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スマートな車両の実現に車輪の数は関係なし〜その秘密はクラウドにあり
2019年12月02日
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ハーレーダビッドソンの電動モーターサイクル「LiveWire(ライブワイヤー)」が提供するパワー、航続性能、デジタル性能は、バイカーと報道機関を驚かせています。
ハーレーダビッドソンの電動モーターサイクル愛好家たちは気づいていませんが、多くのエキサイティングな機能はIBM Cloudによって可能となりました。
そこで、LiveWireの開発を支援したIBMの自動車産業のエキスパートたちの対談から、IBM CloudがLiveWireにもたらしたものを探ってみましょう。
Kerimov(Mardan Kerimov : IBM Global Automotive Center of Competenceの上級コンサルタント)
今や、多くの人々がスマートカーを知っています。しかし、スマートバイクは、まだ謎の存在かもしれません。ただ、ハーレーダビッドソンで開発している製品(LiveWire)は、バイク業界で大いに話題になっているように見えます。何が特別で、他とどのように異なっているのでしょうか?
Damodaran(Binoy Damodaran : IBM Global Business Services Cognitive Solutionのアソシエイトパートナー)
それは、大手オートバイ・メーカーによる世界初の「二輪のコネクテッド・ビークル」だからです。そして、バイクは乗車手順、運転方法が四輪と異なっているため、ニーズ、機能、要件がコネクテッド・カーとは全く異なります。
例えば、セキュリティーは大きな懸念事項です。バイク向けの「つながる」機能の多くは、四輪と同様に車両の調子や整備状況を確認するものです。しかし、セキュリティーの観点から、衝突や移動を感知した場合に警報音を発する機能が追加されています。バイクはトレーラーに載せるなどして、容易に盗難できてしまうからです。
Harley‑Davidson® アプリケーションによって、バイクのオーナーはスマートフォンからリモート接続して車両の状態をリモートから確認できます。例えば、車両の衝突や移動を感知した場合には、セキュリティ警報音を発します。
LiveWireは電動なので充電する必要があります。「つながる」ことで確認できる車両の充電状態を踏まえ、効率的な充電手段やタイミングを考えられるようになっています。LiveWireのオーナーは、移動の途中で充電ステーションに立ち寄るための行程を計画できるのです。
Stone(Tony Stone : 北米のコネクテッド・ソリューション・リーダー)
結局のところ、それはハーレーダビッドソンの伝統である「オープンロードへ捧げてきた愛を物語る」ことと、ほぼ、同じです。私達は、ハーレーの集団が、有人や家族と一緒に高速道路を走行しているのを見てきました。
そして、稼働したばかりの新しいプラットフォームであるH-D Connectから乗り心地をプロットすることで、乗車体験を向上させることができます。
Damodaran
そして、IBM Cloudが、LiveWireとH-D Connectの両方の基盤なのです。
Kerimov
IBM Cloudは、モバイルデバイス上、車両の内部、Harley-Davidsonチャネルなどを通じて、総合的なインテリジェンス機能をもたらします。クラウドは、LiveWireに組み込まれた様々なセンサーからの信号を全て受信する脳の中枢神経系のようなものです。
例えば、車両が盗難状態にあるかどうかを検出するセンサーは、GPSや加速度計といったあらゆる種類の入力に関連付けられていて速やかに判定します。そして、その判定結果は、必要に応じて「警告」としてLiveWireのオーナーに即座にIBM Cloud経由で伝えられます。
Damodaran
その通りです。クラウドの大きな機能の1つは、成長、拡大、相互作用、移行といった能力であり、今や、複数のパブリッククラウド、複数のプライベートクラウド、複数のエッジクラウドなど、多くのクラウドを組み合わせて利用することが一般的になっています。ハイブリッドクラウドと我々が呼ぶクラウドの利用形態には、「拡張性」と「適応性」があります。ハイブリッドクラウドの重要な機能である「拡張性」と「適応性」なしには、現実世界でリアルタイムに動作している車両のニーズに対応することは、ほぼ不可能です。
