量子コンピューティング
ヨーロッパ初のIBM Quantumデータセンターがオープン
2024-10-08
カテゴリー IBM Research (コンピューティング) | 量子コンピューティング
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2024年10月1日、ドイツ連邦首相 Olaf Scholz氏とヨーロッパ地域のパートナーの代表者に出席して頂いて、IBMはヨーロッパ初の量子データセンター(Quantum Data Center)のテープカットを行いました。
ヨーロッパの企業、研究機関、大学、および政府機関などの組織は、IBM Quantum Networkにおいても、グローバルな量子計算コミュニティーにおいても重要な役割を果たしてきました。IBMはヨーロッパ初のIBM量子データセンターの立ち上げにより、それらの組織がさらに高度な量子計算にアクセスするための選択肢をご提供します。
【注】IBM のヨーロッパ初の量子データセンターの落成式のリプレイを、こちらで ご覧ください。
このデータセンターのオープンによりユーザーは、IBM Quantum Platformを通して、ヨーロッパに設置されヨーロッパにいるチームによってサポートされた実用規模のシステムで、量子計算の実行ができるようになります。ヨーロッパに設置された QPUには、IBM Quantum Platformのプレミアム・プランか、Qiskit Runtimeの 従量課金(Pay-as-you-go)プランでアクセスすることができます。IBM はサード・パーティー・オファリングについても、地域のビジネス・パートナーと協業しています。
ヨーロッパの量子コミュニティーへのIBMのコミットメント
ヨーロッパは量子物理学の故郷であるとともに、今も量子物理学と量子計算の探究において中心的な役割を果たしています。そしてまたヨーロッパはIBM Quantumコミュニティーとも深く関わっています。現在、80 を超えるヨーロッパの組織が IBM の量子コンピューターにアクセスして、850 を超えるヨーロッパの開発者が IBM Quantum learningバッジを取得しており、10 万人を超えるヨーロッパの学習者が IBM Quantum Learningを使用しています。
今日、ヨーロッパの組織は量子分野において将来にも続く大きなインパクトある成果を生み出しています。それらの組織には、IBMの European Quantum Innovation Centers、業界パートナー、およびIBM Quantum Networkのメンバーが含まれます。これらの組織は、最先端の研究で量子物理学の進歩を加速しています。
IBMは長い間、ヨーロッパにおける量子エコシステムへのコミットメントを示してきました。IBMはIBM Quantum System Oneをドイツ Ehningenに設置しましたが、これは米国外では世界初の設置でした。またIBMは、量子ビジネス、ソフトウェアとファームウェアの開発、コミュニティーの形成、サポート、コンポーネントの開発、アプリケーションの研究などを重点的に行うチームをヨーロッパに配置しています。そしてその他のビジネスや開発のチームもヨーロッパ中に存在します。
IBMのヨーロッパ量子データセンターは、このコミットメントを次の段階に進ませるものであり、世界をリードするヨーロッパの科学研究機関に、引き続き物理学の最先端を開拓する機会を提供します。
欧州の裏庭にある実用規模の量子コンピューター
2023年にIBMは、愚直な古典シミュレーションの能力を超えて、量子回路から正確な結果を取り出すことができる量子コンピューターを世界で初めて示しました。これに続いて新しい研究が次々と行われ、世界中の組織が、材料化学、粒子物理学、化学などの分野での問題解決に100量子ビット以上の量子コンピューターを使い始めています。
【注】IBM とカリフォルニア大学バークレー校による、有用な量子コンピューティングへの道を拓いた論文について詳しくはこちらをご参照ください。
今、IBMは世界中の組織に実用規模の量子コンピューターを提供したいと願っています。このヨーロッパ量子データセンターには、ibm_strasbourg と ibm_brussels という2台の、127量子ビット IBM Quantum Eagleチップを備えた実用規模の量子コンピューターが設置されています。そしてまもなく、ibm_aachen という名前で 156量子ビットの IBM Quantum Heronチップを持った量子コンピューターが稼働します。
これでユーザーは、米国をベースとした IBM Quantum Platform を使用して、ヨーロッパに設置され、ヨーロッパに拠点を置くチームによってサポートされた実用規模システム上で計算タスクを実行できるようになります。ユーザーは、サイズと信頼性の両方で競合他社を凌駕する量子コンピューターにアクセスできます。
ただし IBM Quantum Platform は米国でホストされているため、データが完全にヨーロッパから出ないということではありません。 私たちは GDPRに常に準拠しており、回路への入力、実行、および出力はヨーロッパで行われます。IBMが お客様のニーズに合わせてサービスをさらに改善するため、ぜひIBMにフィードバックを頂けるようお客様にお願いしております。
IBM のヨーロッパ量子データセンターが稼働開始!
【注】ヨーロッパIBM量子データセンター落成式で撮影された写真。左から右の順で:Dr. Anna Christmann, Federal Government Coordinator for the Digital Economy and Start-Ups, Federal Economics Ministry; Dr. Nicole Hoffmeister-Kraut, Minister for Economic Affairs, Labour, and Tourism, State of Baden-Württemberg; German Chancellor Olaf Scholz; ; Dario Gil, IBM Senior Vice President and Director of Research; Ana Paula De Jesus Assis, General Manager of IBM EMEA.
ヨーロッパ量子データセンターは、ドイツ連邦首相 Olaf Scholz氏と、Crédit Mutuel Alliance Fédérale、T-Systems、SAP、FraunhoferといったヨーロッパにおけるIBMのパートナーの代表者が出席するセレモニーで正式に始動しました。IBM Quantum Networkに属しヨーロッパに拠点を置くメンバーは、これらの実用規模システムを使用して実用規模のアプリケーションをすでに探索し始めています。
「量子計算の『規模拡大』段階におけるIBMとの協業は、計画どおりに進んでいます。私たちは、お客様やメンバーの体験を改善し、グループのビジネス価値を生み出す具体的なアプリケーションを開発するために作業しています」と、Crédit Mutuel Alliance Fédéraleの、President of Euro-Information and Deputy Chief Executive Officerである Frantz Rublé氏は述べました。
「ヨーロッパの土地でこの量子データセンターが利用可能であることで、処理の近接性と規制遵守などの制約条件に対応することができます。そしてこのことはまた、Crédit Mutuel、CIC、そして次に Targobankにおける量子プロジェクトにおいて、次の段階を自信を持って迎えることができるということを意味しています」とさらに語りました。
IBMのオファリングについてはこちらをご覧ください。
この記事は英語版IBM Researchブログ「Europe’s first IBM Quantum Data Center is now open 」(2024年10月1日公開)を翻訳し一部更新したものです。
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