SPSS Modeler ヒモトク

ビジネスプロフェッショナルとデータサイエンティストの二人三脚を実現する SPSS Modeler

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株式会社リクルートライフスタイル
データサイエンティスト
松本 健氏

“SPSS Modeler はプログラミングに慣れていないマーケティング担当者でも簡単に分析ができます。最近では R や Python も取り込めるので、分析の統合プラットフォームとしても重要な役割を担うことになると思います”

 2012年10月に実施されたリクルートの分社化に伴い、グループ事業会社の1社として発足したリクルートライフスタイル。「日常消費領域」を担う同社では、『じゃらん』や『ホットペッパーグルメ』、『ホットペッパービューティー』等の運営を通じ、「顧客接点」の強さとITの力を活用した数多くの新規事業やイノベーションを生み出しています。その裏側では十数名で構成されたデータサイエンティストチームが活躍しており、データ分析の先鋒を担っている企業としての顔もあります。
ここでキーパーソンとして活躍しているのが、データサイエンティストの松本 健氏です。

「以前はリサーチ会社でデータ分析を行っていましたが、2007年にリクルートに入社、その後の分社化でリクルートライフスタイルに転籍しました。」
特定のツールに限定せず、様々なツールを使い分けるのが、同社のデータ分析の基本方針だと松本氏。そのためデータサイエンスチームでは、RやPython、SAS等、多様なツールが利用されています。その中でも重要な役割を果たしているのが、IBM SPSS Modeler(以下、SPSS Modeler)なのです。

 

データ分析を視覚的に扱えるSPSS Modelerを活用し、マーケティング担当者もデータに基づき施策を実行

「私は前職のリサーチ会社の頃からSPSS Modelerを使用していますが、当社ではデータサイエンティストだけでなく、マーケティング担当者も日々活用しています。これによってデータ分析者以外の人も、データを元に意思決定する文化を醸成しています」。

SPSS Modelerの最大のメリットは、データ分析の流れ(ストリーム)を視覚的なダイアグラムで扱えることだと松本氏。そのためプログラミングに慣れていないマーケティング担当者にも、使い易いのだと言います。データ加工が得意であるほか、SQLを自動生成する機能があり、SQL文を書けないユーザーでもデータベースへのアクセスを実行可能。また、SPSS Modelerには基本的な分析モデルがノードとして搭載されていますが、最近のバージョンではRやPythonを取り込めるようになり、それらの言語でのみ発表されている最新の分析アルゴリズムもストリーム上で扱うことができるようになっています。この結果、最先端のロジックが組み込まれたストリームをデータサイエンスチームがプロトタイプとして作成し、それをマーケティング担当者が見たい変数でカスタマイズして施策の実行や振り返りに利用する、といったこともできます。分析専門家の高度なノウハウをそれ以外の人々に橋渡しし、データ分析の活用領域を拡大する上で、大きな貢献を果たしているのです。

「これまではRやPythonなど個々のデータサイエンティストが自分の好きなツールを個別に使用していましたが、SPSS Modelerはこれらを統合するプラットフォームと化しています。これを活用し、プログラムが分からない人でも高度な分析アプローチが出来るような仕組みを広げていきたいと思っています」。

 

レコメンドへの応用で売上に貢献、短期的には利益生まないインサイト獲得も重視

それではリクルートライフスタイルでは、具体的にどのようなデータ分析を行っているのでしょうか。大きく2つのかたちがあると松本氏は語ります。
第1は直接的に売上に貢献する分析です。例えば『じゃらん』や『ポンパレ』のレコメンドエンジンやメールのターゲティングの仕組みを作るための分析が、これに当たると説明します。「元々取り扱っている額が大きいため、指標が1%でも改善されると大きな売上向上につながります。データ分析を活かしやすい環境です」。

第2はビジネスや競合、利用者(サイトにアクセスするユーザー)、顧客(サービスを利用する店舗等)の「インサイト」を得るための分析です。このような取り組みはリクルート入社直後から行っていましたが、機械学習の導入によって重要度はより大きくなっていると指摘します。

「レコメンドエンジン等に機械学習を導入すると短期間で効果が得られますが、すべて機械学習任せにしてしまうと、うまく成果が上がらない時に打開策が見出しにくくなります。しかし、利用者がなぜそのような意思決定をするかを理解することで、原点に立ち返り、施策を見直すことができます。このような分析は直接的ではありませんが、回り回って売り上げに効いてくるため、長期的には重要だと考えています」。

 

3つの領域全てを広く深く理解することがデータサイエンティストには必要

着実に成果を上げ続けているリクルートライフスタイルのデータ分析。その原動力となっているのは、ビジネスに関する深い洞察を持つ優秀な人とデータ分析者が、二人三脚で取り組みを進めていることです。同社では、プロデューサーなどの事業を率いる社員に、直接データサイエンティストが付く体制を取っています。お互いに知識を補完しながら一緒に考え抜くことで、価値の高いインサイトが得られるのです。

「米国のデータサイエンティストは、ツール活用やプログラミングが得意なエンジニア色の強い人が多いようですが、それだけでは十分ではありません」と松本氏。ビジネスに貢献できるデータ分析を行うにはビジネスに対する理解も必要になり、ツールを適切に使うには統計学の知識も欠かせないと言います。特に最近はツールによって簡単にアウトプットを出せるようになっているため、ビジネスや統計学を知らずにデータ分析を行うことは、誤った解釈をしてしまう危険性が高いと指摘します。

「この3つの領域全てについて、広く深く理解することが重要です。これによって、一見とらえどころのない『ふわっとした課題』にも、どのようにアプローチすればいいか考えられるようになります。正しい知識に基づいてとことん考え抜いた先にこそ、ブレークスルーが生まれるのです」。

 

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