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株式会社ニイタカがIBM iで「2025年の崖」を問題解決しながら「DX推進」

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「2025年の崖」の典型的な壁に直面しながら、DX推進を一歩一歩と確実に歩む株式会社ニイタカ。基幹業務の中核となるIBM i とともに課題に立ち向かい、変革を推進してきた熱き情報システム部長 川端氏に、IBM Systems Japan Blogへ寄稿いただきました。 なお、この投稿内容は寄稿者自身の見解であり、必ずしもIBMの立場、戦略、意見を代表するものではありません。

川端 功微

川端 功微
株式会社ニイタカ 管理本部 情報システム部 部長

1983年、国内大手ソリューションベンダーへ入社後、自動車製造・販売企業や建設土木企業のお客様担当SE、1998年からアプリケーション開発支援ツールと会計・人事給与・販売管理などのERPパッケージ製品の企画・開発・導入、2008年から全社共通開発技術部門を経験。2013年に子会社の代表取締役社長に就任。2016年11月に親会社の国内大手IT企業へ転社してグループ会社再編成プロジェクトに従事。2019年6月に株式会社ニイタカへ転職し、情報システム部長として、中長期情報システム戦略の策定と執行、DX推進に取り組み中。


1.背景

株式会社ニイタカ

株式会社ニイタカ

株式会社ニイタカ(以下 ニイタカ、本社:大阪市淀川区、代表取締役社長:奥山吉昭)は1963年4月に設立され、「業務用洗剤・洗浄剤・除菌剤・漂白剤の製造販売」や「固形燃料の製造販売」、「食品添加物(殺菌料)の製造、販売」「医薬部外品の製造販売」「衛生管理支援サービス等の提供」「化粧品原料の製造」を通じて、高品質・高使用価値の製品・サービスをお客様にご提供しています。

私は、2019年6月に国内大手IT企業からニイタカに転職して、情報システム部長として、ニイタカのデジタル・トランスフォーメーション(以降DX)推進を主業務として取り組むことになりました。DX推進にあたって、ニイタカの情報システム化状況を調査した結果、「2025年の崖」で述べられた状態と同様であることが判明しました。「2025年の崖問題」の解決なくしてDXに取り組むことは不可能なため、「中長期情報システム戦略」を策定し、経営者の同意を得ながら、トップダウンで実行しているところです。

中長期情報システム戦略ロードマップ

中長期情報システム戦略ロードマップ

2.DX推進上の課題

ニイタカが抱える課題は以下の4点に集約されます。

課題1.既存システムが複雑化・ブラックボックス化している
現行の情報システムは20数年の歳月をかけて部分最適で構築・運用されていますが、全体最適化されていません。IBM i で稼働している販売管理や購買管理などはRPGⅢで手組み開発されていますが、会計や経費精算、人事給与、勤怠管理、生産制御、需要予測、ポータルなどはパッケージを利用するも、異なる会社の異なるパッケージを利用していました。全体最適化されていないシステムでは、第3のプラットフォーム技術(クラウド、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術、モビリティー)や、IoT・AI・OLAPやData mining(データ利活用)などを活用して「経営に役立つ情報システム」に変革することや、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルの創出、新しい関係を通じて価値創出し、ITを使って競争優位性を確立することは困難です。また、多くの業務はIT化はされてはいるものの、紙や印鑑を使った業務プロセスが多く、多くの知見がデータ化されていないため、データを活用しきれず、DXが実現できない状態でした。

課題2.システム運用保守が属人的となり、継承が困難
現状の情報システム部は5名で構成されており、メンバーは高齢化しています。最小限の人員で既存システムの企画や開発・テスト・展開・運用保守を行うことで精いっぱいであり(少ない人数で本当によくやっている)、新技術(DX要素技術含む)の習得や活用、事業部門や管理部門からの全ての要望に応えることは人的パワーや保有知識面で困難な状態になっており、攻めのシステム開発を行う余裕はなく、さらには、必要不可欠な運用保守ドキュメント作成や整備ができていませんでした。
現状のまま対策をとらず放置した場合には、今後さらに以下の問題に直面することが予想されます。

