デジタル変革(DX)
モダナイゼーションとは
2023年04月18日
カテゴリー アプリの開発とモダナイゼーション | デジタル変革(DX)
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モダナイゼーションとは
「モダナイゼーション」とは、レガシー・システムを最新のテクノロジーやトレンド、業界標準に合わせて最適化し、新たな価値を生み出すように変革することです。古いハードウェアやソフトウェアを最新のものに置き換えること、アプリケーションを更改すること、新しい開発手法や運用方法を採用すること、最新のセキュリティー対策を実装すること、ITインフラストラクチャーの総合的な効率性・信頼性・パフォーマンスを向上させるための改善を行うことを指します。
「モダナイゼーション」は modernization のカタカナ表記です。従来は社会・歴史の文脈において“近代化”、“現代化”などと翻訳されていましたが、今日ではIT分野を中心に外来語として用いられるようになっています。
レガシー・システムとは
「レガシー・システム」とは、ビジネスのトレンドや変化のスピード、最新の業界標準へ対応できない過去のテクノロジーやアーキテクチャー、開発手法で構築されたITシステム(ハードウェア、ソフトウェア、アプリケーション)のことです。システムの肥大化・複雑化・ブラックボックス化や、性能・俊敏性・拡張性の不足などが課題となっています。これら課題の解決にはモダナイゼーションが必要となります。「レガシー」は legacy のことで“遺産”、“相続財産”などの意味の転用です。
『2025年の崖』とモダナイゼーション
経済産業省が2018年に発表した「デジタルトランスフォーメーションレポート〜ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開〜(IBM外のサイト)」をきっかけにモダナイゼーションの必要性が注目されるようになりました。レガシー・システムが抱える課題を克服できないと、DXが実現できないだけでなく、2025年以降、年間で最大12兆円、現在の約3倍の経済損失が生じる可能性があると言われています。それが『2025年の崖』です。
マイグレーションとモダナイゼーションの違い
「マイグレーション」(移行)は、システムやデータをあるホストやプラットフォームから、クラウドなど別の環境に移動するプロセスです。アプリケーションの構造は変更しません。主にはTCOの削減を目的としています。
一方、「モダナイゼーション」は、既存のITシステムのパフォーマンス、効率性、セキュリティーを、最新技術を取り入れて改善・最適化しながらシステムをアップグレードするプロセスです。これには、ハードウェア、ソフトウェア、またはアプリケーションの更改、新しい開発手法・運用方法やツールの採用、新しいセキュリティー対策の実装が含まれます。主にビジネスの拡大を目的としています。またプロセスに「マイグレーション」(移行)を含む場合があります。
IBMではマイグレーションとモダナイゼーションのことを「リフト・アンド・シフト」とも呼んでいます。
モダナイゼーションが重要な理由とメリット
ビジネス変革に対する制約を抱えるレガシー・システムをモダナイズし、最新のテクノロジーを活用、システムや運用の効率を改善することで、既存ビジネスの確実な継続と新規ビジネス創出の両立が可能になります。
- 柔軟性・俊敏性の向上:レガシー・システムは古いテクノロジーやスキル要員の不足などにより、ビジネス環境の変化に対応するための柔軟性や俊敏性が不足している場合があります。システムをモダナイズすることで、これらの問題を解消し新業務・新商品の投入を迅速化できます。
- コスト削減:レガシー・システムは、ハードウェアやソフトウェアの保守運用に多額のコストがかかる場合があります。システムをモダナイズして、より効率的な新しいテクノロジーを活用することでコストを削減でき、新規開発への投資が可能になります。
- 拡張性の強化:モダナイゼーションにより、アプリケーション構造(密結合)に起因するシステムの制約から解放され、機能の追加や拡張・変更が容易になるため、ビジネスニーズに応じて業務を拡大・進化させることができます。
- データの利活用促進:レガシー・システムは、事業部門ごとの分断、複雑なシステム連携や厳格なセキュリティー、ガバナンスの制約などにより、データ資産へのアクセスに困難を抱えている場合が多々あります。システムをモダナイズすることで、データへのアクセスを容易にし、新たなビジネスの洞察や顧客体験の創出が可能になります。
- 生産性・品質の向上:レガシー・システムは柔軟でない開発運用プロセスといった課題を抱えています。現行アプリケーションを可視化し、一貫性のある全体アーキテクチャーを構築して、DevOps・SRE等の最新の開発運用プロセスを適用することで開発・保守の生産性や品質を向上させることができます。
- パフォーマンス・可用性の向上:モダナイゼーションにより、システムのパフォーマンスと可用性が向上し、セキュリティーや耐障害性が強化されることで、システム応答時間やダウンタイムが短縮され、ビジネスの生産性・継続性を向上させることができます。
モダナイゼーションの適用領域
モダナイゼーションの適用領域には、以下のようなものが挙げられます。
- ユーザーインターフェース(UI):レガシー・システムのユーザーインターフェースを更新して、使いやすさやユーザーエクスペリエンス(UX)を改善させます。
