SPSS Statistics
SPSSと統計教育について
2012年01月02日
カテゴリー SPSS Statistics
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OPINIONS
岩崎 学 氏
成蹊大学理工学部
統計学への期待が加速している。「統計学が最強の学問」と謳った本が、この種の書籍としては驚異的とも言える売れ行きを示し、複数の週刊誌が統計学に関する特集記事を組んでいる。NHKの人気番組「クローズアップ現代」でも、2013年7月3日に「数字のカラクリ・データの真実~統計学ブームのヒミツ~」として統計学が取り上げられた。この番組には何人もの統計家が企画段階から協力し、筆者の岩崎もゲストコメンテーターとして生出演した。
よく引き合いに出されるグーグルのエコノミストのHal Varian博士の
“ I keep saying the sexy job in the next ten years will be statisticians. ”
(私は今後10年でのセクシーな職業は統計家だろうって言い続けてるんだ)
というフレーズは、あまりにも有名となった。しかし、統計家としては、この後に続く
“ The ability to take data—to be able to understand it, to process it, to extract value from it, to visualize it, to communicate it—that’s going to be a hugely important skill in the next decades, not only at the professional level but even at the educational level for elementary school kids, for high school kids, for college kids. ”
(データを取ってそれを理解し、そこから価値を引き出し、目に見える形にしてコミュニケートする、と いった能力は、今後数十年にわたり、プロフェッショナルなレベルだけではなく、小・中学校、高等学校から大学生に至るまでのあらゆる教育的なレベルにおい て、きわめて重要なスキルとなる)
にも是非注目して欲しいと考えている。これはまさに、統計教育の重要性を物語っているといえよう。前述のNHKの番組でも、私は「人材の育成は急務」とコメントした。
これまで、統計手法と計算環境とは相携える形で発展を遂げてきた。計算手段なくして統計解析はありえない。その意味で、SPSSをはじめとする多く の統計ソフトウェアの、統計的データ解析に対する貢献は計り知れないものがある。SPSSは特に、その名の通り、開発当初より社会科学系の統計分析に強 かったのであるが、現在では、医学をはじめとするあらゆる分野でその存在感を示している。
もちろん統計ソフトウェアさえあれば統計分析ができるというものではない。しかし、取り敢えず結果を出すことも重要で、そのためにはソフトウェアは 全く便利なものである。私はしばしば、統計分析を料理にたとえる。まずは卵焼きが焼けなければ仕方がない。おいしい卵焼きを作るためにはそれ相応の知識と 経験がなくてはいけないが、まずはともかくお腹がすいているときには、食べられるものができることが重要だ。空腹なのに、教科書を最初から読むべし、とい うのは現実的ではない。
昨今の統計教育にはチャレンジングな話題が豊富である。小学校、中学校、そして高等学校での統計の内容の必履修化はすでに始まり、現場の先生方もそ の授業の進め方に創意工夫を凝らしている。また、大学教育においても、教育の質保証の質保証の取組が各学問分野および各大学で進められてきている。統計学 分野では、2010年に、他分野に先駆けて「統計学分野の教育課程編成上の参照基準」を公表し、現在(2013年)その改訂作業を行なっている。また、統 計教育の質保証の一環として、日本統計学会は、関係諸期間と協力し、2011年から「統計検定」を開始したが、受験者も順調な伸びを示している。
これまでの座学中心の統計教育から、SPSSのような統計ソフトを効果的に使った教育法への転換、昨今のビッグデータなる語に象徴される多種多様な データへの対応など、ますます面白い時代になってきた、というのが実感である。これまでの伝統のある品質管理分野、医学薬学分野に加え、ビジネスでの分 野、はたまた公共政策分野など、統計学の守備範囲は広がりつつある。卵焼きのいろいろなバリエーションが楽しめそうである。
著者について
岩崎 学 氏
成蹊大学理工学部
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