IBM Z

メインフレーム55年 そして未来へ – 第1回 IBM Z 55年の歴史

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IBM Z の起源であるシステム/360(= IBM System/360、以下、S/360)が発表された1964年4月7日から、今年で55周年を迎えました。IBM Z の過去・現在・未来について、IBM Z の最前線のエンジニアとして現在も活躍する、IBMの技術理事(Distinguished Engineer)川口一政が、全4回のシリーズで語ります。

 

IBM Z 55周年の誕生日に寄せて

IBM Zの起源であるシステム/360(= IBM System/360、以下、S/360)が発表されたのは1964年4月7日ですから、今年でIBM Zは55周年を迎えます。変化の激しいIT業界において、このように長い間お客様に支持されてきたコンピューターは類を見ません。IBM Zは他のコンピュータ設計にも影響を与え続け、史上最も成功したコンピュータの1つとされています。IBM Zの歴史はコンピューターの歴史そのものです。そこで当ブログでは、IBM Zの歴史から学ぶ教訓と今後について、述べたいと思います。

IBM Z 55年の歴史

商用コンピュータの起源は、1951年に誕生した「UNIVAC Ⅰ」であると言われています。当時IBMは後発のコンピューター・メーカーでしたが、1964年に発表したS/360が大成功し、大型コンピューターにおける米国メーカー出荷高の7割以上を独占しました。そして55年経った今でも、多くの基幹系システムで利用されています。まずは簡単にその歴史を振り返ってみたいと思います。

図 : IBM Zから見たサーバーシステムズの歴史

1960〜70年代 : 初の汎用コンピューター、System/360の誕生

1964年に発表したS/360は、24ビットアドレッシングを採用し、I/O処理要求をCPUから独立させたチャネル・サブシステムを作りました。科学技術計算から商用計算まで対応できる、初の汎用コンピューターでしたから、その名前はコンパスの360度から命名しました。

1972年にはS/370を発表しました。S/370はS/360からの互換性を維持しながらI/O要求処理を改善し、仮想記憶機構を搭載しました。リアルタイム処理に利用され始め、RAS(Reliability, Availability and Serviceability)の概念を取り入れ始めました。また世界初の仮想化技術であるVM/370を出しました。

 

1980年代 : メモリーやI/O機能の拡張

1983年にはS/370-XAを発表しました。31ビッド・アドレッシングにより、大きな2Gバイトのメモリー空間を利用できるようになり、拡張記憶機構も導入しました。I/O処理のマルチパスを動的に選択することで、I/O処理待ちを少なくした、動的チャネルサブシステムも採用しました。仮想化技術はマイクロコードによるLPAR(Logical Partition)を、出荷しました。

1988年にはESA/370を発表し、ハイパー空間とデータ空間を追加し、さらに大きな仮想メモリーを使用できるようにしました。

 

1990年代 : ダウンサイジング時代に合わせたテクノロジーと多様化

1990年にはESA/390を発表し、光ファイバーを採用したチャネルESCON(Enterprise Systems Connection)や、複数サーバーを連携する外部タイマーが作られました。また、UNIX環境やTCP/IPの取り込みを開始しました。

1990年頃にはダウンサイジングの大きな波が来て、1994年にはS/390を発表し、BipolarからCMOSへ、大きなテクノロジー変更を行いました。遅くなったCPUスピードを補う為に、MP化(マルチコア)を推進し、データ共用した並列シスプレックスによるスケール・アウトで、大規模トランザクションの並行処理に成功しました。また1998年にはLinuxを採用しました。

 

2000年代〜 : 新時代の技術への挑戦

2000年にはz/Architectureを発表し、64ビット・アドレッシングにより、さらなる大きな仮想メモリーを使用できるようにし、ラージページを出しました。HiperSocketsによるサーバー内のリンク無し高速ネットワークや、動的にCPU能力を変更できるオンデマンド機能も出荷しました。その後もSMT/SIMDなどによるCPU能力向上、SMC-Dの採用によるIPネットワークのパフォーマンス改善、IDAA(ISAO, DB2AA)やSpark on z, 機械学習などのアナリティクス技術を採用し、現在も拡張を継続しています。

 

55年の歴史を誇る、IBM Z。続く第2回では、55年間生き残った理由を語ります

 


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