歴史的に、OEM (Original Equipment Manufacturers)は、サードパーティ・プロバイダーにコネクテッド・ビークルの提供を依存しており、その結果、すべてのデータは、サードパーティ・プロバイダーが保持してきました。現在は、クラウド機能によって、データを所有するとともにプラットフォームを管理できます。また、クラウド機能は、俊敏性と管理能力を提供します。
OEMは、コネクテッド・ビークルは単なる機能セットではなく、未来の姿であると認識しています。「つながる」ことで、多くの洞察の獲得が可能となり、従来よりも顧客のニーズに合った優れた製品を開発できます。
Kerimov
クラウドは企業経営にも役立ちます。予防的な車両状態の確認と保守により、OEMはリコールが必要な問題の有無を認識できます。コネクテッド・ビークルは、無線(インターネット)による更新をサポートしているので、車両のオーナーは店舗に行かずにバイクや車の調整が行なえます。新機能の全ては唐突に追加されるので、機能追加のたびに車両が全く新しいものになったような印象を受けるでしょう。
Stone
スマートカー、スマートバイク、スマートホームにおいて、クラウドは顧客の信頼と価値の構築に役立ちます。私は、自分のデータ、位置情報、好みを共有しても良いと思いますが、もちろん、それは、取引の方程式そのものなので、共有することによって私自身が享受できる、何らかの価値が不可欠です。
そして、今、「つながる」ことに習熟している新しい世代が成長しています。その新しい世代にリーチすることこそが、ハーレーダビッドソンがやっていることの大きな部分です。
新しいサービス、機能、バイクを通じて、ハーレーダビッドソンは次世代のライダー基盤を拡大することを計画しているのです。
Damodaran
新たな「つながる」世代は非常に都会的であり、スマートバイクと一般的な二輪のモビリティーとの関係に興味を持っています。都市化の進行と混雑の激化により、コンパクトなサイズの共有モビリティーが重要になっています。今後、成長が見込まれる国や地域では、バイクのシェアリングとモバイルアプリで呼び出すバイク・タクシーが急増しています。
Kerimov
さらに、そのようなサービスの全てと車両および都市は、利用者が一体的に利用できる状態で統合される必要があります。そのため、全てのサービスや機能をクラウド上で実現しています。
Stone
クラウドは、ビジネス変革が起きている場所でもあります。車両と車両が搭載するアプリケーションをクラウドに接続することで、OEMにおける多くのビジネスプロセスに影響を与え始めます。
例えば、「つながる」ことで、修理依頼の方法が変化します。修理を依頼したい車両のオーナーは、修理のサブスクリプションとロイヤルティー・プログラムを起動するのです。つまり、堅牢なディーラー構造を構築して、「つながる」ことで実現するオファリングの販売とサービスの提供ができるようにならなくてはなりません。「つながり」は全てを変え始めているのです。
Kerimov
「つながり」は、OEMのエコシステム全体を変革します。ディーラーと従来のサプライヤーに加えて、テクノロジーとIoTのプロバイダー、ソフトウェアとプラットフォームのプロバイダー、さらに、全てを結びつけるクラウド・ネットワークが加わります。
Damodaran
さらに、世界的な関わり合いもあります。ヨーロッパでは、許可されているデータの取扱範囲は非常に具体的です。中国、インド、日本などの国々にも、データに関する独自の法規制があります。幸いなことに、ハイブリッドクラウドは、どのような法規制がある国や地域においても、比較的簡単に運用できる適応性を提供します。
Kerimov
ここまで私達が会話してきた全てが可能になるであろう未来は、本当に素晴らしいです。ところで、SF的な要素も含めて、最も楽しみで興奮する未来に何を挙げますか?
Stone
カーシェアリングが、本当に楽しみです。仕事や空港に向かう時と、週末に運転する時とでは、用途が異なるので別の車両が必要になりますよね。例えば、子供が学校に戻るときには、学校で必要になる全てのものと一緒に子供を送迎できる車両が必要になるかもしれません。そこで、複数の車両を所有することなく、カーシェアリングで対応できれば素晴らしいと思います。そして、私は、従量課金型の選択肢があると嬉しいです。
Damodaran
いくつかの企業が、飛ぶ車両に関するソリューションに取り組んでいますが、まず、近い将来、バイクに似た車両が急増するでしょうね。既に、スクーターや電動バイクがありますから、二輪や三輪の自律走行車に取り組むことになるでしょう。小さなポッドに乗車するようになるのは、時間の問題かもしれませんね。
*本記事は、Building a smart vehicle, no matter how many wheelsの抄訳です。
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