IBM Partner Ecosystem
日本IBMによるPwDA(障がい者の活躍)への取り組み
2024年12月03日
カテゴリー IBM Partner Ecosystem
記事をシェアする:
日本IBMにおけるダイバーシティー&インクルージョンの4つの注力領域
創業以来長年にわたり、IBMは多様性の持つ可能性を最大化することがビジネスの成功には不可欠であると考えています。現在、日本IBMが進めているダイバーシティー&インクルージョンのフォーカス領域は、「Women」、「PwDA : People Diverse Abilities(障がい者の活躍)」、「LGBTQ+」、そして「介護」の4つです。誰もがその能力を最大限に発揮することを目的として活動しています。
日本IBMのダイバーシティー&インクルージョンの特徴は、当事者ならびにその支援者であるアライが自発的なコミュニティー「ビジネス・リソース・グループ」(BRG)が推進し、人事部門が支援するというその体制にあります。フォーカス領域にあるそれぞれのコミュニティーに、役員であるエグゼクティブ・スポンサーをアサインし、経営層も直接関わっています。より活躍しやすい職場環境を目指し、CDO(チーフ・ダイバーシティー・オフィサー)をはじめ、経営層と当事者、そしてアライが一体となって自主的に課題の把握、分析、施策の提言、社内外への発信を行っています。
最近では、コミュニティーの垣根を越えて、共創する機会が増えてきました。IBMが目指すのは「誰もが自分らしく働き、輝ける職場環境」です。少数派(マイノリティー)のIBM社員が安心して働けることに加え、育児や介護、突然の病気といった変化に対しても、当たり前に対応できるインクルーシブな文化を実現します。
PwDAの取り組みのプライオリティー
IBMでは、「できないこと(Disability)」ではなく、障がいのある方の「多様な能力(Diverse Ability)」に着目・注力しており、どの国、エリアであっても「PwDA:People with Diverse Abilities」と称しています。また、その根底には「あらゆる組織で、誰もが自分らしく働き、輝ける職場環境がIBMにはあるべき」との考えが根付いています。
こうした職場環境の実現に向け、3つの活動を重点的に推進しています。
- 2019年に発足したPwDA+ Communityの活動
- 2014年開始の障がいのある方を対象とした6ヶ月間のインターンシップ“Access Blue プログラム”。働きながら、基礎となるビジネス・ITスキルの習得を目指した有給のインターン・プログラムです。
- 企業の枠を越えて当事者への啓蒙活動、ロールモデル輩出、経営者や社会への提言を推進する ACE:Accessibility Consortium of Enterprisesへの参画です。
PwDA+ Communityの活動
PwDA+ Communityは、「障がいの有無に関わらず、誰もが自分らしく活躍しビジネス貢献できる会社の実現」のために活動している、日本IBMグループ社員の有志コミュニティーです。
中心となる活動は主に次の3つですので、順番にご紹介します。
・ 「アライの輪」の拡大
アライとは、「マイノリティー当事者を理解・支援する人」を意味する概念です。
「仕事」におけるさまざまな面で当事者社員と共に活動——ときに楽しみ喜び合い、ときに支え合う——する仲間が社内に多ければ多いほど、自分らしく活躍しビジネス貢献できる会社に近づけることから、積極的にアライの輪を拡げるための活動をしています。
日本IBMグループ社員がPwDA+ Communityの存在を知り、活動に興味を持つきっかけづくりとして、最近では、社員証の携帯に便利な「PwDA+ Communityネックストラップ」を作成しました。PwDA+アライ活動に参加していただいた社員に配布しています。
なお、PwDA+アライとなるには、以下のアライ宣言に書かれた内容に同意し、宣言をする必要があります(ただし、自身のできる範囲での活動を基本とし、何か特定の行動が義務付けられるわけではありません)。
現在、障がい当事者社員と当事者を理解・支援し、一緒に働くアライ社員からなる、およそ300名のPwDA+アライにて「アライの輪」の拡大に向けて活動中です。
また、添付文書「Ally向けパッケージ~皆でたどろう!アライ・ジャーニーマップ~」は、元々は日本IBMグループ内でのアライ活動の推進を目的に、初めてPwDA社員と働く方やPwDA+ Communityのアライになることを検討されている方や、PwDAについて改めて勉強したい方に役立つと考えられる情報を、PwDA+ Communityが独自にまとめ社内限定で公開していたものです。
社外の皆さまにもご参考にしていただける点があるのではという思いから、今回、公開させていただくことにしました。
・ 「お話会」の開催
PwDA+アライが集い、「知る」「考える」「つながる」機会として開催しているのが「お話会」です。
これまでの「お話会テーマ」は、IBMグループで活躍する当事者社員の活動や、自身の業務、また普段のコミュニケーションで工夫されている点についての紹介をはじめ、「マイノリティーとは?」「Access Blue OJT(インターン生受け入れ)体験談」など多岐にわたるテーマで、2〜3カ月に1度不定期開催しています。
最近では、参加者からのリクエストに応えていく形で、新トピックや分科会(「産業医に聞くPwDA社員との働き方」「発達障がい当事者の会」など)の開催も増えており、今後もより多くのPwDA+アライの声に応えていく予定です。
・ 社内外への発信と共創(コラボレーション)
PwDA+ Communityは、その活動目的である「障がいの有無に関わらず、誰もが自分らしく活躍しビジネス貢献できる会社の実現」に向けて、日本IBMグループ社内において、上記を中心に複数の活動を行っています。
こうした考え方に基づく活動を社内外へと拡げていくために、PwDA+ Communityは、社内活動の多くをブログ記事などを通じて社外に発信しています。以下は、その代表例です。
