量子コンピューティング
Qiskit向けの新しい推奨ノートブック環境
2024-07-02
カテゴリー IBM Research (コンピューティング) | 量子コンピューティング
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OVHcloudやqBraidが提供するJupyterベースの環境は、クラウド上でQiskitを扱うプロセスを簡略化します。
IBM®は、量子回路に初めて取り掛かろうとしている初心者に対しても、既に100量子ビットを持ったユーティリティー・スケールのワークロードを組み上げているエキスパートに対しても、ユーザーが自分のローカル・マシンから IBMの量子ソフトウェアとユーティリティー・スケール量子ハードウェア・リソースにアクセスすることを容易にします。Qiskit SDKとQiskit Runtimeクライアントをダウンロードしてインストールしさえすれば、回路を用いた実験、量子プログラムのローカル・シミュレーション、そして IBM Quantum™ハードウェア実機へのジョブの投入ができるようになります。しかし、ローカルでなくクラウドでの作業を好むユーザーはどうしたらいいでしょうか?
IBMはクラウド・サービス・プロバイダーOVHcloudと、量子ソフトウェア開発クラウド・プラットフォームqBraidを、クラウド上でQiskitを使用するためのノートブック環境の推奨プロバイダーとして選びました。IBM Quantum Labを終了するという最近の発表の直後に行ったこの発表は、IBM Quantumがユーティリティー・スケール量子計算に集中しつつ Qiskitエコシステムの持続的な成長を促進するための、広い範囲にわたる取り組みの一環です。今後、これらの新しい推奨プロバイダーは、Qiskitの事前導入された便利なクラウド・ベースJupyter環境を求めるニーズを満たしてくれることと期待されます。
また、IBM Watson® Studio、Google Colab、Microsoft Azure Machine Learning Studioなど人気のあるJupyter Notebookサービスを利用しているユーザーも、Qiskit SDKやQiskit Runtimeクライアントをノートブックにインストールすることで、クラウド越しにQiskitを扱うことができます。
このブログ投稿では、これらの異なるクラウド・ベースのツールを活用する方法を紹介します。
Qiskitが事前導入された推奨ノートブック環境
OVHcloud Public CloudやOVHcloud Startupのユーザーは、OVHcloudの量子ノートブックを利用してQiskitを利用し、IBM QuantumやIBM Cloud®アカウントでIBM Quantumハードウェアにジョブを投入することができるようになりました。OVHcloudの量子ノートブックを使用するためには、下記の手順に従ってください。ただしOVHcloud AI Notebookは一部のリージョンのみで利用可能であることにご注意ください。
OVH Cloud AI Notebooksでの使用開始方法:
(1) OVHcloudの無料アカウントを設定してください。
- OVH Cloudのホームページにアクセスしてください。
- “Create an account”をクリックし、必要項目を入力してください。
(2) OVH Public Cloudプロジェクトを作成してください。
- ログインし、Public Cloudページに移動してください。
- “Create an AI Notebook”ボタンをクリックしてください。
(3) Qiskitノートブックを作成して実行してください。
- “+ Create a notebook”をクリックしてください。
- ノートブックに名前をつけ、JupyterLabを選択し、Qiskitを選択し、プライバシー設定を選択し、データセンターの場所を選択してください。
また、クラウドベースの量子ソフトウェア開発プラットフォームであるqBraidは、2024年5月末にQiskitユーザーの推奨ノートブック環境の一覧に加わると発表しました。Qiskit SDK v1.0および最近リリースされたv1.1のユーザーは、事前設定されたqBraidのPython環境にローカルマシンやIBM Quantum Labから作業を移行できます。これを実現するためには、ここにあるqBraidの移行ガイドを参照してください。qBraidプラットフォームで、古いQiskitのバージョンで既存のコードを持っているユーザーも、バージョン管理されたQiskit環境でノートブックを実行してシームレスな移行をするのにqBraidプラットフォームを利用することができます。
qBraid Labでの使用開始方法:
(1) qBraidの無料アカウントを設定してください。
- qBraid Labのページを開いてください。
- “Create an account”をクリックし、必要項目を入力してください。
(2) Jupyter Lab Environmentを作成し、Qiskitを起動してください。
- ログインしてLabページを開いてください。
- 無料ティアにある”Start Machine”をクリックしてください。
Qiskitユーザーのための他のノートブック環境
Qiskitのネイティブ・サポートを提供することで、qBraidやOVHcloudはクラウド・ベースのノートブック環境でのQiskit利用開始の手続きを簡略化してくれます。一方、QiskitはIBM Watson Studio、Google Colab、Microsoft Azure Machine Learning Studioなどその他の人気のあるノートブック環境でも簡単にインストールできます。
ユーザーがどのノートブック環境を選ぶとしても、Qiskitのインストール手順はほぼ同じです。ユーザーはアカウントを作成し、新しいプロジェクト(プラットフォームによっては「ノートブック」あるいは「ワークスペース」と呼ばれる場合もあります)を開始し、Qiskitをpip installします。各環境での利用手続きについて以下で見てみましょう。
IBM Watson Studioでの使用開始方法
(1) IBM Watson Studioの無料トライアルを設定してください。
- Watson Studioのホームページにアクセスしてください。
- IBM Cloudアカウントを作成し、無料トライアルを開始してください。
(2) Watson Studioプロジェクトの作成
- “New Project”をクリックし、プロンプトに従ってください。
(3) Qiskitパッケージと必要な依存モジュールのインストール
- 新しいノートブックを開いて、以下のコマンドを実行してください:
- !pip install qiskit qiskit-ibm-runtime pylatexenc !yes | pip uninstall simplejson
Google Colabでの使用開始方法
(1) Googleアカウントを設定してください。
- Google Colabのホームページにアクセスしてください。
- あなたのGoogleアカウントでログインするか、新しいアカウントを作成してください。
(2) ノートブックを作成しQiskitをインストールします。
- “+ New Notebook”をクリックし、以下のコマンドを実行してください。
- %pip install qiskit qiskit-ibm-runtime
Microsoft Azure Machine Learning Studioでの使用開始方法
(1) Azure Accountを設定してください。
- Azureのホームページにアクセスしてください。
- 無料トライアル・アカウントを作成してください。
(2) Azure ML Studio Workspaceを作成し、Qiskitをインストールしてください。
- 新しいいワークスペースと計算リソースを作成してください。
- 新しいノートブックを開き、以下のコマンドを実行してください。
- %pip install qiskit qiskit-ibm-runtime
これで完了です!これらの手順に従えば、OVHcloudやqBraidなど推奨ノートブック環境でも、あるいはIBM Watson Studio、Google Colab、Microsoft Azure Machine Learning Studioなどの主流プラットフォームでも、クラウド上でQiskitを使う準備が整います。
この他の人気のあるノートブック環境でQiskitをインストールする方法についてヘルプが必要な場合は、対応するプラットフォームのドキュメントを確認してください。また、Qiskit Slackチャンネルで質問を投稿することも考えてみてください。
この記事は英語版IBM Researchブログ「Explore newly recommended notebook environments for Qiskit」(2024年6月3日公開)を翻訳し一部更新したものです。
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