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気候リスクと収益性のバランスの取り方 | 事業継続性と持続可能性を同時に高める事例5社

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気象は日々、あらゆるビジネスに影響を与えます。

適切なタイミングで適切な行動をとるには、気象データだけではなく、AIや高度な分析が必要です。

 

「異常気象」が5年連続可能性の高いリスク第1位に

2020年は、今後「100年に一度のパンデミックの年」として世界中で記憶されていくことでしょう。

しかし同時に、その規模の大きさと頻度、そして被害の深刻度からすると、気候変動と気象災害が最も顕著だった年でもあります。

米国だけで10億ドル以上の被害をもたらした気象・気候災害が22件も起きたのは、その歴史上最多となります。それを考えれば、世界経済フォーラムが、5年連続で異常気象を発生可能性の高いリスク1位に、そして続く2位に気候変動の緩和や適応の失敗をランキングしているのも納得できるものです。

なお、ランキングの9番目に登場するのがサイバーセキュリティです。

参考: グローバルリスク報告書2021年版:世界は長期的リスクへの対応に目覚めるべきである

 

気象は日々、あらゆる企業に影響を及ぼし続けるものであり、あらゆるビジネスリーダーは発生する混乱への即座の対応と、中長期的な傾向を踏まえた計画の策定を求められています。

そして適切なタイミングで適切なアクションを実行するには、気象データをそれ以外の要素と組み合わせて検討しなければなりません。設備機器などのビジネス資産、そして従業員や顧客に与える影響がどのようなものとなるかを、高度な分析を用いてより正確に予測し、インテリジェント・ワークフローで適切にプロセスを進めていく必要があるのです。

そしてもちろん、持続可能性を高めるための新しい要件を満たし、地球にとっても正しいやり方で実施していくべきです。

 

IBM Environmental Intelligence Suiteで事業継続性と持続可能性を高める

IBM Environmental Intelligence Suiteには、自社ビジネスの環境に対する回復力と事業継続性を高めるために、さまざまな企業に用いられてきた歴史があります。

IBM Environmental Intelligence Suiteのアプリケーションスイートには、地理空間データ分析、カスタム気象アラートやダッシュボードの視覚化などの機能が備わっており、各企業が所有するデータをサードパーティ提供の地理空間データや気象データと統合して用い、分析・表示することができます。

また、再生可能エネルギー予測や農業ビジネス、空港、植生管理、停電予測などの各業界向けアドオンも提供されており、変化する状況への事前計画策定と即時対応を、より高度な洞察で支援します。

 

IBMの深い業界知識と専門性は、事業継続性と持続可能性を高めていくことを支援するために存在しています。私たちの提供する適切な戦略と運用モデル、インテリジェント・ワークフロー、そして技術革新を、ぜひ皆さまの持続可能性の目標達成にご活用ください。

それではここから私たちの知識と専門性が、そしてIBM Environmental Intelligence Suiteが、実際にどのように活用されているか、5つの事例をご紹介します。

 

5つの事例 | 気候リスクと収益性のバランスの取り方

気候リスクを管理しつつ、収益性と持続可能性の両者をバランス良く推進している企業を紹介します。

 

Yara

世界の人口は2050年までに97億人に達すると予想されており、食糧生産の拡大は喫緊の課題となっています。世界最大手の肥料メーカーYara社は、IBMと提携し、世界をリードするデジタル農業プラットフォームを構築しています。

包括的なデジタルサービス・ソリューションには、気象や収穫量のデータ提供の他、世界中の農家への現存農地内での収穫量を増加させるためのアドバイス提供が含まれています。Yara社はIBMと共に、森林破壊を回避しつつ食料問題の解決に向けて取り組んでいます。

参考: Yara International ASA | 食糧問題の解決を目指して

 

・ Omega Energia

世界の電力は2050年までにその56%が風力と太陽光から生みだされると予測されており、正確で信頼性の高い気象予測の重要性は増すばかりです。再生可能エネルギーのリーダーであり持続可能性にコミットしているOmega Energia社は、IBMと協力し、費用効果が高く拡張性に富んだ、クラウドベースの風力予測プラットフォームを構築しました。

今後数十年は続くであろう再生可能エネルギーへの期待と需要増に応えるべく、Omega Energia社はクラス最高の気象データとAIや機械学習などの高度な分析による高精度の予測を活用したメンテナンス計画、エネルギー生産予測、戦略的計画により、ハイレベルで信頼性の高いサービスを提供しています。

参考: Weather Company Outage Prediction

 

Norfolk Southern

サービスと運行を停止させないために、鉄道会社は特定の地域において頻繁にプロパンメルターという氷雪融解装置を使用しています。1,500箇所に4,500の融解装置を用意しているノーフォーク・サザン鉄道は、ときにはその使用が必要ないときにまで装置を稼働させてしまうこともあり、運用コストの急増に頭を悩ませていました。

IBMの地域ごとに細かく分割された詳細気象データとAIによる洞察を用いたスマートな鉄道技術により、ノーフォーク・サザン鉄道はメルターの作動を自動化しました。その結果、作業効率が大幅に高まり、氷雪の融解コストは70%削減され、二酸化炭素排出量の削減も実現しました。

 

Pedernales Electric Cooperative

適切な資産管理はあらゆるビジネスにとって重要であり不可欠ですが、送電および配電に関わる公益事業者にとってはとりわけ重要事項となります。電力会社Pedernales Electric Cooperativeは、これまで植生管理に年間1,000万ドル近くを費やしてきました。

従来の植生管理方法は計画ベースに強く偏っており、残念ながらときに手入れが遅くなりすぎて間に合わなかったり、不要な伐採作業に赴いてしまったりということも少なくありません。

Pedernales Electric Cooperativeは、IBMの衛星画像、AI、高度な分析を組み合わせた画期的な植生管理ソリューションを採用し、サービスの信頼性向上と管理コスト削減を同時に実現しました。

また、IBM Weather Operation Centerを活用したこの新たな植生管理アプローチにより、従来の現地へ人員を送る検査・調査方法からテクノロジーを活用した方法へと変更されたことで、環境負荷も減らすことができました。

参考: IBM Vegetation Management

 

E.&J. Gallo Winery

干ばつに悩まされているカリフォルニアで80年以上ワイナリーを続けてきた世界最大の家族経営ワイナリーの1つであるE.&J. Gallo Wineryは、最も貴重な資源が水であることをこれ以上なく知っている企業です。

最重要事項である水の管理にこれまで数十年にわたって取り組んできた同社は、IBMと協力し、ワイン農場の30メートル四方ごとの土壌水分レベルを気象情報とリモートセンサーデータを用いて測定し、各ブロックで育てられているブドウの木に必要とされる量の水を正確に供給しています。

天候の変化に応じ、必要なときにだけ水が供給されるようになったことで、ワイナリーの水使用量を25%削減すると同時に、ブドウの成長最適化とワインの品質向上を実現しました。


 

ここで取り上げたのは一例に過ぎません。IBMは今後も、エネルギー費用と二酸化炭素排出量の削減と追跡に役立つシステムや、山火事や洪水などの気候リスクのビジネスへの影響を評価および軽減するためのシステムなど、持続可能性と環境インテリジェンスを支援するイノベーションを引き続き開発し、ご紹介していきます。

 

ビジネスと地球の両方に役立つIBM Environmental Intelligence Suiteと、気候リスクを管理し持続可能性を高めるソリューションに、今後もどうぞご期待ください。

 

 

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当記事は『5 ways to manage climate risk to drive sustainability』をベースに、日本のお客様向けに編集したものとなります。

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