- 誰もが自分らしく活躍できる会社へ ~PwDA+ ラウンドテーブル~ | | インサイド・PwDA+8
- ADHDと生きる若手社員の世界(松本 英李) | インサイド・PwDA+5(前編)
- PwDA+ウィーク報告と参加者からのフィードバック | インサイド・PwDA+4
また、志を同じくする多くの組織や団体の活動に賛同し、活動への参画や周知活動をサポートしています。以下は、その代表例です。
- 視覚障がい者補助「ココテープ」ワークショップレポート | PwDA+クロス7
- 「心のバリアフリー」を広げるために(Divers Map × IBM九州DXセンター) | PwDA+クロス10
- ダイバーシティーハッカソン勉強会 with 株式会社Raise the Flag. | PwDA+クロス3
先日、日本IBM 代表取締役社長の山口明夫は、社員向けに下記のメッセージを送りました。
「社員が輝ける働く環境の実現のためにも、さまざまな取り組みをおこなっています。8月には、IBMがDisability:INとAmerican Association of People with Disabilitiesにより「2024 Best Place to Work for Disability Inclusion(障がい者のインクルージョンにおいて最も働きやすい職場)」に認定されました。
さらに日本では、Disability Equality Index(障がい平等指数)において、最高スコアである100点を獲得しました。まだまだ改善すべき課題はたくさんありますが、社員一人ひとりがそれぞれの特性を活かして輝いて働けるような環境を実現していきます。」
私たちは、障がい者の社会参画は、IBMグループだけの課題ではなく、日本社会全体が共有すべきチャレンジであろうと考えています。誰もが自分らしく活躍しビジネス貢献できる会社が社会に増えることが、より包摂的な社会へと日本社会を近づけることではないでしょうか。
障がい当事者がより生きやすく、そして誇らしさを感じられる日本社会となるよう、私たちPwDA+ Communityも取り組みを広く社会に知っていただき、この流れがより大きなものとなるよう、2025年以降も活動をより活性化できるよう検討と実行を重ねていきます。
PwDA+ Week 2024 ~ Happy Friday~
PwDA+ Communityでは、12月3日の国際障がい者デーにあわせて「PwDA+ Week」というキャンペーンウィークを開催しています。このウィークで集中的にセッションやイベントを開催し、誰もが自分らしく活躍する社会について社員がより深く考える期間としています。2024年は、一連のイベントの皮切りとして「Happy Friday ~自分らしく働くってなんだろう。みんなで気楽に語ってみませんか?~」を開催しました。
「他人との関係性のなかで初めて認識できる自分らしさ」「自分らしさを保つための(時間や気持ち的な)余裕」「自分らしさとは他者との違いが強みになること」など、さまざまな角度から語りました。
以降は、ボッチャ大会、みんなでPwDAの未来について考えるセッション、障がい者雇用に取り組む社外ゲストの講演、IBM役員とPwDA+アライのラウンドテーブルが続きます。
さいごに
ここまで、日本IBMによるPwDA(障がい者の活躍)への取り組みを、Access Blueプログラム、ACE(一般社団法人 企業アクセシビリティ・コンソーシアム)、PwDA+ Communityを中心にご紹介させていただきました。
ご紹介させていただいた日本IBMグループのPwDAの取り組みには、グループ社内に閉じたものもありますが、一方でグループ外の企業さまや組織の方にもご参画いただけるものも少なからず存在しています。
そしてPwDA+ Communityの活動も、当事者とアライ一人ひとりがアイデアを持ち寄り、どうすれば社内で活躍している当事者社員の存在を広く周知できるか、そしてこの取り組みを拡大していけるかをCommunityとして考え、実践へとつなげてきたものばかりです。
世の中の情勢が著しく複雑に変化していく社会において、「ダイバーシティー&インクルージョン」のイニシアチブは、より良い社会の実現に向け、一層重要なものとなっていくのではないでしょうか。
私たちも、微弱ながら日本IBMグループという企業体の枠にとらわれることなく、PwDAの取り組み・活動を一層活性化させ、障がいがある当事者にとってより働きやすく、そして誇らしく感じられる企業・組織が増えていくことに寄与する活動を続けていきたいと考えています。
最後までお読みいただきありがとうございました。皆さまとPwDAの取り組みをご一緒できる機会を楽しみにしております。
職場で小さな変化を起こすヒント | 日本IBMのLGBTQ+への取り組み(後編)
IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software
先日、産業保健に関する日本最大の学術団体「公益社団法人日本産業衛生学会(JSOH)」主催の全国協議会にて、日本IBMの川田 篤が「LGBTQ+について勉強して終わり? 職場で小さな変化を起こすヒント」と題した教育講演を行 ...続きを読む
職場で小さな変化を起こすヒント | 日本IBMのLGBTQ+への取り組み(前編)
IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software
「ゴールド9年連続、レインボー3年連続受賞」と11月15日にリリースさせていただいたように、日本IBMのLGBTQ+への取り組みはご評価いただいております。 参考 | LGBTQ+に関する取り組み指標「PRIDE指標」の ...続きを読む
「AI Dig」で実現するコンタクトセンター個人依存からの脱却
IBM Partner Ecosystem
AIを活用したコンタクトセンター向けオペレーター支援サービスとして高い評価を得ている「AI Dig」が、先日、複数のLLM(Large language Models)の迅速な使い分けを可能とする「watsonx.ai」 ...続きを読む