IBM Z

時代が求めるものとIBMメインフレーム

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時代が求めるものを提供する。そのために進化を続ける。それが、IBMのメインフレームです。

2017年7月。IBMはメインフレームの最新機種であるIBM z14を発表しました。IBM z14が提供する3つの大きな価値は「妥協なきセキュリティー」「機械学習による新たな価値の創造」「クラウド連携による迅速なサービス提供」です。

現在は、デジタル抜きではビジネスが成り立たなくなりつつあり、デジタルに対する”信頼”が不可欠となっています。換言すれば、セキュリティー対策が万全を期しているか否かが問われる状況となっています。IBM z14が提供する価値の1つである「妥協なきセキュリティー」は、まさに、盤石なセキュリティー対策が求められている時代の要請に応えるものなのです。

前世代機にあたるIBM z13についても、どのような要請に応える製品だったのか振り返ってみましょう。

2015年に発表されたIBM z13は、大量のトランザクションを処理しながら、効率的なデータの分析をセキュアな環境で実現するシステムとして誕生しました。当時、直面した課題は、急速に市場が拡大しつつあったIoT(Internet of Things : モノのインターネット)や、モバイル・コンピューティング、ソーシャルメディアなどが生み出す大量のデータの処理でした。ビッグデータを活用したリアルタイム・アナリティクスを実現するために、1日あたり最大25億という大量のトランザクションを処理できるIBM z13の能力が求められたのです。

IBM z14が発表された2017年は、奇しくも「昔のIBMメインフレームが登場する映画」と「IBM製品をモチーフとするメインフレームが登場する映画」が上映されました。そして、それぞれの映画に登場するメインフレームには、時代や映画の物語が要請する役割がありました。

『ドリーム』に登場するIBM 7090

2017年9月29日から公開された映画『ドリーム』には、昔のIBM メインフレームであるIBM 7090が登場します。

『ドリーム』の舞台である1960年代初頭は、計算手と呼ばれた人々が、ロケットの軌道計算を始めとする、あらゆる計算をしていた時代であり、同時に、熾烈な宇宙開発競争の時代でもありました。このような時代背景から、人間よりも早い計算能力が必要とされたのです。

地球の軌道周回軌道に宇宙飛行士を送り込むマーキュリー計画を推進するためにNASAに導入されたのが、1秒間で2万4千回の計算が行えるIBM 7090(1958年12月発表。1959年初号機出荷)でした。

IBM 7090は、IBM メインフレームの系譜的には、科学技術計算用として誕生したIBM 701を強化して浮動小数点演算をサポートしたIBM 704と、その改良版であるIBM 709の後継製品にあたります。つまり、IBM 7090は科学技術計算用のコンピューターだったのです。

マーキュリー計画の次に実施されたジェミニ計画では、IBM 7090の後継機であるIBM 7094が採用されました。さらに、アポロ計画の初期段階にあたる1966年の無人ミッションにおいても、フライト・オペレーションでIBM 7094が使われました。

IBM 7090を構成する機器一式

メインフレームが科学技術計算用のシステムだった、というと違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、時代ごとに求められる機能を実現してきたのがIBM メインフレームであり、『ドリーム』の時代のニーズである高速な計算能力に、IBM メインフレームは対応したのです。

映画に登場するIBM 7090を中心に、当時のコンピューター事情を紹介する記事を、当ブログで6つ公開しています。以下のタグ・ページにアクセスしていただくと、該当の記事を一覧でご覧いただけます。
映画『ドリーム』アーカイブ〜映画に登場するコンピューター IBM 7090を紹介〜


『劇場版ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』に登場するSAOメインフレーム

2017年2月18日から公開された、2026年が舞台の映画『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』には、IBM z13をモチーフとしたメインフレームが登場しました。(以下、映画に登場したメインフレームを”SAOメインフレーム”と記述します)

IBM z13をSAOメインフレームのモチーフとして採用いただけた背景は、原作者である川原礫先生から頂戴したコメントを掲載している別ブログの記事でご確認ください。

SAOメインフレーム上で稼働していたのが、VRMMORPG(Virtual Reality Massively Multiplayer Online Role-Playing Game)というカテゴリーのゲームである「ソードアート・オンライン(Sword Art Online。略称:SAO)」でした。

ソードーアート・オンラインは、ゲームが展開されている仮想空間内でプレイヤーが亡くなると、現実世界のプレイヤーも亡くなってしまうデス・ゲームでした。視点を変えると、ゲームを稼働させているメインフレームが停止すると、仮想空間内の全てのプレイヤーが亡くなってしまうので、決して停止しないことが求められました。

モチーフとなったIBM z13とサーバールーム

SAOメインフレーム

つまり、物語の設定上、無停止を実現する高い可用性がSAOメインフレームには求められ、物語上の事実として、2022年11月のゲーム開始から2024年11月にゲームがクリアされるまで停止することなく稼働、ということになっています。

ゼロ・ダウンタイムを実現する高可用性が求められるのは、映画の世界に限った話ではなく、現実世界においても同様です。IBM メインフレームは社会基盤を支えるシステムとして採用いただいています。

ゼロ・ダウンタイムを象徴する文字としての”Z”を初めて冠したIBM eServer zSeries以前から、重要な業務を停止しないことが求められた高い可用性のニーズに、IBM メインフレームは対応したのです。


今、求められているニーズ:セキュリティー

2017年5月、ランサムウェアによる大規模なサイバー攻撃が発生したことは記憶に新しいと思います。規模の大小はあれども、様々なサイバー攻撃が常時行われており、その主たる目的の一つは企業が保持する重要なデータです。

IBM z14が提供する価値の1つである「妥協なきセキュリティー」は、企業が保持する重要なデータを守る、というニーズに対応します。

具体的なデータの守り方は、「暗号化によるデータの保護」です。復号ができない暗号化されたデータであれば、万が一データが漏洩しても、攻撃者には利用する術がありません。

一般的に、暗号化を行う場合、パフォーマンスの低下やオーバーヘッドを伴うため、対象とするファイルやデータを選んで実施します。それに対して、IBM z14は暗号化コプロセッサー(CPACF)と暗号化モジュール(Crypto Express)といったハードウェア機構を暗号化に用いているため、アプリケーションの変更は不要ですし、パフォーマンスへの影響はありません。(IBM z14は、前機種(IBM z13)との比較において、CPACFで最大6倍、Crypto Express6Sで最大2倍の処理が可能)

堅牢なデータの保護は「信頼」に繋がります。

デジタル・ビジネスの時代において、「信頼」こそがビジネスの生命線です。そして、「信頼」をビジネスの差別化要因にするためには、「妥協なきセキュリティー」を提供するIBM z14は有力な選択肢なのです。


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