IBM Data and AI
IBM Cloud Pak for Data でIT コスト削減を実現
2021年02月10日
カテゴリー IBM Cloud Blog | IBM Data and AI
記事をシェアする:
新型コロナウイルス感染症で市場の先行きが不透明な今、どのビジネス・リーダーも、事業継続性を確保しつつコストを削減するという前例のないプレッシャーに直面しています。そして誰よりもこのプレッシャーを感じているのが CIO です。データ、分析、および AI への関心の高まりに対応すると同時に、仮想コラボレーション、自動化、およびセルフサービスという新しい現実を可能にするにあたって、IT リーダーたちは、複雑性を軽減し、オファリングを統合せざるを得なくなっています。数多くの困難があっても、現在の景気の低迷は機会をもたらすことができます。WhatsApp や Uber などの今大きく成功している企業のいくつかは、2008 年の世界金融危機のさなかに誕生しました。今回の危機もいずれは去りますが、今日の私たちの行動や意思決定は、遠い将来にまで影響を及ぼすという意識を持つことは極めて重要です。
IBM Cloud Pak for Data は、AI の活用を成功させるためのモダンなデータ・アーキテクチャーの基盤を作りながら、大幅なコスト削減を実現するために構築されています。どのようなパブリッククラウドまたはプライベートクラウド上にも柔軟にデプロイできるため、お客様がそれぞれのニーズに適した環境を選択することができるとともに、ベンダー・ロックインも回避します。標準で Red Hat OpenShift 上で稼働する(英語)ことから、自動プロビジョニングとスケーリング、シームレスなアップグレード、組み込みの高可用性、共通ロギング、計量、モニターなど、クラウドネイティブならではのメリットを継承します。実現が可能なコスト削減のうち、お客様の共感を呼ぶものが 4つあります。
- データ仮想化を通じたデータのストレージ・コストおよび移動にかかる費用の削減
- 統合プラットフォームへのデータおよび AI 機能の集約
- モダンなクラウドネイティブ・アーキテクチャーの導入によるインフラストラクチャーおよび保守コストの最小化
- コンプライアンスを確保しながらのガバナンスおよびセキュリティーの合理化
上述のコスト削減は、単独でもそれぞれ大きな価値がありますが、モダンなプラットフォームが持つ潜在的な効果と組み合わせれば、メリットは何倍にも膨らみます。別の言い方をすると、Cloud Pak for Data を使用すれば、お客様は今大いに必要とされているコスト削減を実現すると同時に、変化する市況に容易に適応できるようになります。これら 4 つの領域についての詳細と、プラットフォームを段階的に導入していく方法について見ていきましょう。
1. データのストレージ・コストおよび移動にかかる費用の削減
これまで、企業は分析のためにさまざまな運用システムから、データマート、データウェアハウス、データレイクなどの中央のデータ・ストアにデータをコピーすることによってサイロの解消を試みてきました。これは、一定のユースケースにおいては今も適した方法であると言えますが、ビジネス・ユーザーまたはデータサイエンティストが新しいデータを必要とするたびに規模を拡大するには、必要となる時間、費用、およびリソースの負担が大きすぎます。データの抽出、変換、および集約はリソース負担が大きく、高額なコストと時間がかかりますが、これらはデータ仮想化により回避することが可能です。データをソースで利用することによって、データの複製に伴う複雑性と、追加のガバナンス、セキュリティー、およびストレージ要件が排除されます。また、これにより、アプリケーション開発を簡素化し、ハイブリッド型データ・ソースを単一のビューで活用できるようにもなります。一方で、ETL (抽出、変換、およびロード) 機能が複雑な変換プロセスを支援し、データ仮想化を補完します。その結果、ユーザーによる初期段階でのデータの移動や変換が不要になり、統合されたビジネスに使いやすいビューがほぼリアルタイムで提供されます。Cloud Pak for Data により ELT 要求を 25% から 65% 削減できることを報告した最近の Forrester レポートをご覧ください。(要登録)(英語)
Cloud Pak for Data は、アプリケーション・テストの分野において、データの重複を排除し、ストレージ・コストを削減することもできます。Cloud Pak for Data プラットフォームでは、新しい Virtual Data Pipeline (VPD) と呼ばれるサービスが提供されるようになりました。このサービスは、機能テストおよび開発用に完全なコピーをとるのではなく、容量効率のよいスナップショットをとることによって、ストレージ容量を最大 95% 削減できる(要登録)(英語)ことが証明されています。高度な圧縮技術を通して実動データの各コピーを最適化することによって、ソース・データの圧縮されたバージョンと最適化されたバージョンの間の連続性を保ちながら、必要なストレージを劇的に縮小することができます。
