IBM Sustainability Software
サプライチェーン全体でカーボンフットプリントの管理・削減を実現へ:IBM SCISを活用したCTC GX支援サービスのご紹介
2023年11月27日
カテゴリー IBM Partner Ecosystem | IBM Sustainability Software | デジタル変革(DX)
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昨今よく耳にする企業のGX(グリーントランスフォーメーション)において、まずは企業の温室効果ガス(以下GHG)排出量を可視化し、規制当局からの開示要求に応えることが喫緊の課題となっています。さらに脱炭素を推進していくには、サプライチェーン全体でのカーボンフットプリント(以下CFP)算定が必要となり、例えば製造業では、最終完成品を製造する企業だけでなく、その部品、材料を提供するサプライヤーに対しても製品単位でのCFPの算定が求められます。本ブログでは、製品単位のCFP可視化とその管理・分析に貢献するIBM Supply Chain Intelligence Suite(以下SCIS)を活用した伊藤忠テクノソリューションズのGXサービスについてご紹介いたします。
1. カーボンフットプリント(CFP)開示要求への対応:現状と課題
CFPの開示が要求される例として、欧州連合(EU)によるバッテリー規制が挙げられます。この規制では、バッテリー製品の原材料調達から設計・生産プロセス、廃棄・リサイクルに至るライフサイクル全体にわたる、CFP申告義務やリサイクルされた原材料の最低使用割合などが規定されます。これらは、社会全体のGHG排出量削減に対して、一企業の努力では取りうる施策に限界があることに起因しています。
国内においても環境省と経済産業省のカーボンフットプリントガイドライン(*1)によると、従来の環境意識の高い消費者への環境ラベルとしての使い方に加え、近年はサプライチェーン全体のGHG排出量把握とその削減効果の評価にCFPを利用する例が増えてきています。
他社製品と比較しない前提においては、ISO 14067:20182(*2)や GHG Protocol Product Standard(*3)を参照する場合が多いですが、カットオフの基準やバウンダリーの定義等には様々な解釈の余地があり、企業は独自の方法で算定する必要があります。サプライヤー同士でCFPの比較ができない点や提出されたデータがその企業独自の実績データに基づく算定(1次データ)となっていない場合、自社の削減努力がCFPに反映されず、結果としてサプライチェーン全体でのGHG削減へつながらない点が課題となります。
また、近年のサプライチェーン・バリューチェーンの複雑化に伴い、製品のトレーサビリティや、製品のライフサイクル全体(原材料採掘~生産~利用~廃棄リサイクル)にわたる社会・経済問題を解決するためには、例えば食品のトレーサビリティにおいて生産地偽造・改ざんを防ぐ目的に対してブロックチェーン技術を活用することで流通量を担保するなど、ITを活用することが重要となります。
複雑化するサプライチェーン・バリューチェーン
出典:経済産業省 第12回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 2023.3.1
*1 カーボンフットプリント ガイドライン 20230331_3_1.pdf (meti.go.jp)
*2 ISO 14067:2018 温室効果ガス-製品のカーボンフットプリント-定量化のための要求事項及び指針
*3 Product Life Cycle Accounting and Reporting Standard
これらの課題を解決するためには、自社の努力だけではなく、取引先企業とのデータ連携・管理とCFP算定、分析に必要な情報の共有が重要となります。これを解決するのがブロックチェーン技術を活用してCFPを管理・証明することが可能なSCISなのです。
SCISは複雑化したサプライチェーンにおけるデータ連携とトレーサビリティの実施に課題を持つ企業向けに設計されたソリューションです。SCISは、サプライチェーンのトレーサビリティを実現するために必要な共通機能を提供し、ユーザー独自のサプライチェーン・プラットフォーム環境を構築することで、サプライチェーンにおける信頼性の高いデータのトレーサビリティとデジタル変革の推進を支援いたします。
IBM Supply Chain Intelligence Suite (SCIS) 概要図
2. CFPを算定・分析する上での課題とその解決方法
[課題]
CFP算定において、購入した金額・数量によるGHG排出量の算定(按分方式)のみでは、製品単位でのカーボンホットスポットを見抜くことができず、削減ポテンシャルのある原材料、プロセスを特定できないという課題があります。また、サプライヤー側からは製造プロセスのすべてを下流の企業に渡してしまうと、その部品原価や製造にかかわる秘密情報も漏れてしまうといった問題もあります。その両方が、SCISを活用したCTCのGXソリューションにより解決します。
[解決方法]
上記の問題解決手段の一つとしてSCISを活用したCFP算定~分析の方法を以下の図に従い、ステップごとにご紹介します。
- 各原材料CFPは企業ごとに自社工場から算定された1次データを基に各原材料別に算定します。
- 算定されたGHG排出量はCFP認定を受け、SCISを介して各製造工程で排出量が加算され各部品単位のCFPとなります。それを繰り返すことによって、各企業では自社より1つ上流工程の企業で算定されたCFPのみが参照できる状態となり、それより上流工程の情報は秘匿されたまま運用することが可能となります。
- 最終的に集まったデータをBIツールなどで可視化・分析することにより、一つの製品におけるGHG排出量のホットスポット分析が可能となります。
SCISのCFPデータ登録方式はPACT(*4)に基づいており、1次データ比率の入力も必須となっておりますので、1次データ比率の低い(≒2次データ比率の高い)部品、工程を特定し、削減努力の対象とすることが可能です。サプライチェーン下流側からは直接の仕入先に対しGHG排出量の削減余地がないか、施策を協議・提案し、より競争力のある製品を作り出すことも可能となります。
*4 PACT 持続可能な発展のための世界経済人会議(WBCSD)が主催する炭素の透明性のためのパートナーシップ
SCISを活用したCFPデータの分析イメージ
3. ぜひご相談ください
伊藤忠テクノソリューションズとIBMのGX支援サービスは、企業が自社製品のGHG排出量を正確に可視化し、サプライチェーン全体の脱炭素化への道を確固たるものにするため強力にサポートいたします。
今回のSCISを使ったデモのご説明や、無料評価版をお試しいただくことも可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。
是永 眞理子
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
科学システム本部 科学ビジネス企画推進部
GXビジネス推進課 シニアスペシャリスト
橋川 征悟
日本アイ・ビー・エム株式会社
デジタルセールス事業部
アウトバウンドセールス事業 ビジネス開発営業部
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