社員が語る「キャリアとIBM」

共通の価値観を大事に、技術力を活かしてお客様に向き合う

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社員が語る「キャリアとIBM」では、社員のキャリアや仕事内容をインタビュー形式でご紹介します。今回は、日本IBMグループ、日本アイ・ビー・エム システムズ・エンジニアリング(ISE)のM.H.さんのインタビューをお届けします。

Q.現在の所属部署と入社時期を教えてください。

日本アイ・ビー・エム システムズ・エンジニアリング(ISE)のDX Center、エマージングテクノロジーに所属しています。職種は、AIエンジニア、入社は2023年1月です。

Q. これまでのキャリアを教えてください。

前職は、不動産事業会社で、AIエンジニアとして働いていました。不動産業界は紙の書類、契約書類が大変に多い業界です。物件を売買する際に、どのような業務フローや困り事があるのかを現場の方々にヒアリングし、それに対してAIやITの活用で効率化できないかを考え、実装してきました。

Q.AIにはいつから関わっていたのですか?

前職からです。元々私は大学、大学院で情報系を専攻していました。ITを使い、社会の役に立つような仕事をしたいという思いから、新卒時はシステムを開発する仕事ではなく、普及啓発活動によりITを社会に広げる仕事に就きました。キャリアを重ねるうちに、技術を使うことで社会のIT化を加速させたいという思いが強くなり、事業会社での技術職というキャリアを選択し、そこからAIに関わるようになりました。

Q.ISEとの出会いを教えてください。

仕事を通じて紙文化を改善できる手応えを感じていましたし、手作業で行っていた業務をIT化する特定の分野の技術力が高まっていく感覚もありました。ですが特定の技術だけではなく、もっと幅広く技術を知って使いこなせるようになった方が、顕在化している緊急かつ重要な業務の根っこにある根本的なところにアプローチができるのでは、という漠然とした思いを持っていました。ちょうどその時にLinkedInで声をかけてもらったのが、ISEを知ったきっかけです。

Q.ISEを選んだ決め手を教えてください。

いくつかあります。ISEに入ったら、ロボティックスとAIを組み合わせた技術をはじめ、様々な技術領域に関わる機会があることと、ISEは特定の業界だけではなく幅広い業界の様々な課題を持ったお客様にアプローチできることにワクワク感を抱いたのが理由です。また、人事の方とのカジュアル面談時に、様々なバックグラウンドを持った方が、多様なキャリアの歩み方をしていることを聞き、その点にも関心を抱きました。

Q.入社前の不安はありましたか?

不安とは少し違うのですが、構えてしまっていたところがありました。

Q.詳しく教えてください。

それまでいた会社は、ベンチャー企業でしたので、直属の上長にやりたいことを伝えたらそこだけで意思決定をしてもらえて話が進むスピード感がありました。その働き方が身に染み付いていたので、ISEはどうなのだろうと思い、構えていました。

Q.実際はどうでしたか?

ベンチャー的な動き、会社の雰囲気がありました。おそらくIBMグループの中では小所帯で、いろいろなバックグラウンドの方がいるからなのだと思っています。「中途入社だから」のような疎外感を感じることも全くなく、受け入れてもらっている感覚があります。

Q.入社してからの数ヶ月を振り返ってください。

この半年でアプリ開発・統計的分析・画像解析・自然言語系と、本当に幅広い案件に関わらせていただきました。結果として、技術の幅が広がった印象です。また、先端技術の検証タスクを行うチームを、手探りながらもリードしています。この活動を通じて、新たな知識を深め、経験を積むことができています。

Q.現在の仕事内容、役割マップ*を見ながら解説ください。

*役割マップ
=「社員が何を行なっているのか」「誰と仕事をしているのか」「期待の大きさ」を視覚化したもの

現在はAIエンジニアとして、大きく3つの仕事に関わっています。1つ目が、先端技術の検証やデモの作成、2つ目がお客様へのPOCの実施、3つ目が部署のメンバーとしてのスキルアップ活動です。

先端技術の検証やデモの作成では、ChatGPTをはじめとする大規模言語モデル(Large Language Models、LLM)の検証や、デモの作成を行っています。「ChatGPTでは、どのようなことができるのか」「今はここまでできるが、ここからはまだ今の技術では難しい」等を明らかにするために、技術的な検証を行っています。また、どの業界のどのような課題を解決できるソリューションが考えられるのか、チームで考え、検討しています。お客様にイメージを持っていただけるようなデモや、簡単なプロトタイプの作成を行なっています。

お客様へのPOCの実施は、この半年で複数件担当しました。IBMのどの組織と動くかは案件により異なります。私が現在関わっているケースでは、IBMのテクノロジー事業本部やExpert Labの方と一緒に動いています。ISEに期待されているのは、技術的な部分です。例えばIBM製品だと、裏側でどのようなアルゴリズムやAIモデルが使われているか、それらの機能がお客様の期待することを実現できるかを検証しています。IBM製品の機能を使ってAIのモデルを作ることもありました。

部署のメンバーとしての活動は、案件を通して得た知見や、自分が調べた先端技術の情報を部署内の技術コミュニティーで共有する活動のことです。メンバーのスキル向上の支援、社内向けセミナーの講師を行うこともあります。

Q.ご自身でコーディングを行うことはありますか?

あります。具体的な環境をお伝えすると、ISEは入社のタイミングでMacかWindowsを選ぶのですが、私はWindowsを選びました。VS Codeを使い、AI系の案件や技術検証を行う際はpythonで書くことが多いです。アプリケーションでなく実験コードによるモデルの検証などを行う場合は、Jupyter Notebookを使うこともあります。簡単なプロトタイプ・デモを作る場合は、Node.jsとReactやVueなどのフレームワークを使ってWebアプリケーション側を作成し、ロジック部分は、AIモデルと相性の良いpythonで作成したAPIサーバーと通信させる構成で作ることが多いです。

Q.お客様は、どのような点に課題感を持っておられますか?

