IBM Watson Blog
エッジからハイブリッドクラウドまでModelOpsを拡大してAIの価値を実現
2020年10月19日
カテゴリー IBM Cloud Blog | IBM Data and AI | IBM Watson Blog
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グローバル・ビジネス環境の規模、スピード、変動性により、意思決定、運用、テクノロジーの使用に対するアプローチを考えなければならなくなっています。経費と流動性の管理から、顧客エンゲージメントや重要な対応まで、企業は、データサイエンス・ツール、オープンソース・コミュニティー、業界のノウハウを活用して、俊敏性を向上させたり、さまざまな業界にユースケースを広げたりすることができます。
AIを運用可能にするための重要な要件の1つは、ModelOpsというモデルとアプリケーションを最適化する手法をクラウド全体で構築することです。AIにおける人材は不足しており、地域を超えたさまざまなチームの統合と変革規模の拡大を支援するModelOpsの確立が必要です。AIモデルとアプリケーションが価値を生み出すためには、企業は継続的にデータを収集、編成、分析する必要があります。成功を収めている企業がアプリケーション、AI、アナリティクス開発の多様な人材を集結させて、データや情報アーキテクチャーとして機能できるAIプラットフォームについて共同で作業するのはこのためです。このブログではFederated learning(フェデレーテッド・ラーニング)、オートメーション、マルチクラウド・ワークロード管理など、ModelOpsのメリットを得られるユースケースについて論じたいと思います。
エッジからハイブリッドクラウドまでのAIとデータサイエンスのユースケース
AIモデルの実験から実稼働環境への移行には、複雑な反復プロセスが含まれます。成功を収めているAI投資の大きな要因は、プライバシー、ガバナンス、場所の制約(特に、異なる地域間、クラウド間、規制環境間のデータ移動)を遵守するトレーニング・データへのアクセスです。Federated learning (外部ページ、英語)は、複雑な環境から収集されたデータによるモデルのトレーニングを促進できます。
データの準備、アルゴリズムの選択、モデルの検証やモニターなどAIモデル・ライフサイクルの自動化と拡張は、より大きな利益の創出につながります。ソフトウェア導入のためにDevOpsを構築した多くの企業は、今はDevOpsを補完するModelOpsライフサイクルの構築に向けて歩みを進めています。インテリジェントな自動化 (英語)は、ModelOpsとDevOpsを同期させることでアジャイル・プラクティスを支援します。
さらに、DevOpsも分散環境でのクラウド使用が増えたことでメリットを得られます。プライベートクラウドやその他の多様なツールをサポートするさまざまなクラウド・サービスとクラウド・インフラストラクチャーなどです。銀行や金融、医療、小売と製造業といったさまざまな業界で多くの企業は、複数のクラウドを使用してAI投資を最適化することで、どのワークロードがそれぞれのクラウド環境に最適であるかを判断しています。さまざまな基幹業務のAIワークロードを重要業績評価指標(KPI)、データの場所、拡張性、レジリエンシー、コンプライアンスなど特定の要件に合わせることができる柔軟性が、非常に重要になります。
高度にパーソナライズされたバンキング操作と不正防止
ビジネスの中断が発生した場合や、個人向けバンキングのニーズの変化に応じて、融資や住宅ローンの問い合わせに対して、 優れた顧客体験を提供できるという能力は金融機関にとって不可欠です。熾烈な競争により、ターゲットを絞り、かつリアルタイムのオファーが求められることがほとんどです。不正やセキュリティー・インシデントに対処するには、銀行がプライバシーを維持しながら、モデルをアプリケーションに合わせて正確に調整する必要があります。ModelOpsとDevOpsの統合により、以下ができるようになります。
- 生データには変化の激しい顧客の優先順位と課題への対応の調整
- 中断から復旧まで人員配置を管理しながら、顧客への提案とアラートを提供
- リスクと内部制御の管理はそのままに、処理の待機時間を短縮
- 海外へのデータ転送が禁止されている環境における不正防止と規則、規制の遵守のサポート
予測反応と薬剤相互作用に基づく患者中心のケア
