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世界をより良く変えていくために | 持続可能で収益性も高い価値共創を
2022年10月05日
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近年、新型コロナウィルスの感染拡大や急速な気候変動、国家間の対立構造の深化などへの対応を通じ、不確実性が増し続ける外部環境というリスクにどれほどさらされているのかを企業は深く学びました。
そして新たな成長分野への道を切り開くのに、市場対応や働きかたの大胆な戦略変化、そしてイノベーションがどれほど大切であるかもこれ以上ないレベルで学びました。
こうした不確実性と急速な変化を踏まえ、企業は自社のサステナビリティの概念を進化させると共に、価値の定義を再考し拡大していかなければなりません。
持続可能な成長と開発への適応を強く求められています。ビジネスモデルや顧客への価値提案の抜本的な改革を迫られているのです。
価値と価値創造の定義をアップデートする
企業や組織は、価値創造に対する理解を再考する必要があります。
従来、企業や組織は事業活動や生産活動において生みだされるバリューチェーン(価値連鎖)の中で、どのように自分たちがインプットとアウトプットを繋げて役割を確立し、それを強固なものとすることに取り組んできました。
しかし現代の組織は、さまざまな役割を通じてエコシステムの中でビジネス価値を機会と共に作りだしていきます。エコシステムを広げながら、顧客やパートナーなどそれぞれのプレーヤーが持つ知識、スキル、能力をネットワーク化し、新たな機会を創出していくのです。
サステナブルであることが新たな価値の源泉に
サステナブルであることが企業価値とビジネスの将来性を高めていく —— 多くの業界でそれが証明されています。しかし、サステナビリティであることがどのように新たな価値を生みだしているかは、まだ十分理解されていないのではないでしょうか。
鍵は、サステナビリティを経営の中心に据えることです。それによりサステナブルな新規事業や新製品、新サービスの設計や開発が行われ、それらが市場に投入されることでブランド価値や顧客ロイヤリティを向上させます。そして同時に、コスト削減や投資家からの支持、従業員の高いエンゲージメントも手に入れることができるのです。
すでに多くの企業が脱炭素経営や低環境負荷戦略をスタートしています。ゼロカーボン製品や低炭素サービス、動物性タンパク抜きの料理などが市場で人気を集めており、消費財や小売を中心に低環境負荷を証明できるクリーンなサプライチェーンの導入が進んでいます。
地球環境に配慮したグリーン製品への投資は、これまでとまったく異なる新たな価値の源泉を作り出しているのです。
サステナビリティへの転換をとどまらせてきたもの
そうは言うものの、まだサステナブルではない、あるいはサステナビリティへの転換を心から望んでいない企業が多数あります。その理由を見ていきましょう。
多額の収益、株主偏重の利益追求と還元、短期志向を強める四半期報告書…。グローバル企業の今日までの成功は、ほぼ財務的な結果だけで計られてきました。
株主のために業績を上げなければならないというプレッシャーが、「サステナビリティは利益を圧迫するコストである」という考えを助長してきました。そしてサステナビリティは「CSR(企業の社会的責任)の範疇で行うべきだ」とされてきたのです。
こうした考え方は、企業が長年、事業の概況や戦略、財務状況などをまとめた「年次報告書」を、環境や社会に関する取り組みを非財務情報としてまとめた「環境報告書」と切り離して発行してきたことにも現れています。
さらに、強力な既得権益を持つ多くの業界団体は、持続可能性と気候変動研究および地球温暖化防止活動を意図的に疑問視し、業界全体の対応や進歩を遅らせてきました。
そのせいもあってか、何十年にもわたる持続可能な開発と地球温暖化の警告キャンペーンが行われてきたにもかかわらず、ほとんどの個人はその行動を変えていません。
生活・行動習慣や社会的規範、楽観性バイアス、目先にとらわれてしまう損失回避性、無力感や徒労感…。これらに支配されてしまうせいか、「意図と行動の隔たり」は依然として大きなままです。
あなたがリーダーであろうと顧客であろうと従業員であろうと、個々人一人ひとりが取り組みを始めなければ、あるいはその取り組みがわずかなものにとどまっている限りは、サステナビリティに関する「意図と行動の隔たり」が縮まることはありません。
SX実践がもたらす新たな価値創造
しかし今、グローバルでもローカルでも、サステナビリティを核としたビジネス変革、すなわち「サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)」の機運がようやく高まっています。
消費財や小売、世界的コンサルティング会社などの先発組が、事業を展開する地域やコミュニティにおいて新たな価値の源泉に投資・促進することで、自社により大きな価値をもたらすことができることを実証しています。
SX、そして社会変革の実践は、新製品を生みだし、バリューチェーン全体の生産性を強化しています。ビジネス環境全体が改善されて社会的価値と経済的価値が共に高まり、企業の差別化とコスト削減を実現するのです。
これは企業にとっても消費者にとっても望ましいことです。
価値共創(CSV)により持続可能で収益性の高いビジネスを
サステナビリティを戦略的意志決定や事業運営、企業文化の中心に据えることは、単なる「善行を行うこと」を意味しません。
それは「企業のサステナビリティ(将来へと繋がる稼ぐ力の持続性)」と「社会のサステナビリティ(将来へと繋がる社会の姿の持続性)」を両立する方法を見つけることであり、現在価値と将来価値を同時に高めていくという、成功への道なのです。
価値共創(CSV: Creating Shared Value)実践のためにビジネスモデルやオペレーションを変化させている企業は、今後10年間、社会課題の解決を率先して行う存在として業界の先導者となることでしょう。
私たちIBMは長期的な価値創造を視野に入れ、自社従業員に留まらず地域社会を支える人材のスキル育成に投資することで、次世代へとつながる人材サプライチェーンを支援し、持続可能な社会の構築に取り組んでいます。
私たちは、高く多様なスキルに支えられたコミュニティこそが公正な社会を促進するということを信じています。既存のプログラムやキャリア構築のためのさまざまな取り組みおよびプラットフォームを活用し、2030年までに世界で3,000万人の人材を育成することを約束しています。
参考: IBM ESGレポート2021
持続可能で収益性の高いビジネスは絵空事ではありません。重要なのは単なる数字に捉われ過ぎず、より長期的な視点でより大きく豊かなビジョンを持ち、価値の定義を再考し価値共創に取り組むことです。
当記事は、『How does addressing sustainability change how businesses understand value?』を日本のお客様向けにリライトしたものです。
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