を活用し、農業プラットフォームで世界へ食料を供給 *1

図7 イノベーションへの取り組みの比較
「先駆者」はサステナビリティーを取り込み、目覚ましい成果を挙げている

世界人口は 2050年には97億人に達する見込みであり、食糧生産が人口増に追いつけなくなる可能性がある。

ノルウェーに本社を置く Yara 社は世界最大規模の肥料メーカーであり、飢餓のないサステナブルな世界をつくることをミッションに掲げている。

 

そのために、Yara社は世界をリードするデジタル農業プラットフォームの構築を進めている。

特定のクラウドに依存しないそのソリューションは、総合的なデジタル・サービスであり、気象データや収穫量データ、農業に関するアドバイスをほぼリアルタイムで世界中の農家に提供する。

 

このプラットフォームは既存農地での食糧増産を可能にすることで、森林破壊の回避に貢献する。

Yara社は、当デジタル農業プラットフォームによって、世界の耕作可能地の7%をカバーすることを目指している。

*1 “Yara and IBM: Learn how this fertilizer company isusing a digital farming platform to feed a growing planet.” IBM case study. Accessed November 29, 2021.
https://www.ibm.com/services/client-stories/yara

 

参考記事: Yara International ASA | 食糧問題の解決を目指して

気象データ活用ビジネス最前線<第二回 | 三井化学様> セミナーレポート

 

BP社: 量子コンピューティングを活用し、CO2排出量を削減 *2

BP社は、欧州、北米、南米、オーストラリア、アジア、アフリカで事業を展開する総合エネルギー企業である。

同社は、量子コンピューティングを活用して CO2の排出を削減し、遅くとも2050年までにカーボン・ニュートラルを達成することを目標としている。

また今後10年間で、再生可能エネルギーによる発電能力を現在の 20倍となる約50ギガワット(GW)まで高め、低炭素化への年間投資額を現在の10倍の約50億ドルにまで増やし、石油・ガスの生産量を40%削減することを目指している。

 

BP社は、これらの目標を達成するために IBM Quantum Networkに参加した。このネットワークは、量子コンピューティングの推進と実用化に取り組む Fortune 500企業、学術機関、研究所、およびスタートアップのグローバル・コミュニティーである。

BP社は量子コンピューティングにより、技術面およびビジネス上の課題の解決や、効率化、炭素排出量の削減を模索している。

量子コンピューティングは、炭化水素井戸内の化学的性質や粘土層のモデル化、あるいは炭化水素生産の効率化、風力発電の流体力学上の管理・分析、自律型ロボットによる設備検査の最適化などで、力を発揮することが期待されている。

図10 サステナビリティーはここから始まる
環境に配慮した社会を実現するために、サステナビリティーを機能的な活動に取り込む

*2 Saran, Cliff. “BP joins IBM Quantum Network to support emission goals.” ComputerWeekly.com. February 15, 2021.
https://www.computerweekly.com/news/252496350/BP-joins-IBM-Quantum-Network-to-support-emission-goals

 

Iberdrola 社:サステナブルなエネルギーによって未来を支える *3

図12 エコシステムに働きかける
パートナーと連携して、サステナビリティー施策に取り組む

Iberdrola社は、株式時価総額で再生可能エネルギー業界世界第3位の、世界的な大手エネルギー・サプライヤーである。

同社は欧州では2030年までに、世界では2050年までにカーボン・ニュートラルを達成するという公約とともに、主要サプライヤーに効果的かつサステナブルな開発方針・基準を導入させるという意欲的な目標を掲げている。

この実現のために同社はサプライヤーとの関係を強化し、サプライヤーの進捗状況を測定・モニタリングし、より効率的でスマートな購買を行う方法を模索している。

 

そこでオンプレミスのサプライヤー管理システムを廃止し、オールクラウド・ソリューションに移行することを決定した。

このソリューションを既存のERPと統合することで、調達プロセスと、財務、備蓄・資源計画などの基幹業務プロセスとの統合がはるかに容易になった。

 

その結果、サプライヤーへの支出に関するリスクが低下したほか、調達効率が向上した。またガイド付きの購買プロトコルや事前承認された製品やサービスのカタログ化により、各部門が統一価格や適正な契約条件に沿って購入しているかどうかを確認できるようになった。

またAPI接続によるサードパーティー・ソリューションを導入し、サプライヤーのサステナビリティー達成度とコーポレート・ガバナンスに対するスコアリングができるようになった。

しばらくの間は、サステナビリティー基準を満たせないサプライヤーに対しては、採点ツールを活用し、ビジネスモデルを改善するための対策を提示し、支援する計画である。

*3 “Powering the future with sustainable energy: Iberdrola builds greener, more efficient supplier relationships with support from IBM and SAP.” IBM case study. Accessed November 29, 2021.
https://www.ibm.com/case-studies/iberdrola/
“Iberdrola, the utility of the future.” Iberdrola.com. Accessed November 30, 2021.
https://www.iberdrola.com/about-us/utility-of-the-future

 

Groupe Chantelle社: 消費者のビジネスモデルを見直す *4

フランスに本社を置く Groupe Chantelle社は、婦人用下着の製造・卸売・販売を行う世界的なリーディング・カンパニーである。

Groupe Chantelle社は、顧客主導のビジネスモデルを構築するため、店舗とオンライン・チャネルの統合を進めている。サステナビリティーに対する消費者からの強い要望と、会社として社会的責任に応えるため、完全にリサイクル可能なブラジャーを開発する計画である。

これはサプライチェーンから顧客サービスまでのあらゆるレベルで、挑戦を伴うプロジェクトである。またサードパーティーであるECサイトを通じて購入した顧客に、倉庫から製品を配送する直送モデルの導入も進めている。

 

これらの新しいやり方を実現するためには、新しい小売業態を素早くサポートできるアジャイルな社内システムの構築が必要になる。そこで同社は、オムニチャネル・DXを推進する技術プラットフォームの導入を決定した。このプラットフォームにより、次の効果が期待できる。

– コア当たりのパフォーマンスが25%向上し、顧客への対応が迅速化できる

– コスト・パフォーマンスが 25%向上し、IT 投資の回収が早期化できる

– 将来のITに関するアジャイルな決定が可能になり、競争優位性を確保できる

*4 “Groupe Chantelle: Lingerie specialist re-invents its consumer business model—including a recyclable brassiere.” IBM case study. Accessed November 29, 2021.

https://www.ibm.com/case-studies/groupe-chantelle-systems-hardware-sap-hana

 


 

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