  1. 社内要員が離職してしまうと、現状を維持すらことすらも困難となる。
  2. 今後、ますます運用・保守コストが高騰する。いわゆる技術的負債が増大する。
  3. 既存システムを運用・保守できる人材が枯渇し、安定的かつ安心してシステム運用することができなくなると共に、セキュリティ上のリスクも高まる。

課題3.既存基幹システムがレガシー化している

  1. ニイタカが使用しているIBM Power 720 Express(POWER7プロセッサー搭載サーバー)は、2019年9月末に保守が終了して1年間の特別延長中である。このままでは、DX推進に支障(スケーラビリティ、信頼性、仮想技術等)をきたす可能性が高い。
  2. OS(IBM i 7.1)は2019年4月末で保守終了し、現在有償延長保守中(2021年4月で終了)である。
  3. RPGⅢのプログラム資産(2,590本)は1994年に機能拡張を停止しており、現状のまま放置した場合は、技術的負債が増大し続け、DXを構築・展開することは極めて難しい。

課題4.既存システムの運用保守に多くの費用がかけられており、戦略的な情報システム投資が難しい
部門別のIT投資とコスト管理、システム化後の費用対効果測定などが不足しているため、年間のラン・ザ・ビジネスコストとバリューアップコスト比率が見えない。すなわち、見えないものは管理できない。現状は、90%以上がラン・ザ・ビジネスコストである。

以上の4つの課題を解決しない限りは、DXに取り組むことが困難な状態でした。さらに、DXを推進するためには、紙と印鑑を中心とする業務からITを駆使する業務に変革する必要がありました。その前提が「あらゆるものがデータ化されている必要がある」ことと、「ITを有効活用できるか否かは人間と組織の成熟度にかかっている」ことを踏まえて、ニイタカの理想的な情報システムの姿は、「攻めと守りを両立した情報システムに変革する」と定義し、「IT経営を支える情報システムの確立」を目指すことにしました。

そして、ニイタカの情報システム部門の理想的な姿を、「ニイタカの成長に寄与する」「均一かつ高品質なサービスとシステムを提供し続ける」「業務効率化と品質向上を促進する」と定義し、攻めと守りを両立した情報システムへと変革するために、2019年7月に「中長期情報システム戦略」を策定、2019年9月には「中長期情報システム戦略詳細計画」を作成しました。しかし、いざ実行段階となると、「人的な壁」に遭遇し、容易には実行に移せませんでした。

3.一番大切なことは「人的な壁」の突破

「人的な壁」とは何か。

  • オフコン(IBM i)は古い。これからはUNIXやWindowsのオープン系サーバにすべき
  • RPGは古い。これからJavaやPythonにすべき
  • プログラムの手組みを止めて、 これからはSAPのようなERPパッケージにすべき
  • なぜRPGⅢを変えなければいけないのか? 特に困ってはいないし、問題なく動いている
  • RPGⅣ フリーフォーム(以降、FF)にすると生産性が下がり、自社でメンテナンスできなくなる
  • ドキュメントは整備したほうがいいとは思うが、今は困っていない
  • ドキュメント整備に費やす費用や時間と、整備することで得られる効果を考えると、費用対効果が得られない
  • 現行機(IBM Power 720 Express)は問題なく動いている。新しいサーバー(POWER9プロセッサー搭載機)に変えても今とは何も変わらないので、費用対効果が得られない

といった意見が社内から多数寄せられてしまい、「中長期情報システム戦略」を実行フェーズに移せませんでした。

様々な意見に対して、一つ一つ時間をかけて自分の考えを丁寧に説明すると共に、「中長期情報システム戦略」の正当性や必要性を理解してもらう場を何度も設けて、部内や経営サイドに説明する啓蒙活動を行いました。最も大切なことは、未来の理想的な姿を描き、目的と目標を明確(ゴールを定義する)にした上で、人を育てること、考え方を変えてもらうために自ら能動的に働きかけること、小さな事柄から少しずつ信頼を得る活動を続けていくことだと思います。

