IBM Power

IBM AIXに蓄積されたデータをH2O Driverless AIで分析

記事をシェアする:

IBM AIXは、ミッションクリティカルな業務システムに、安全性、拡張性、そして信頼性に優れたプラットフォームを提供します。企業が直面するビジネス・ニーズの変化に対応できるパフォーマンス、信頼性、およびセキュリティーを約束します。

IBM Power System AC922(Power AC922)は、AIワークロード用に設計されており、高性能の多様なAIフレームワークを効率的に実行してAIモデルを学習します。H2O Driverless AIは、Power AC922上で自動的に学習を行うフレームワークの1つです。AI学習の最大の課題は、AIモデルを効率的かつ高速に学習するために、適切なインフラストラクチャーとデータを利用できるようにすることです。

AIモデルを学習する際、お客様はデータから更なる洞察を発見するためにAIモデルをデプロイしたいと思っています。そのデータは、ミッションクリティカルなシステムであるPower SystemsPowerVMベース・サーバーに存在しています。多くの場合これらのサーバーではAIXワークロードが稼働していますが、お客様はAI活用のために高レジリエントな(回復力の高い)Power Systemsから部分的にであってもデータを移動させたくないと考えています。

こうした懸念は、Power AC922上のH2O Driverless AIとAIXとを組み合わせることにより解決することができます。この記事では、お客様がPower AC922上のH2O Driverless AIプラットフォームを使用して機械学習とスコアリングを行い、PowerVMベース・システム上にAIモデルをデプロイしてインファレンス(推論)を行う方法について説明します。

 

学習/AIモデルの構築

AIX上のデータは、Power AC922上またはPower LE(リトル・エンディアン)のLinux VM上のいずれかで、H2O Driverless AIによるAIモデルの学習に使用されます。最適なパフォーマンスを得るためにはPower AC922システムをお薦めします。PowerVMベース・サーバー上のPower LE Linux VMでもAIモデルを学習することができます。H2O Driverless AIはCSV形式の学習用データを前提としています。IBM Db2など、AIX上で実行されているRDBMS(リレーショナル・データベース管理システム)のデータは、CSV形式でエクスポート可能です。このCSVファイルをH2O Driverless AIシステムにアップロードし(例:H2O Driverless AIのGUI画面で操作)、意思決定や予測を行うAIモデルを生成するための学習を実行します。

H2O Driverless AIへのファイルのアップロード後、H2O Ddriverless AIのGUI画面上でCSVファイルのカラムを選択します。この列に対して、生成されたAIモデルによる予測が実行されます。これでH2O GUIを使用して学習を呼び出すことができ、AIモデルが生成されます。スコアリング用のAIモデルをダウンロードしてデプロイするために、H2O Driverless AIは2つの方法、PythonコードまたはMOJO Javaコードを提供します。

MOJOスコアリング・パイプラインはより柔軟で高速に使用できるため、この記事ではMOJOスコアリング・パイプラインに焦点を当てます。H2O GUIを使用してMOJOスコアリング・パイプラインをダウンロードした後、お客様はデプロイしたいマシンにそれをコピーし、スコアリングを実行できます。

 

推論/AIモデルのデプロイ

前述のように、生成されたAIモデルはAIX VM (LPAR)からのデータのスコアリングのために2つの方法でデプロイできます。

1. AIモデルをPower AC922またはその他のPower Little Endian(LE)Linuxにデプロイする(図1)
2. PowerVMベースのシステム上で、AIX VMの隣にLE Linux VMを構築してAIモデルをデプロイする(図2)

ミッションクリティカルなワークロードとAIワークロードが稼働するVM間で、安全で高速かつ低オーバーヘッドのデータ移動が活用できるため、後者を選択することをお薦めします。 更に、「これらの堅実なAIXシステムからデータを移動したくない」というお客様の課題にも対応します。