2. データと AI ソフトウェアの統合とツール・コストの削減
クラウドの導入により、統合と全体的な一貫性が推進されるようになっています。お客様がアーキテクチャーのモダナイズを検討するにあたっては、将来の統合された環境に向け、異種混合の従来の製品を合理化することが必須です。そうすることで、短期的に大きなコスト削減が実現できるようになるだけではなく、よくあるスキル・ギャップへの対応や迅速なイノベーションも可能になります。Cloud Pak for Data は、分析ライフサイクル全体にわたる統合されたデータと AI プラットフォームを提供し、データを収集、編成、および分析し、ビジネス・プロセスで AI を活用するために企業が必要とする機能をもたらします。プロプライエタリー、オープンソース、およびサード・パーティー・サービスの活発なエコシステムを活用することで、企業は異種ベンダーによる従来の機能をモダナイズし、ソフトウェア保守や、ポイント・ソリューションの管理、アップグレード、および統合への IT 支出を大幅に削減できます。
重複が削除されることで、リソースを戦略的な優先事項に集中させることも可能になります。手作業のタスクおよび統合はプラットフォームが対応します。この好例が、熟練データサイエンティストの専門知識を必要とせずに AI モデルをわずか数分で構築できるようにする Cloud Pak for Data のサービス Auto AI です。これは、データサイエンティストの確保が困難な現状において、極めて重要な機能です。タスクの自動化には、企業のアジリティーを促進し、スキルのあるリソースをより価値の高い問題に専念させられるという効果もあります。
3. クラウドネイティブ・アーキテクチャーによるインフラストラクチャーおよび保守コストの削減
クラウドネイティブ・アーキテクチャーにより、従来のソフトウェアの開発および提供方法が劇的に変化しています。これは、パブリッククラウドに限られたものではありません。Red Hat OpenShift (英語)は、コンテナ化されたサービス、コンテナ管理、およびオーケストレーションを通して、クラウドネイティブ・アーキテクチャーのメリットを、場所を問わず実現する支援をします。これにより、IT インフラストラクチャーおよび開発コストを 1 つのアプリケーションにつき最大 38% 低減できます。(英語)このようなメリットに加え、Cloud Pak for Data は、さらにエンタープライズ・デプロイメント向けに最適化されており、簡素化されたプロビジョニングとスケーリング、統合された管理、自動化された IT オペレーション、およびシームレスなアップグレードで、管理コストの削減を支援します。インフラストラクチャー管理の作業を 65% から 85% 削除(要登録)(英語)することによって、お客様がインフラストラクチャーおよび管理にあたる人員を解放し、より複雑な問題に専念できるようにします。
Cloud Pak for Data はどこにでもデプロイできる柔軟性を備えているため、お客様はパブリッククラウドのインフラストラクチャー面でのメリットを享受しながら、ベンダー・ロックインを回避することができます。Cloud Pak for Data はハイパーコンバージド・システムとして利用できるため、価値実現までの時間の短縮、ローカル・インフラストラクチャーの最適化、およびハードウェアとソフトウェア全体でのサポートの統合を求めているお客様に、さらなるメリットがもたらされます。これは、オンプレミスの DIY シナリオ向けのプライベートクラウド・デプロイメントが高度化していることを考えると、とくに重要性が高いと言えるでしょう。
また、クラウドネイティブ・アーキテクチャーによって、企業にとって重要な高可用性が確保され、シームレスなアップグレードが可能になります。従来のソフトウェアのアップグレードは、複雑性によっては数週間から数カ月間かかり、大量のリソース、時間、および費用を要します。Cloud Pak for Data を使用することで、これらすべてを回避でき、それ以上に重要なことに、ソフトウェア・アップデートのメリットを即座に実現することができます。このインフラストラクチャー、管理、およびソフトウェア・アップグレードに関連するコスト削減だけでも、Cloud Pak for Data へモダナイズするビジネス・ケースの根拠を示すのに十分です。