4.課題解決のための9の施策

ニイタカが抱える4つの課題の解消のため、2020年度に7つ、2021年度に2つの施策に取り組んでいます。

  1. 現行機(IBM Power 720 Express)を、IBM i V7R4を搭載するPOWER9プロセッサー搭載機に最新化する(「課題3」対策。2020年11月末完了)
  2. ARCADとRational Developer for iを導入して、RPGⅢプログラムをRPGⅣ FFにモダナイゼーションする(「課題3」対策)
  3. X-Analysis Advisorを導入して、効率的にシステム運用保守ドキュメントを整備する(「課題1」「課題2」対策)
  4. LPAR(Logical Partition)を利用する「開発区画」を導入する(「課題1」対策。2020年11月末完了)
  5. 管理本部(総務、人事、経理、情報システム)を対象とするペーパーレスの第1ステップとして、組織文書と個人文書の見える化とペーパーレス実行計画を策定(「課題1」対策。2020年12月完了)
  6. IoT利用開発プロジェクトのプロジェクト管理支援と共通技術支援を実施(DX推進。2021年3月完了)
  7. 工場の需要予測業務にH2O Driverless AIを利用する「AI予測POC」(DX推進。2020年6月完了)
  8. ペーパーレス第2ステップに備えて、文書管理システムの導入企画と予算策定(2021年度施策)
  9. ペーパーレス第3ステップに備えて、ERPパッケージ導入による「会計、人事給与システム刷新」の導入企画と予算策定(2021年度施策)
工場の需要予測業務のPOCにH2O Driverless AIを利用

工場の需要予測業務のPOCにH2O Driverless AIを利用

5.なぜ、IBM i とIBM Power Systemsなのか?

ここ何年も前から「Power Systemsは古い」「これからはオープンの時代だ」「RPGには未来はない」という声を耳にします。では、本当にPower Systemsは古く、未来の展望がないのでしょうか?

答えは「No」です。

Power Systemsは、JavaやPythonといった最新のプログラム言語、H2O Driverless AIやIBM Visual Insights (旧称: IBM PowerAI Vision)といったAIやIoTソリューションを実行できます。

同時に、Power Systemsの特長である極めて高い後方互換性によって、20年以上前に作成したRPGⅢのプログラムが、POWER9プロセッサーを搭載する最新機種でそのまま動きます。そして、導入後7年を経過したIBM Power 720 ExpressからPOWER9プロセッサーを搭載する最新機種への切り替えは、短期間で多大な費用を要することなく実施できます。

IBM Power 720 Expressで動作していた当社の販売管理システムや購買管理システムは、当社のお客様や取引先様と長い年月をかけて築いて信頼関係を維持しつつ、お客様や取引先様との間で、きめ細かな業務にあわせて手組みされたシステムです。ERPに安易に変えることは当社の競争力を削ぐことなり、お客様や取引先様とのリレーションを損ねることになります。

何よりも基幹システムで一番大切なことは、堅牢で、永く安心して、安全に使えること。すなわち、品質が最大の優先項目です。基幹システムが品質を伴わなければ、DXとの両立はなし遂げられません。そして、基幹システムが品質面のトラブルを起こしたら、ビジネスの継続や成長はあり得ません。

今後、当社の情報システムに求められる特性は、「敏捷性(アジリティ)」と「弾力性」が高いことです。守りと攻めを両立するシステムとは、「安全性」「効率性」「堅牢性」に加えて「敏捷性」と「弾力性」を兼ね備えたシステムです。そして、これらの特性を実現できるのはIBM i しかないと判断して、IBM Power 720 Expressを最新のIBM Power System S914(POWER9プロセッサー搭載機)に入れ替えることにしました。

6.なぜ RPGⅣはILEではなくフリーフォーマットなのか?

RPGは本当に古く、未来や展望はないのでしょうか? これからは、全てJavaやPythonにするべきなのでしょうか?

