SPSS Modeler ヒモトク
【開催レポート】SPSS Modeler春のユーザーイベント2024 IBM大阪オフィスから生配信
2024年07月22日
カテゴリー Data Science and AI | SPSS Modeler ヒモトク | アナリティクス | データサイエンス
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みなさまこんにちは。スマート・アナリティクス株式会社で代表をしています畠です。
2024年6月6日にSPSS春のユーザーイベントが開催されました。
2019年に開始されたこのイベントを企画や配信でお手伝いしております。9回目になる春のイベントは「新たなテクノロジーを活用してデータから価値を引き出す」と銘打ちIBM大阪オフィスに希望者に来場いただき、そこから生配信するというハイブリッド型に初めてチャレンジいたしました。運営サイド目線で当日の様子を熱量込みでレポートさせていただきます。
Tips①まもなく開催!SPSS Modeler春のユーザーイベント
プレセミナーは私自身が担当いたしました。会場の雰囲気をお伝えしようと、相互に挨拶をするユーザーの皆さんを背景に各講師に見所をインタビューしたのですが少々ガヤガヤのノイズが強かったかもしれません。
せっかくの場でしたのでSPSSの歴史から振り返り、最新テクノロジー事例として弊社で行なっているSPSS StatisticsのQAのための生成AIコンシェルジュサービスを紹介させていただきました。
オープニングアドレス
日本IBMのData AI オートメーションのリーダーである塩塚さんがオープニングアドレスとしてご挨拶されました。
参加者および講演者、パートナー様にお礼を述べられた後にSPSSコミュニティの存在感がIBMの中でも大変高いことに触れられ、今後も一緒にSPSSを育ててほしいと呼びかけられました。IBMエグゼクティブからユーザーコミュニティに向けて今後のSPSSへの投資を約束する発言を聞くと毎回とても安心します。
講演①組織でデータから成果を得るためのロードマップと落とし穴
小山 徹
エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社
執行役員
IT・デジタル推進室長
最初の講演者は阪急阪神百貨店をはじめ食品事業や商業施設事業を運営されているエイチ・ツー・オーリテイリングの小山様でした。グループ企業のCIO/CDOに就かれている小山様のお話は非常に面白く、会場が一瞬で引き込込まれていきました。
データを企業活動に活かすのは口で言うほど簡単ではないと釘を刺された上で、それでも組織にデータ活用の文化を醸成するのは可能だと強調されました。特に現場が進んでデータ活用するITとの信頼関係大切なのだとか。そしてそれに一役買ったのがSPSS。安全に品質が保たれたデータをタイムリーに現場のユーザーに届けられ、これまでは作業であったデータ分析から現場での示唆を生みだすようになったとか。またITが準備するべきデータのあり方について前向きに議論できる前提が作られたというエピソードが印象的でした。
Tips②SPSS Modelerと最適化
近澤 喜史
日本情報通信株式会社
データ&アナリティクス事業本部
データサイエンス部 第2グループ長
日本情報通信(NI+C)近澤さんによるTipsのテーマは最適化。
昨年の秋のユーザーイベントで男女のマッチングを例に最適化について取り上げられたことを記憶されている方も多いはず。今回はそれを簡単に振り返った上で、工場などの生産計画をSPSSの需要予測と最適化ソルバーCPLEXの組み合わせで解く例について解説されました。
CPLEXは複雑な生産計画スケジュールを計算するのに向いているとのことで私も一度試してみたいと思いました!
講演②データドリブン組織の構築と成功にむけて、5つのポイント
西口 浩司
KINTOテクノロジーズ株式会社
開発・編成部
データ分析部
分析Gマネージャ
講演者お二人目はKINTOテクノロジーズの西口様でした。
イベントと同じ日に「データ分析者達の教訓 #18- データの向こうにある社会的背景や因果関係を洞察せよ」でも紹介された西口様はトヨタ自動車グループのKINTOでのデータ活用を推進されているとのことでした(西口様が所属する分析Gの紹介はこちら)。
西口様はデータドリブン組織の構築と成功にむけていくつかある重要なポイントのうち「ビジネス現場でのデータ、分析の必要性」についてご自身の苦い経験などもおりませながら詳しく説明をされました。ITからは良かれと思って提供した枠組みやツールはユーザーのニーズを大きく先行して使われないことも多いため、2者の歩調を合わせることが肝要だと結論づけられました。
講演③生成AIとSPSS Modelerの組み合わせ活用例
このSPSSイベントでは定番化したSPSS寸劇からスタートしたIBM講演は、斉藤さん扮する「AI冷蔵庫」と京田さんが演じる「AI電子レンジ」の漫才で生成AIの活用シーンを問いかける内容でした。
一般的な生成AIでは企業が持つ固有の情報が使えないことからRAGと呼ばれる拡張構成によりそれを実現、またSPSSと組み合わせることで故障予知とその対応をこれまでにない方法で実装できると説明がありました。
Tips③ソフトセンサーによる製品品質の制御とMLOps
林 啓一郎
株式会社AIT
開発事業本部
ソリューション戦略第2部
次長
AIT林さんは、講演のテーマにプロセス製造業で注目を集めている「ソフトセンサー」を選ばれ、MLopsとの組み合わせでTipsを共有されました。
「ソフトセンサー」は実際には測定できない値を、アルゴリズムにより推測することで、昨年春のイベントでも三井化学様も事例の中で取り上げておられました。
デモはソフトセンサーの具体例としてCO濃度予測モデルをModelerで作成し、それをCADSで精度監視するという流れでした。業務をイメージできる非常にわかりやすい例で「新たな技術」がSPSSと融合するイベントテーマ通りのTipsでした。
講演④ビジネス活用推進に向けた伴走型データドリブン運営
佐藤 慶
日本生命保険相互会社
デジタル推進室
専門課長
イベントの大トリとして講演されたのは日本生命の佐藤様でした。
佐藤様の所属するデジタル推進室は業務課題をもち目的設定をするビジネス部門とデータ準備を担当するSEメンバーと協業しながら幾つものプロジェクトを推進されているとのことで、それを「伴走型」と称されているそうです。
先の小山様の講演と同じく、異なる立場のメンバーで成果を上げるにはコミュニケーションが重要でその共通言語としてSPSSは重宝しているとのことでした。特に「互いの役割部分まで浸み出す」と言いコメントは非常に印象的でした、役割を定義して不可侵にするではなく互いを理解できるように重なりを持つことがポイントなのだそうです。
そこに至った背景として、あいにく成功しなかったプロジェクトの教訓として「チームの役割を超えて相互に思いやりを持ち三位一体になる」があるからだそうです。感動的なコメントに良い話を伺えたとすぐに反響がありました。
SPSSユーザーコミュニティに自分ができること
このイベントに参加された皆様、それぞれに何かヒントを得ていただきましたでしょうか?
今回のゲスト講演者3名はそれぞれ経営の視点、ITの視点、データ活用推進の視点と異なる視点からデータ活用の肝について触れられました。業種やユースケースを超えた事例に出会えるのもSPSSイベントの価値ですが今回は「データ活用の立場」について深く考えさせられたように思えます。
これからもできる限りSPSSコミュニティのために支援をしていくつもりですがこちらを読まれた皆さまもそれぞれの立場でお力をお貸しいただけると幸いです。
畠 慎一郎
スマート・アナリティクス株式会社
代表取締役
スマート・アナリティクス
著書に「SPSS超入門」「武器としてのデータ分析力」「文系ビジネスパーソンのためのデータ分析入門」
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