4. コンプライアンスを確保しながらのガバナンスおよびセキュリティーの自動化
エンタープライズのお客様のほとんどが、ガバナンスおよびセキュリティーを、規制コンプライアンスを確保し、セキュリティー違反による評判リスクを回避するための、ビジネス上必要な出費と認識しています。しかし、ガバナンスをうまく機能させることができれば、セルフサービス分析という形で、多大なビジネス上の価値を実現することができます。ガバナンスおよびセキュリティーをうまく機能させることのカギは自動化であり、まさに Cloud Pak for Data が得意とするところです。Cloud Pak for Data では、すべてのデータ資産 (構造化・非構造化) に対するデータ・ディスカバリー、用語割り当て、コンプライアンス・リスクの識別、ポリシーの適用といった単調な手動タスクを自動化することにより、データ・ガバナンスおよびコンプライアンス確保にかかるコストを削減します。企業はサード・パーティーのコンサルティング会社に膨大な報酬を支払ってガバナンスおよびセキュリティーに対応していますが、これはその場しのぎに過ぎず、長期的な解決策ではありません。Cloud Pak for Data を使用することで、これらのコストを大幅に削減すると同時に、モダナイゼーションも行えます。
もう 1 つのポイントは、世界中で増加し、変化し続けているプライバシーおよびデータ保護規制です。グローバル企業に多大な影響を与えるプライバシー規制には、一般データ保護規則 (GDPR)、カリフォルニア州消費者プライバシー法 (CCPA)、およびブラジルの一般データ保護規則 (LGPD) などがあります。米国の 25 以上の州が、これらに類似した、さまざまなレベルの成熟度を要求する規則を義務化しています。「InstaScan」(英語)は、Box、Google Drive、Microsoft OneDrive、および SharePoint にわたるスキャンを自動化する、Cloud Pak for Data の新しい非構造データ管理およびプライバシー・サービスです。わずか数時間でホット・スポットを特定してプライバシー違反の修復を優先順位付けし、規制コンプライアンスに対応するために必要な手作業を大幅に削減します。
最後に、新型コロナウイルス感染症により、私たちの生活、学び方、働き方、娯楽に大きな変化が生じています。多くの場合、さまざまな業界にわたってこれまでに拡大してきたトレンドが一気に加速されるでしょう。これは、今後のデータ、分析および AI ワークロードの管理方法にも当てはまります。イニシアチブを取り、この機会を生かして自社のアーキテクチャーを合理化、統合、および変革する企業は、他社に先んじて、即座のコスト削減による短期的な効果を得て、将来的に常に進化する、アジャイルな組織となるためのモダナイゼーションを実現できます。IBM は、お客様とともにこのような取り組みを加速し、支援するためのリソースを提供します。Cloud Pak for Data でコストを削減する方法についてご興味がある場合には、 Web セミナー(英語)をご視聴いただくか、または IBM の専門家とのコンサルテーションをご予約ください。
企業全体でAIを活用するための”ジャーニー”を迅速に進めるには
原文:Unlocking IT cost savings with IBM Cloud Pak for Data (https://www.ibm.com/blogs/journey-to-ai/2020/05/unlocking-it-cost-savings-with-ibm-cloud-pak-for-data/?_ga=2.1656947.332387450.1610590572-849844834.1610590572)
セキュリティー・ロードマップ
IBM Cloud Blog
統合脅威管理、耐量子暗号化、半導体イノベーションにより、分散されているマルチクラウド環境が保護されます。 2023 安全な基盤モデルを活用した統合脅威管理により、価値の高い資産を保護 2023年には、統合された脅威管理と ...続きを読む
量子ロードマップ
IBM Cloud Blog
コンピューティングの未来はクォンタム・セントリックです。 2023 量子コンピューティングの並列化を導入 2023年は、Qiskit Runtimeに並列化を導入し、量子ワークフローの速度が向上する年になります。 お客様 ...続きを読む
ハイブリッドクラウド・ロードマップ
IBM Cloud Blog
コンポーザブルなアプリケーション、サービス、インフラストラクチャーにより、企業は複数のクラウドにまたがるダイナミックで信頼性の高い仮想コンピューティング環境の作成が可能になり、開発と運用をシンプルに行えるようになります。 ...続きを読む