答えはNoです。

確かに、社内も社外も含めて RPGでプログラムを書ける人は非常に少なく、また、高齢化しています。特にRPGⅢとなると、50~60代のエンジニアが中心となりますし、RPGⅣやILEであっても、同様に50~60代のエンジニアが中心というのが現実です。

JavaやPythonなら、プログラミングができる人は学生から若手、中堅どころまで幅広く存在しています。しかしながら、JavaやPythonは5年周期で大きなメジャー・バージョンアップがあり、そのたびに最新バージョンにしなければなりません。時には、大きな非互換に遭遇して、億単位のお金と年単位の時間を掛ける必要が生じる場合があります。

ただ、JavaやPythonは、最新バージョンにアップグレードしても、システム利用者に提供する機能には大きな変化はありません。JavaやPythonで基幹システムを作り直しても、費用対効果や生産性という意味での効果は大きいとは言えません。

しかしながら、RPGⅢのままでは、REST FULL APIが使えません。AIやIoTといったDXを利用したシステム開発が行えません。また、RPGⅢは、JavaやPythonを勉強してきている今の若い人には受入れられにくいのも事実です。

新採者の即戦力化や、基幹システムの開発や保守を行いながら、AIやIoTといったDX関連開発も行うためには、JavaやNET/C#などのプログラミング言語と言語構造が似ているRPGⅣ FFが不可欠です。そして、2,590本のRPGⅢプログラムをRPGⅣ FFに変換(モダナイゼーション)することで、永く安心して開発保守し続けられるようになります。

また、新規にDX開発を行う場合に開発言語としてJavaやPythonを選択しても、似た言語構造であれば、プログラム言語を容易に使い分けて、基幹システムの開発・保守とDX開発を両立できるようになると考えました。そこで、今回、RPGⅣ FFへのモダナイゼーションを決定しました。

7.RPGⅣ FF移行と運用保守ドキュメント整備の効率化を目指して

「RPGⅢのソースコードを、容易にかつ正確にRPGⅣ FFに変換するツールがないか?」 「運用保守ドキュメント整備を容易にかつ正確に作成できるツールはないか?」

これらについて、ベル・データ株式会社と日本アイ・ビー・エム株式会社に相談したところ、 ARCADとX-Analysis Advisorをご紹介いただきました。そして、実際に、自分の目と耳で確かめた結果、ARCADとX-Analysis Advisorを導入することにしました。

ただ、「ARCADを利用したRPGⅣ FFヘのモダナイゼーション」と「X-Analysis Advisorによるシステム運用保守ドキュメント整備」を、「POWER9搭載機への移行」と同時並行で進めると情報システム部員の負荷が極めて高くなるため、フェーズを2つにわけました。具体的には、2020年11月末に、IBM Power 720 ExpressからIBM Power System S914に移行して、既存システムを安定稼働。そして、2020年12月から「RPGⅣ FFモダナイゼーション」と「X-Analysis Advisorによるシステム運用保守ドキュメント整備」に取り組むことにしました。

新型コロナウイルス感染症の第三波流行と緊急事態宣言の発出と延長の影響を受けて、実際の取り組みが遅れましたが、2021年3月度から「RPGⅣ FFモダナイゼーション」と「X-Analysis Advisorによるシステム運用保守ドキュメント整備」プロジェクトがスタートしています。

8.優れた後方互換性があり、堅牢、安全、安心を提供するIBM i の最新バージョンへの移行結果

新型コロナウイルス感染症の流行に伴うリモートプロジェクト推進によって、IBM i を搭載する最新サーバーの導入手続きや、プロジェクトの開始時期はずれ込みました。ようやく、2020年9月にプロジェクトが開始。アプリケーション稼働環境の切替えは年末年始を避け、2020年11月24日を目標としました。そのため、2,590本のRPGⅢプログラムと1,002のデータベースやファイルの移行は、作業開始から2ヶ月という短期間で行うことになりました。

前職時代の30数年間にわたり携わってきた汎用機やオフコン、クライアントサーバー、Webシステムの世界では、COBOLやJava、Visual Basicなどで10年以上前に開発したシステムを最新のプログラム言語、ハードウェア、OS、RDBに移行する場合、移行費用だけで億円単位、移行期間も年単位でかかりました。さらに、稼働後3ヶ月くらいは、移行不具合の発生に怯えながらサポートしていました。自部門員の前では、不安な態度や仕草を絶対に見せませんでしたが、2ヶ月という非常に短かい期間で移行が本当に行えるのかは非常に不安でした。

