IBM Sustainability Software
テクノロジーの進化で「交通安全」に進化と変革を(Watson IoT 林 稔晃)
2019年03月18日
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Watson IoTチームメンバー・インタビュー #14
林 稔晃 ソリューション・セールス
IoTとAIが作り出す未来について、Watson IoTチームのメンバーにお話していただくインタビューシリーズ、第14回は林 稔晃さんにお話いただきました。
(インタビュアー 八木橋パチ)
— よろしくお願いします。林さんはこれまではどんなお仕事をされてたんですか?
IBMに転職して3年半くらいになります。転職してきてすぐにWatson IoTチームに配属となりました。
転職してくる前は、CAE(Computer Aided Engineering)と呼ばれるシミュレーションソフトの自動車関連企業への営業をしていました。
— CAEって、CADとは違うものなんですか?
CADと近いところも多いんですが、CADがモノの設計・製図が主なのに対し、CAEは設計したモノの構造が設計意図通りか、強度は設計通りなのかなどをシミュレーションを行って検証をするのが主な役割ですね。
そういった製品をずっと扱っていたのですが、だんだんCAEで扱うメカやエレキの領域だけじゃなくて、「組み込み」と呼ばれるようなソフトウェアの領域にも興味が湧いてきたんです。メカ、エレキが構成要素の中心だった自動車にソフトの占める割合が大きくなっており、その領域でビジネスをしたいと考えていました。
— 何かきっかけはあったんですか?
きっかけとは違うかもしれないですけど、そういう漠然とした興味を持ちつついろんな企業の方と話をしている中で、当時IBMのラショナル事業部長の方の言葉が私にはとても響いたんです。「これから車がネットにつながり、プローブカーとして働くようになる。その時サーバー側の技術が鍵を握るだろう」っていう。
そうなると組み込みだけでなく、サーバー側のシステムも含めた大きなシステムのデザインや開発が必要になります。そういったサーバー側の基盤や開発環境も提供しているIBMは、今後自分のやりたいことを実現できる環境ではないかと考えました。
— 「プローブカー」ですか…。すいません、まったく聞いたことがない言葉です。
街を走っている車を「センサー」として考えて、そこからデータを収集していき、より良い交通状況を作っていこうというのがプローブカーです。
先ほどの言葉に強く影響を受けてIBMへの転職を決めたんですが、まさに今、そのプローブカーのサーバー側に関係する仕事をやらさせてもらっていて、毎日すごく楽しいしエキサイティングですね。
— プローブカーのサーバー側っていうのは、どのあたりがエキサイティングなところなんでしょう?
IBMが提供しているConnected Vehicle Insightsというソリューションは、自動車業界における自動運転技術や損害保険業界におけるテレマティクス保険の基盤となる部分を提供しています。すでに実現している部分もありますが今後さらに発展していくでしょう。
その鍵を握っているのがサーバー側、クラウド側でのテクノロジーの進化です。この進化が自動運転やテレマティクス保険の大きな進化に直結するだろうと思っています。
また、自動車業界や損害保険業界だけではなく、高齢ドライバーや外国人ドライバーによる事故を防ぎたい物流業界、自社店舗に車で来店するお客様のデータと購買データを組み合わせて活用したい流通業界、貸し出した車の事故のリスクを下げて貸主を増やしたいカーシェアリング業界、またMaaS(Mobility as a service、マース)プロバイダーを目指す鉄道業界などの多様な業界のお客さまともコラボレーション計画も進めています。
新しいサービスの開発が進み提供がスタートすれば、「IoTを活用したドライバーの運転安全性向上」「MaaS」「走行データ活用ビジネス」はますます加速し、私たちが住みやすい社会となっていくでしょう。そう考えるとワクワクしますね。
参考: IoT for Automotive – IBM IoT Connected Vehicle Insights
— 林さんは元々ゼロからイチを生み出すのが好きなタイプだったんですか?
いや、IBMに入社してからですね。元来はイチをヒャクにする方が好きだったし得意だったと思っていますし、今でもそっちも大好きです。
ただ、価値を提供できる範囲が広がっていくのは、シンプルにとっても嬉しいことですよね。以前は自動車会社だけが対象だったのが、より多くの業種業界の方たちに喜んでもらえて、それが社会に広がっていくわけですから。
— 最近、そういう拡がりを感じた場面はありましたか?
そうですね。例えば、行政の方たちと直接やりとりすることなんて、以前はほとんど考えられませんでした。でも、最近はディスカッションの場に参加できることも増えています。
今後もConnected VehicleやWorker Insightsの技術はどんどん進化するでしょうし、それと同じくらいのスピードで適応範囲も拡大していくと思います。それに応じて解決できる課題も増え続けるはずです。
— 具体的にどんな分野が出てきそうでしょうか。
一番最初に浮かぶのは、体温、脈拍、血圧などの「バイタルデータ」と呼ばれている身体状態情報の活用ですかね。安全と健康を結びつけることで、社会に提供できる機会は目の前にたくさんあると思っています。
例えばトラックやバスの運転手、飛行機のパイロットや乗務員など、移動手段や物流を支えてくれている人たちの健康は、安全な社会に直結しますよね。
— 林さんは家ではどんな過ごし方をしているんですか。
家で過ごす時間も好きなんですけど…私…こう見えてもクラブミュージックが大好きな、ダンスミュージック・ラバーなんです!
そんなわけで、週末は渋谷のクラブで踊ってることが多いですね。
— ちょっと意外! もう少しインドア派なイメージでした。あ、クラブはインドアか(笑)。
とは言え、平日は家でまったり過ごしていますよ。
自分のオタク度の高さも自覚していて、ついこないだ、Nasという大好きなラッパーが育ったニューヨークのヒップホップの聖地と呼ばれる辺りをGoogleマップで見ていたら、すっかり空想の世界にハマってしまって。気がついたら何時間も経っていました。
— それはなんというか…はい。オタク度高いです。
まあ家族や彼女ができれば時間の使い方も変わるのかもしれませんが、今はそんな時間の過ごし方に幸せを感じます。
— 林さんが日本社会に足りないなって思うものはなんですか?
急に真面目な話に戻りますね…。そうですね、自分自身を含めてですが「第一歩を踏み出す」ことに慎重になり過ぎてしまうこと、億劫さや臆病さを感じてしまうことでしょうか。
なんだか日本だけが取り残されてしまうんじゃないか? って不安になりますよね。
— 具体的にそれを感じる場面に遭遇することもありますか?
そうですね。「それは中計にないから無理です。検討することすらできません」と言われたことがあります。
— そんな状況で、私たちにできることは何かありますか?
…私たちIBMが率先してマインドチェンジして、新しいことにチャレンジしていく姿を見せなきゃいけないよなとは思います。簡単ではないけれど。
「あれが足りない」「これは難しい」と言ってるだけじゃ変わらないので、マインドを変えて、その上で行動を変えて、結果を変えていく。「脅威をチャンスに」って言うだけじゃなくて、目に見えるようにしていかなきゃいけないですよね。
インタビュアーから一言
このインタビューの途中に、なんと、林さんと私が住んでいるのはなんと歩いて10分くらいの距離だということが判明! そしてせっかく近所でせっかく同じ部署にいるのだから、そのうち何か一緒に地元に提供したいよね、という話に。
私たちの住んでいる地区は高齢者と外国人の多い地区なので、そんな彼らにIoTを用いたリビングラボ(市民が参加する街中での実証実験)を通じて、暮らしやすさを届けられたらいいなあ。今後の、林さんの行政の方たちとのネットワークに期待しよっと!
(取材日 2019年1月15日)
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