図1:Power AC922にデプロイされたAIモデルと、異なるPower Systemsサーバー上で稼働するAIXのデータを活用したスタックのスコアリング

図2:Power AC922でビルドされたAIモデルと、PowerVMベースのIBM Power Systemsサーバー内のLinux VMにデプロイされたAIモデル。 スコアリングのデータをAIXから活用

以下の5つのステップを実行して、PowerVM VM(LE)上のLinuxにMOJOスコアリング・パイプラインをデプロイし、AIXデータのスコアリングに使用できるようにします:

1.datatableパッケージをダウンロードし、pipコマンドを使用してインストールします

#pip install https://s3.amazonaws.com/h2o-release/datatable/stable/datatable-0.9.0/datatable-0.9.0-cp36-cp36m-linux_ppc64le.whl

 

2.図3に示すように、H2O GUIの上部ナビゲーターからRESOURCES → MOJO2 PY RUNTIMEを選択して、daimojo-0.1+master.478-cp36-cp36m-linux_ppc64le.whlをダウンロードします

図3:H2O GUIからMOJO2 Pythonランタイムをダウンロード

 

3.pipコマンドを使用してwheelfileをインストールします

#pip install daimojo-2.0.1+master.478-cp36-cp36m-linux_ppc64le.whl

 

4.ライセンス・ファイルのパスを指定して環境変数をエクスポートします

#export DRIVERLESS_AI_LICENSE_FILE=//license

 

5.これで、Pythonコードを使用したスコアリングのためにMOJOパイプラインをロードできます。 サンプルのPythonコードを以下に示します。

まとめ

この記事では、IBM Power SystemsでH2O Driverless AIフレームワークを使用したエンタープライズAIライフサイクルを実行する方法をご紹介しました。 H2O Driverless AIを使用してPower AC922でAIモデルを生成し、お客様はPower AC922上、またはEnterprise Power Systems サーバー内(Power System E980Power System E950、Power System S924など)で、AIXのデータを用いたスコアリングを実行します。 これにより、AIXユーザーが保有する環境にAIをデプロイする便利な方法が提供されます。

もちろん他にもAIXが稼働するPower System上に存在するデータにAI機能を活用する方法があります。たとえば、セキュア・ゲートウェイを介してIBM Watsonデータ・プラットフォームに接続する、AIX VMと共存するPowerVM VM上のLinuxでIBM Watson Machine Learning Community Edition(WML CE)を利用するなどです。そこで、この記事ではそのうちの1つの方法に焦点を当てました。

参考

MOJOパイプラインをロードするその他の方法は、こちらをご参照ください。

また、REST APIをエクスポートし、そのREST APIをAIXから使用してスコアリングを実行するカスタム・コード(例:Flaskサーバー)を作成することもできます。更に、JAVAランタイムを使用してMOJOパイプラインをデプロイし、次のようにスコアリングを実行することもできます。


*本記事は、H2O Driverless AI for Data on IBM AIXの抄訳です。


More IBM Power stories

IBM Quantum Learningのコース刷新および新登場したラーニング・パスウェイ

IBM®は、IBM QuantumTM Learningで新しい教材をリリースします。量子学習コンテンツの選択に役立つ「ラーニング・パスウェイ」も利用可能になります。   量子計算の学習を始めるのに時期を待つ必 […]

さらに読む

IBM Z 移行の勘所 – お役立ちブログ情報編

IBM Z をご愛顧いただいているお客様、また IBM Z の導入、展開、移行に際しお世話になっておりますビジネスパートナー向けに、このたび、IBM Systems Japan Blog に IBM Z 移行に関するお役 […]

さらに読む

Qiskit Code Assistantのプレビュー公開

IBM QuantumTM プレミアム・ユーザーの皆様向けに、量子コードのコーディングを助けるアシスタントがプレビューとして利用可能になりました。   有用な量子計算を世界にもたらすためにIBMは、世界で最も高 […]

さらに読む