日本アイ・ビー・エム株式会社とベル・データ株式会社の言葉を信じて、プログラムやデータの移行後の動作確認テストや、本稼働切替リハーサルを行った結果、予定通りに2020年11月21日~22日の2日間で本稼働切替を行い、11月24日に無事本稼働できました。切替作業時にネットワーク系の非互換問題が若干発生しましたが、迅速な対応の結果、プログラム修正などは一切せず、徹夜作業もせずに稼働切替ができました。IBM Power System S914の本稼働後、利用部門に影響を与えない範囲の若干の性能問題が発生しましたが、短期間で問題を解決。それ以降は、安定稼働しています。

20年以上前に開発されたプログラムをコンパイルすることなく(ソースプログラムと実行モジュールに齟齬があった場合、全数コンパイルにリスクがある)、IBM Power 720 Expressでライブラリー、データベース、ファイルをバックアップし、IBM Power System S914へリストア。それだけで、IBM i のアプリケーションが、最新のハードウェア、OS、ミドルウェアで自動的に動作できることには、本当に驚きました。容易かつ、要員の負荷を軽減して、しかも短期間で移行可能なIBM i は、硬い守りを実現できるコンピュータだと思いました。

9.今後の予定

2019年度に策定した「中長期情報システム戦略」は、ニイタカの経営状態や社内外環境を考慮して、年度単位で計画の予実評価を行いながら推進することを基本方針としています。当初策定した時点では、2025年までに全ての課題を解決して「攻めと守りを両立した情報システム」に変革する計画でした。

しかし、2020年に流行が始まった新型コロナウイルス感染症の脅威は、今も続いています。また、ここ数年の大雨や台風の襲来による洪水、さらには、東北で先日発生した「大地震」といったことをきっかけとして、社内から「テレワークを本格的に推進したい」「紙と印鑑を無くしたい」「BCP対策を強化したい」といった声を聞くようになりました。

これらのニーズに応えて、確実に実現するためには、「2025年の崖」問題の解決が不可欠です。

2021年1月に、上述した社内ニーズを反映して、「中長期情報システム戦略書」を改定しました。そして、2021年~2022年は、「RPGⅢからRPGⅣ FFへのモダナイゼ-ション」と「X-Analysis Advisorを有効活用した運用保守ドキュメント整備」に取り組むと共に、「文書管理システム構築による電子帳簿保存法とe-文書法対応と、既存文書や新規文書のペーパーレス化推進」、「会計、人事給与関連システム刷新を通じた経理と人事部門のペーパーレス推進や業務効率向上、管理会計や人事管理強化による管理部門のデジタル変革」の企画と予算化を完了ました。現在、2021年6月からの執行に向けた準備作業に着手しています。

10.IBM iに望むこと

最後に、IBM i ユーザーとして、今後の展望と、IBM i への要望をお伝えしたいと思います。

2021年度に導入予定の「文書管理システム」と「会計、人事給与関連システム」は、それぞれクラウド環境に導入することで、BCP対策と課題4を同時に解決する予定です。一方、昨年導入したIBM Power System S914はオンプレミスでの導入です。

BCP対策と課題4をともに解決するため、使用量に基づいた時間単位の課金でIBM i 環境をクラウド経由で手軽に利用できるIBM Power Systems Virtual Serverの利用も検討していきたいと考えております。オフプレミスでのIBM i の利用は今、ニイタカ同様、日本の多くのIBM i ユーザーが関心を示していると思います。IBM i をオフプレミスで利用できるようになれば、 私達IBM i ユーザーは自社にサーバーを持つことなく、BCP対策を行いながら、「安全性」「効率性」「堅牢性」に加えて「敏捷性」「弾力性」を兼ね備えた、守りと攻めを両立したハイブリッドサーバー&ハイブリッドクラウドを容易に利用することが可能となります。より多くのIBM i ユーザーが手軽に利用できるサービスとしての支援強化を望みます。

IBM i は、2032年までのロードマップが提示されています。今後、ますます、安心、安全に使え、堅牢さと将来性を兼ね備えたIBM i として進化し続けていただくことを期待しています。また、IBM i の真の姿(「安全性」「効率性」「堅牢性」「敏捷性」「弾力性」を兼ね備えた、守りと攻めを両立したハイブリッドサーバー)であることや、「RPGⅣ FF モダナイゼーションの必要性」を、これからも世の中にさらにアピールしていただきたいと思います。


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