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磁気テープが最先端だった時代〜映画『ドリーム』

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映画『ドリーム(2017年9月29日公開)』に登場するIBMメインフレーム・コンピューターのことを「IBM 7090」と総称していますが、実際には、カード・リーダー、プリンター、カード・パンチ、磁気テープ装置、コンソール・コントロール・ユニット、コア・ストレージ、CPU、マルチプレクサー(多重変換装置)、データ・チャネル、パワーコンバーターといったユニットがそれぞれ独立して立ち並んで構成されています(前回執筆の『ドロシー・ヴォーンとIBMメインフレーム』に掲載してある写真を参照ください)。

今回は、以下のシーンで、ドロシー・ヴォーンの背後に複数台並んでいる筐体について紹介します。

ドロシー・ヴォーンとIBM 729 ©2016 Twentieth Century Fox

これらの筐体は、この当時の大容量ストレージ機器だったIBM 729という名称の磁気テープ装置です。IBM 729にはいくつかのモデルがあり、この場面に登場しているのは、1961年9月に発表されたIBM 729 Ⅵ という名称のモデルです。

それぞれのIBM 729の筐体上方にセットされている2つの円形のものは、磁気テープを巻くリールです。(ひょっとすると、リールに巻かれたテープに音楽を録音する、昔のオーディオ機器をご記憶の方もいらっしゃるかもしれませんね)

円形のリールに巻かれている当時の磁気テープの具体的な記憶容量については、後ほど記述するニュース・リリースで紹介されているIBMの最初の商用テープ製品であるIBM 726のデータを引用します。

「IBMの最初の商用テープ製品となる726磁気テープ装置が発表されたのは60年以上前のことでした。この製品では、約2メガバイトの容量を持つ1/2インチ幅テープのリールが使用されていました。」

テクノロジーの進化とともに、テープから、ハードディスク、そして、オールフラッシュへと、主流となるストレージ機器は変化をしています。IBMも用途ごとに選択が可能なオールフラッシュ・ストレージを提供しています。そして、同時に、磁気テープのテクノロジーの研究開発も続けているのです。

2017年8月2日、ソニーストレージメディアソリューションズ株式会社が開発したスパッタリング磁気テープの試作品を用いて、IBMの研究チームは面記録密度201Gb/in2(ギガビット/平方インチ)という世界新記録を達成したことを発表しました。(この数字は、上述したIBM 726のデータと比較において、1億6500万倍となります)
ニュース・リリース:磁気テープ・ストレージで新記録を樹立、クラウド・ストレージにおける磁気テープの競争力を強化

ドロシー・ヴォーンの時代から半世紀以上を経た現在においても、磁気テープのテクノロジーにおいてIBMはリーダーシップを発揮しているのです。そして、もちろん、IBMはメインフレームについても研究開発を継続しており、2017年7月18日に発表した IBM z14にも最先端のテクノロジーを投入しています。

今回は、どちらかというとストレージの内容となりましたが、確かなことは、計算手と呼ばれた人々が巨大で複雑な計算を分担して行なっていた時代に、(構成ユニットの一部に今回紹介したIBM 729を含む)IBM 7090を導入したNASA、そして、IBM 7090を使いこなしたドロシー・ヴォーンは、その時代における最先端だった、ということだと思います。

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現代のIBMのメインフレーム
これまでも、そして、これからも社会基盤を支えるIBMのメインフレームは、ブロックチェーン機械学習といった最先端のテクノロジーの基盤として、デジタル時代に求められる信頼を根幹から支えます。


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