- アプリケーション:レガシー・システムのビジネスロジックや機能性、構造を最適化・最新化して、組織の現在のニーズや要件を満たします。アプリケーション・モダナイゼーションの詳細はこちらをご覧ください。
- データ:レガシー・システムに格納されたデータの管理やアクセスの方法を更新して、パフォーマンス、スケーラビリティー、セキュリティーを向上させます。
- インフラストラクチャー:ハイブリッドクラウド戦略を採用し、柔軟性と拡張性を備えたセキュアなメインフレーム、サーバー、およびストレージに統合することで、段階的なモダナイゼーションを実現できます。
- オペレーション:自動化やAIなどを活用して、ビジネスプロセスを改善しながら、新しい働き方を可能にすることで、ビジネスの効率性や生産性を向上させます。
モダナイゼーションの方法
モダナイゼーションの方法には以下のようなものがあります。リストの下の項目ほどコストや移行期間が大きくなります。ビジネスの目的と照らして、コストとスケジュールを勘案し採用する方法を決定します。
- API化:外部連携に向けてアプリケーション・インターフェースの仕様を変更します。
- リホスト/リプラットフォーム:コードやアーキテクチャーの大幅な変更なしに、アプリケーションやデータを新しいホスティング環境(クラウド・プラットフォームやハイブリッドクラウド環境のサーバーやストレージなど)に移動します。
- リファクタリング/リライト:アプリケーションのソース・コードを新しいプログラミング言語やライブラリーなどを用いて変更、書き換えます。機能は変更せずに、処理速度やメンテナンス性、セキュリティーを改善させます。
- リビルド:アプリケーション・アーキテクチャーを変更します。業務やシステムの全体的な機能性は変更しません。
- ビジネス・プロセス・リエンジニアリング(BPR)/スクラッチ開発:業務ごと見直したり、業務要件定義からやり直したりして、レガシー・システム全体を、組織の現在のニーズや要件に合わせて新しいシステムに置き換えます。
モダナイゼーションの進め方
一般的にモダナイゼーションを実施する場合は次の5つのステップで進めるのが理想です。
- ビジネス戦略・IT戦略の整理
- IT資産の現状分析
- モダナイゼーション方針の決定、あるべきアーキテクチャーの策定
- 移行ロードマップ・計画作成
- 継続的なモダナイゼーションの実行
モダナイゼーションの始め方と成功のポイントの詳細はこちらをご覧ください。
モダナイゼーションで活用されるテクノロジー
モダナイゼーションにおいて重要なテクノロジーは以下の通りです。
- クラウド・コンピューティング:クラウド・コンピューティングは、リソースのスケーリングや柔軟性、可用性の向上など、レガシー・システムのモダナイゼーションに欠かせないテクノロジーです。クラウド・ベースのソフトウェアやサービスを活用することで、企業は必要なリソースを簡単かつ迅速に手に入れることができます。
- コンテナ化:コンテナ化技術は、アプリケーションの開発やデプロイメントを容易にし、レガシー・システムの移植性や拡張性を高めることができます。
- マイクロサービス:マイクロサービスは、大規模なアプリケーションをより小さな単位に分割し、独立して開発やデプロイメントを行うことができるようにするテクノロジーです。これにより、レガシー・システムをより柔軟で拡張性の高いシステムにモダナイズできます。
- 自動化:人の手間を最小限に抑えて自動で大規模なビジネスおよびIT運用を処理します。ビジネスのエンドツーエンドを自動化することにより、コストを削減し、生産性を向上させることができます。
- AI(人工知能):自動化やプロセス改善などの面で、レガシー・システムのモダナイゼーションに役立ちます。例えば、AIを用いることで、顧客サポートや顧客エンゲージメントの自動化を行うことができます。
- 業界専門知識:IBMは幅広い分野で深い業界専門知識を持っており、組織が抱える独自の課題を理解し、適切なソリューションを提供することができます。
- 最新テクノロジー:IBMはクラウドコンピューティングやAI(人工知能)、自動化、IoT、ブロックチェーンなど最新のオープンテクノロジーを幅広く提供しています。
- 豊富なデリバリーと運用保守の経験:IBMはエンタープライズ領域におけるミッションクリティカルな基幹システムの構築、運用の豊富な経験があり、システム連携、移行、運用を考慮したモダナイゼーション設計が可能です。
- 実績のある方法論と実行のノウハウ:IBMには、IBM Garage Methodologyなどの実績のある方法論と、マルチベンダーを含めた豊富なプロジェクトマネジメント、大規模で高度なシステム・アーキテクチャー検討のノウハウがあります。
- グローバルレベル知見の活用:IBMは体系的に整理されたグローバルのベストプラクティスを提供可能です。また広範囲なモダナイゼーション検討領域に対する最適なアプローチを共創します。
これらのテクノロジーを組み合わせることで、レガシー・システムのモダナイゼーションをよりスムーズかつ効果的に行うことができます。
IBMとモダナイゼーションを進めるメリット
IBMは以下のような強みを持っており、IBMと一緒にモダナイゼーションを進めることで、DXをさらに前進させ、業務をスムーズにし、お客様により良いサービスを提供することが可能になります。
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