Tape Storage

テープ・ストレージの技術革新における第9の波

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「ストレージに要する費用」と「データの保護」は、ストレージにおける2つの重要課題です(*1)。そして、テープを用いるストレージ・ソリューションとテクノロジーは、これらの重要課題への対応をサポートします。つまり、テープ・ストレージは、現在のストレージ市場の強力なソリューションなのです。

テープ・ストレージは、業界を問わず、あらゆる規模の企業における低コストで大容量のデータ・ストレージのニーズに対応します。また、テープ・ストレージは、テープならではの「エア・ギャッピング(ネットワークから物理的に隔離された状態)」を利用してサイバー攻撃の脅威を緩和するとともに、サイバー攻撃に対する妨害を行う仕組みを提供します。さらに、重要な事実として、テープにおけるデータ保護関連の技術革新は堅調です。IBMは、テープ・ストレージの価値と可能性を見失ったことはありません。IBMのテープ・テクノロジーへの変わることのない取り組みと、テープ・テクノロジーが実現するストレージ・ソリューションは、LTO 9と称される第9世代のLinear Tape Open (LTO) Ultriumのテクノロジーとオファリングの発表よって再認識されました。

IBMは、オートローダーやライブラリーといったテープ・オートメーションのソリューションにおいて、LTOコンソーシアムが定義する第9世代の規格に適合するLTO 9 Ultriumテープ・ドライブとメディアを、2021年第1四半期(*2)に提供する予定です。新たに登場することになるIBMのLTO 9 テープ・ドライブとLTO 9をサポート・システムは、アクセス頻度の低いデータを保管するだけではなく、急速に進化する21世紀のあらゆるストレージ要件に適合するために、費用対効果が高く安全なソリューションであるテープ・ストレージの能力を向上させる設計です。

IBMは、60年以上にわたり、テープ・テクノロジーに寄与してきました。そして、技術革新と継続的な改善、お客様やビジネス・パートナーの声の傾聴、品質を重視した製品戦略の採用と実行の結果、IBMは強力なテープ・ストレージ・ベンダーとして評価されています。

「IBM LTO テープ・テクノロジーは、マルチクラウド戦略の一環として、オンプレミスにおける長期保存用のアーカイブ・ストレージを必要とする当社のお客様に、安全で費用対効果が高いソリューションを提供します」
「パブリッククラウド環境のストレージを補完し、エアギャップによってサイバー犯罪者やランサムウェア脅威の当事者からデータを保護するという観点で、テープにはコストとアクセス時間に大きなメリットがあります。発表によれば、第9世代のLTO Ultriumカートリッジは、格納可能なデータは50パーセント増え、パフォーマンスは11パーセント向上するといいます。LTO 9により、IBMのテープ・テクノロジーとシステム、ソフトウェア、ライブラリーのポートフォリオが強化されます」(Jeskell Systems,
Rusell Schneider氏)

IBM LTO Ultrium テープ・テクノロジーは、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)、ビッグデータ分析、AI駆動型アプリケーション、メディアおよびエンターテインメント、ゲノミクス、ビデオ・ストリーミング、デジタル・アーカイブなどにおける、アクセス頻度が低い大量のデータを保管する需要に対応します。そして、記録可能容量、パフォーマンス、サイバー・レジリエンス、コスト効率が旧世代より向上するLTO 9対応のIBMのテープ・ソリューションによって拡張されます。

  • IBM LTO Ultrium 9 データ・カートリッジは、LTO Ultrium 8 データ・カートリッジより容量が50パーセント増加(18 TB)。データ転送速度は、11パーセント高速(400 MB/秒) (*3)。
  • LTO 9に対応するIBMのテープ・ソリューションにおいて、テープ・ライブラリーの総所有コストの39パーセント低減が可能 (*4)
  • LTO 9に対応するIBMのテクノロジーは、データ保護ソリューションであるIBM Spectrum Protectとの統合により、Red Hat OpenShiftのコンテナ環境で、コスト効果が高い安全なデータの保存が可能

「IBMは、LTO 9テクノロジーを使用して、ハイブリッドクラウド向け次世代テープ・ソリューションを構築しました。記録したデータの改ざん/消去を防止するWORM (Write Once Read Many) 機能を使用したデータの不変性と、テープならではの物理的なエア・ギャップに加えて、保存データのAES-256ビット暗号化を提供することにより、IBM LTOテープは、コスト効率の良い、機密保護機能のあるストレージ・ソリューションとして圧倒的な地位を維持します」(Mesabi Group, David Hill氏)