人手が足りなくて困っているという声をよく耳にします。これまで人が目視で確認し、問題がないかの点検を行っていた業務、例えば工場や電力設備の点検は、どんどん人手が減っていくので、今までのやり方では回らなくなることに、お客様は強い危機感を抱いています。

Q.お客様は、ISEに何を期待してくださっているのでしょうか?

先端技術はもちろんのこと、お客様の期待通りに動作し、セキュリティ的にも安全な信頼できるシステムをお届けすることを期待されていると感じます。そのために、ISEがお客様やIBMグループ全体から期待されているのは技術力だと思います。また、何が本質的な課題で、それを解決できる現実的な技術は何かを見出すことも期待されています。

Q.詳しく教えてください。

以前、お客様から「画像認識のAIを使い、工場組み立ての動作が合っているかを判定したい」とご相談をいただいたことがあります。お客様がやりたいことを詳しく伺うと、本当に必要なのは動作の判定ではなく、組立後の製品の外観検査だということが分かりました。お客様が困っていることややりたいことを教えてくださる最初の段階では、何が本質的な課題で、それにアプローチ可能で現実的な技術が何かがまだ見えていないケースがあります。本質に辿り着くために、お客様の悩みを自分事レベルでイメージできるまで業務の内容を伺ったり、業務フローの中に、どのような問題が潜んでいるかを気にしながらお話を伺うように心がけています。

また、製品によっては、日本には導入実績がなく、Globalにしか事例がないものがあります。何ができるかを正しく理解するためには、製品のドキュメントやコードを読み解き、必要に応じて海外の製品担当エンジニアやデータサイエンティストに連絡を取り、情報を収集することもあります。製品の機能の裏で使われている技術と、Globalと日本のお客様との業務フローの違いを正確に理解した上で、何ができるのかを検証することが求められています。

Q.ISEのエンジニアは、どのように技術力を育んでいるのでしょうか?

私は先端技術を取り入れるために、国内外の学会や論文をチェックし、どのような技術トレンドが取り上げられているかを注視しています。また、特定の技術を詳しく体系的に見たい時はO’Reillyで対象の書籍を読み、スキルをキャッチアップしています。Webアプリの実装例を知りたい時は、Udemyを活用してフロントのフレームワークの使い方を学んでいます。O’Reilly、Udemy、いずれもIBMグループの社員は無料でアクセスできますので、重宝しています。

組織としては、技術コミュニティーの場で、検証した結果をフィードバックする機会が設けられています。お客様案件で活用できた新しい技術や導入時に工夫したこと・苦戦したこと、こういった論文が出ている、便利なライブラリが登場したという情報も盛んに飛び交っており、私が個人で情報収集しているように、他の方々も様々な方法で情報を収集していることを感じます。

Q.技術情報を共有し合う機会があるのですね。

個人で情報を収集するには、時間的に限界があります。また、自分の興味分野に沿って調べ、情報収集を行うと、どうしても視野が特定の領域に寄ってしまいがちです。そうではなく、Slackやコミュニティーで様々な領域の情報を目にする機会があると、「他の分野では、どのような技術が登場しているのか」という新たな情報が得られたり、「自分が注目していた技術は、異なる分野でも活用ができる」という気づきに繋がります。他の方が検証した結果を見るのは、自分とは違う視点が得られるので、技術コミュニティーがあり、そこで活発に情報交換されていることは、とてもありがたいと思っています。

Q.どのような方がISEに向いていると感じますか?

ISEは、技術力に強みがある会社ですので技術に触れるのが好きなことはもちろん、お客様の困りごとにどのようなアプローチで改善できそうかを考えることを楽しめる方が向いていると思います。

Q.大事にしている価値観を教えてください。

前の記事で、Sさんも触れていますが、ISEのエンジニアに共通するのは、技術を使い、お客様の役に立つソリューションを考え、良いものをお客様に届けたいという思いを持っていることです。その価値観を大事にしているメンバーが揃っています。

バックグラウンドや、持っている技術は異なります。中途で入社した方は、私のようにベンチャー出身の方だけではなく、大企業から来た方もいます。新卒で入社し、ISE一筋という方もいます。先ほどお伝えした先端技術の検証やデモの作成を一緒に行っているメンバーは、画像処理や自然言語処理などのAI系のバックグラウンドがあるメンバー、アプリケーションデベロッパーとして高い専門性を持ち、Javaやクラウド系のアプリ構築に強いメンバー、ロボットやドローンを使ったシステム構築に関わっているメンバーなど、技術のバックグラウンドは様々です。バックグラウンドは異なりますが、共通の価値観を持ち、技術力を活かして仕事に取り組んでいるのがISEです。

Q.キャリアを通じて、成し遂げたいことを教えてください。

お客様が言われているように、日本全体として、少子化、人手不足は大きな課題です。だからこそ私は技術を使い、社会が少しでも良い方向に進むよう、力を尽くしたいという思いを持っています。ISEは、社内に多様な分野の先端技術に精通した専門家がいます。私たちは、各業界のお客様にアプローチし、お客様の悩み事を伺い、どう解決するかを考えることができる立場にいます。お客様の課題を解決するために、先端技術を社会に浸透させていくために、これからも目の前のお客様に向き合っていきたいと思います。


根本 亮
インタビュー・執筆:根本 亮
Japan Employer Branding Manager
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