IBM Cloud Blog

分散クラウドのアーキテクチャーを理解する:基本編

記事をシェアする:

この投稿は、2020年10月12日に、米国 IBM Cloud Blog に掲載されたブログ(英語)の抄訳です。

このブログは、分散クラウド・アーキテクチャー・シリーズ(2部構成)の第1部です。

クラウド環境の最新のトレンドの一つとして、分散クラウドが挙げられます。分散クラウドは、ご利用のインフラストラクチャー上でパブリック・クラウドを実行することができます。分散クラウドは、このアーキテクチャーにより、パブリック・クラウドに関する以下のような課題を解決することができます:

  • アプリケーションをパブリック・クラウドに移行する際の規制の問題
  • パブリック・クラウドの管理や制御の問題

さまざまな規制に対応する分散クラウド

すべてのパブリック・クラウド・ベンダーには、クラウドを実行するためのアベイラビリティー・ゾーンやリージョンがあります。たとえば、 IBM Cloud には以下のようなアベイラビリティー・ゾーンがあります:

  • 米国 テキサス州ダラス
  • 米国 ワシントンD.C.
  • ドイツ フランクフルト
  • 英国 ロンドン
  • オーストラリア シドニー
  • 日本 東京

こうしたアベイラビリティー・ゾーンは、限られたエリアに存在します。そのため、規制の厳しい金融業界では特に、IBM Cloudのようなパブリック・クラウド上にあるデータやワークロードは、自国内におく必要があります。

たとえば、銀行の経営者が、アプリケーションをパブリック・クラウドに移行したいと検討している場合を考えてみましょう。しかし、多くの金融機関には、データやワークロードを国内におくことを義務付ける規約があるため、移行をすることができません。

分散クラウドなら、クライアントが定義した場所で、パブリック・クラウドを運用することができます。分散クラウドを利用すれば、パブリック・クラウドを、データセンターでも、コロケーション・データセンターでも、あるいは対象となる国内で利用可能な容量を持つサード・パーティーのクラウドでも運用することができます。パブリック・クラウド・サービスや、マネージド・サービスを、さまざまな物理的な場所に分散して管理できることは、分散 クラウドを利用する際の重要な利点であるといえます。

 

分散クラウドでより柔軟に対応する

パブリッククラウドを運用していると、どのインフラストラクチャーにもソフトウェアをインストールできます。一方、分散クラウド・ベンダーは、以下のような主要プロセスを完全に管理する責任があります。:

  • ガバナンス
  • クラウドの進化
  • ライフサイクル管理
  • セキュリティー、信頼性、エンジニアリング

これは、ベンダーがパブリック・クラウドを最新の状況に保つために、すべてのパッチ、アップグレード、インストール、削除を実施し、 互換性の問題にも対応します。このため、あるサービスのあるバージョンを使用する際に、別のサービスの別のバージョンともうまく機能します。つまりベンダーは、管理している利用中のインフラストラクチャー内で、「ミニ・パブリック・クラウド・リージョン」としてクラウドを運用しているのです。

したがって、分散クラウドを活用すれば、パブリック・クラウドをサービスを利用してミニ・パブリック・クラウド・リージョンを作成し、そのパブリック・クラウド・サービスを実行できます。定義上では、パブリック・クラウドは、こららのサービスを構成し運用管理するためのエントリー・ポイントとなります。

分散クラウドのロケーションを作成する場合、サービスとワークロードはそのロケーションで実行されます。もしそのロケーションとクラウドに実際にリンクないし何らかの接続がある場合(ブログ、モニター、レポートを集約する必要がある場合など)、そのリンクを切断した場合でもすべてを実行し続ける必要があります。そうしないと、ネットワーク・リンクが切断されたために、ダッシュボードにアクセスしてオンプレミスでサーバーを構成することができません。

分散クラウドを活用すれば、リンクが切断されている場合でも、パブリック・クラウドを構成できる単一のコントロール・ペインがあるので、サービス、ワークロード、アプリケーションを実行することができます。これはすべてのクラウドベンダーにあてはまります。

分散クラウドと、ハイブリッド・クラウドやマルチクラウド などの他の一般的なクラウド・コンピューティング・アーキテクチャーとの比較について詳しくは、ブログ “分散クラウド vs. ハイブリッドクラウド vs. マルチクラウド  vs. エッジコンピューティング (Part 1).”をご覧ください。

 

IBM Cloud Satellite: IBMの提供する分散クラウド

IBM Cloud Satellite は、RedHat OpenShift on IBM Cloudのような、IBM Cloudマネージド・サービスを分散クラウドをお客様がご利用のインフラストラクチャーにご提供する、分散クラウド・オファリングです。このブログのシリーズの後半の第2部では、IBM Cloud Satelliteと、他のベンダーが提供する環境と比べてどのような優位性があるかをご紹介します。

 

分散クラウドについて詳しくは

分散クラウドについてさらに詳しいことは、こちらもご参照いただけますと幸いです。

  • IBM 分散クラウドお役立ち情報: こちら
  • IBM 分散クラウド Cloud Satellite 公式サイト: こちら

分散クラウドに対するご質問やご相談がございましたら、ぜひ公式サイト(こちら)からお寄せください。


翻訳:IBM Cloud Blog Japan 編集部

*このブログは、2020/10/12に発行された“Understanding Distributed Cloud Architecture : The Basics (英語)”の抄訳です。

More stories

セキュリティー・ロードマップ

IBM Cloud Blog

統合脅威管理、耐量子暗号化、半導体イノベーションにより、分散されているマルチクラウド環境が保護されます。 2023 安全な基盤モデルを活用した統合脅威管理により、価値の高い資産を保護 2023年には、統合された脅威管理と ...続きを読む


量子ロードマップ

IBM Cloud Blog

コンピューティングの未来はクォンタム・セントリックです。 2023 量子コンピューティングの並列化を導入 2023年は、Qiskit Runtimeに並列化を導入し、量子ワークフローの速度が向上する年になります。 お客様 ...続きを読む


ハイブリッドクラウド・ロードマップ

IBM Cloud Blog

コンポーザブルなアプリケーション、サービス、インフラストラクチャーにより、企業は複数のクラウドにまたがるダイナミックで信頼性の高い仮想コンピューティング環境の作成が可能になり、開発と運用をシンプルに行えるようになります。 ...続きを読む