以下は、テープにおける事実です。

  • 現行のテープ・ユーザーの67%がアーカイブに、57%がバックアップにテープを利用(*5)
  • 今後10年間に予測されるストレージ容量の増加に関して、テープが対応できる可能性はハードディスクより高い(*6)
  • 2018年に実施された10年間のTCO比較調査によると、テープはディスク・ストレージより86%安価(*7)
  • テープは、ディスク・ストレージよりも信頼性が約100倍高い(*8)

第9世代のIBM LTO Ultriumテクノロジーは、以前の世代よりも高いストレージ密度を提供し、大量のデータを保管する際のコストを低減する設計です。IBMのテープ・ドライブとテープ・ライブラリーは、複数層のデータ保護を提供します。また、受賞実績(*9)を持つSDS(Software Defined Storage:ソフトウェア定義ストレージ)ソリューション IBM Spectrum Storageファミリーの一員であるIBM Spectrum Archiveは、テープ上のファイルやディレクトリーへの容易なアクセスとドラッグ&ドロップによるファイル操作を実現するLinear Tape File System(LTFS)を提供します。

テープは、データ・ストレージの最新のニーズに対応する主要なソリューションであり続けています(*10)。高速のアクセス、総所有コスト(TCO)の削減、セキュリティーの向上、システム・ライフの延長、機能の向上を、企業や組織に提供するために、IBMは第9世代のIBM LTO Ultriumテクノロジーとテープの技術革新を続けています。そして、IBMが提供するSDSソリューションに代表されるテープを補完するテクノロジーは、互換性、統合性、機能性を向上させます。多くの業界、ビジネス・ユースケース、主要な企業が、テープは過去のものではなく、未来に向けて革新していることに気付いているのです。

>> Tape TCO Calculator(英語)は、IBMのテープ・テクノロジーを使用することで、節減できる可能性がある金額を見積もります。


関連情報


*1 Enterprise Strategy Group, Data Storage Trends in an Increasingly Hybrid Cloud World, March 2020, https://www.esg-global.com/research/esg-research-report-data-storage-trends-in-an-increasingly-hybrid-cloud-world
*2 開発意向表明は、IBM の計画および方向性に関する情報を提供するものです。IBM の計画、方向性、意向に関するすべての記述は、予告なしに IBM 独自の判断で変更または撤回される場合があります。開発意向表明はIBM 製品の方向性の概要を示すものであり、製品購入を決定する際の根拠としてはご利用いただけません。今後提供する予定の製品に関する情報は、資料、コード、または機能の提供について誓約または保証の義務、または法律上の義務を負うものではありません。 今後提供する予定の製品に関する情報は、いかなる契約にも組み込まれません。IBM 製品に関して記述されている今後のフィーチャーまたは機能の開発、発表、時期は、IBM 独自の判断で決定されます。
*3 IBM LTO 9 Tape Drive Full Height Model Performance White Paper, October 2020 (IBM Miyaura)
*4 18台のLTO 8 テープ・ドライブを搭載する200PB のテープ・ライブラリーと18台のLTO 9 テープ・ドライブを搭載する200PB のテープ・ライブラリーでの3年間の総所有コストをIBMが比較および分析
*5 ESG Master Survey Results, 2020 Technology Spending intentions Survey February 2020 esg-global.com/2020-technology-spending
*6 INSIC, INSIC Technology ROADMAP 2019, July 2019, insic.org/wp-content/uploads/2019/07/INSIC-Technology-Roadmap-2019.pdf
*7 ESG, Alex Arcilla, Quantifying the Economic Benefits of LTO-8 Technology, August 2018, lto.org/wp-content/uploads/2018/08/ESG-Economic-Validation-Summary.pdf
*8 INSIC, INSIC Technology ROADMAP 2019, July 2019, insic.org/wp-content/uploads/2019/07/INSIC-Technology-Roadmap-2019.pdf
*9 The Storries, Storage Awards, 2019 Winner: Software-Defined Storage Vendor of the Year, June 2019
storagemagazine.co.uk/storageawards/?page=winners2019-s and CRN 2020 40 Coolest Software-Defined Storage Vendors, April 2020
https://www.crn.com/slide-shows/cloud/the-40-coolest-software-defined-storage-vendors-the-2020-storage-100/11
*10 LTO Consortium, 2019 LTO tape shipment report reveals record breaking tape capacity shipments,July 2020, businesswire


本記事は「The ninth wave of tape storage innovation(written by Kiyoshi Urabe)」を抄訳し、一部編集したものです。

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