現場での情報と、医療のニーズとワークフローの事前対応型の管理は、医療の質と運用効率の向上には不可欠です。公平で安全かつ効率的な運用の意思決定を最適化するために、病院従事者と医療従事者はスタッフ配置に関して、ニーズと供給について常に把握していなければなりません。重要なデータがさまざまなクラウドやデータセンターに保管されている場合、AIを使用してこれらの環境のデータを分析すると、プライバシーや運用上の問題に対処しながら、成果を劇的に向上させることができます。マルチクラウドのアプローチを取ることによって、企業は以下のようなことを実現できます。
- 複数の地域にある履歴や更新記録の共有による、医療サージ(供給可能量を大きく超える医療需要発生の事態)時の人員配置の改善
- 患者の病歴とリアルタイムのデータ監視を統合した、質の高い医療の提供
- 医療スタッフ不足、供給品の配送、制限された中での物流の管理
- 重要なリソースの誤使用低減と不正なトランザクションの検知
小売と製造の統合のための需要と供給のマッチング
需要の変化が激しく、供給が混乱することも多く、次々と変換するビジネス環境においては、小売業者はデジタル・プレゼンスと物理的プレゼンスを考え直す必要があります。データがさまざまな地域にわたり無数の場所にしまい込まれていると、グローバル・サプライチェーンでは物流にとてつもない課題が生じます。AIは人員配置、価格設定、製品の組み合わせ、ルーティングにおいて予測と最適化の手法を使用し、企業が需要の動的予測、在庫管理、提供の最適化を行えるようにします。企業は以下を行うことで、ModelOpsを使用して新しい消費パターンに対応し、流動性を向上させることができます。
- 在庫不足の予測とリソースの再配分
- カテゴリー管理の最適化と正確な市場データを使用した価格設定
- 店舗閉鎖の管理と需要の洞察を使用した新しいビジネス・モデルの発見
- 物理的なセキュリティー違反とデジタル・セキュリティー違反の罰金の回避
マルチクラウド・データとAIのメリットのためのModelOpsの構築
データサイエンスとAIの進歩に伴い、企業はAIの人材を拡大しながら、モデルの迅速な構築、実験の規模拡大、AIの信頼性と透明性の向上を実現させることができます。ますます多くの企業がAI主導の成長を必須とし、AIとアプリケーションのプロジェクトを開始している今こそ、ModelOpsプラクティスの再検討や構築開始を行ったり、DevOpsから得られた教訓をAI主導アプリケーションを成功させる取り組みに活かす時です。
IBM Cloud Pak for Dataが、あらゆるクラウド上で稼働するオープンで拡張可能なプラットフォームでのクラウドおよびAIへの投資の最適化に役立ちます。ModelOpsの構築にこのプラットフォームを使用することで、企業が以下のことをできるようになり、競争上の優位性を高めることができます。
- スケジュールの予測、割り振り、計画を作成するための自然言語インターフェースを使用したビジネス成果の予測と最適化
- 成長と回復を適切に行うための設備投資(CAPEX)と運用費(OPEX)の組み合わせのバランス保持
- Cloud Pak for Data as a Service (英語)やCloud Pak for Data Systemなど、最適な環境での柔軟な導入
- エンドツーエンドのAIライフサイクルの自動化
- 開発者やアナリティクスの専門家がAIに対応できるようにするための支援と再教育
- サンプル・データ、ノートブック、APIを使用した業界アクセラレーター (英語)による価値実現までの時間の短縮
ここでは開始する方法を説明します。
- ModelOpsに関する、2つのガートナー社の調査レポートとIBMの視点についてのニュースレターをダウンロードします (要登録、英語)
- AIとDevOpsの同期化に関するこのオンデマンドの451 Research社のModelOps Webセミナー (要登録、英語)をご覧ください
- 「マルチクラウドModelOpsのためのIBM Data Science」をご覧ください
Watson Studioが「The Forrester Wave™: マルチモーダル予測分析と機械学習、2020年第3四半期」でリーダーとして評価された理由をご覧ください
原文:Scale ModelOps to drive AI value from edge to hybrid clouds (https://www.ibm.com/blogs/journey-to-ai/2020/09/scale-modelops-to-drive-ai-value-from-edge-to-hybrid-clouds/(英語))
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