IBM Data and AI

データがなくては、AIもDXも始まらない

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いま多くの企業にとって喫緊のチャレンジであるデジタル変革(DX)とは、単にリモートワークを進めたり紙文書をデジタル化することではありません。データのデジタル化は、DXに向けて必要となる取り組みの一つではありますが、その入り口にすぎません。
経済産業省は、DXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。

DXとは、トップ企業だけが取り組むトレンドというわけではなく、ますます厳しくなる国内外の競争市場において、企業が優位性を築き、成長を続けるためのものです。

DX実現のためには、企業は、戦略やビジネスモデル、プロセス、チャネル、テクノロジー、人材などを含む企業活動の全体を見直し、一過性ではなく継続的な変革を実行する必要があります。しかしながら、ゼロから立ち上げる企業でない限り、一朝一夕に実現できることではありません。多くの企業が、いくつかのステージを経て、実現を目指すことになります。

 

そこで不可欠なのは、「データ」です。

顧客接点やオペレーションをはじめとするさまざまな業務がデジタル化(デジタイゼーション)されたことにより、そこから生まれる多くのデータのコンピューター処理が可能になりました。そしてAIの進化により、これまでは人間しか処理できなかったテキストや画像、映像といった非構造化データもコンピュータが取り扱えるようになりました。

DXに向けてステージを進められる企業は、デジタル化によって利用可能になったデータを活用し、そこから価値を創出しています。つまりは、データから現状を把握し、将来を予測し、データに基づいて適切な意思決定を行うことです。継続的な改善・変革のためになにをどう変えていくか、その判断のためにデータを、そして予測のためにアナリティクスやAIを活用します。

データに基づく現状把握、予測、意思決定の対局にある概念が「経験」 「勘」 「度胸」とするとわかりやすいでしょうか。
テクノロジーの活用により、経験をデータに変え、勘をAIでアルゴリズム化し、度胸だけに頼ることなく確度をもとに意思決定ができるようにする、そんな仕組みをつくることで、より迅速に高い精度で改善・変革を行うことができます。たとえば、お客様からの問い合わせにどのように回答するか、どの部品を不良品として排除すべきか、どの化学物質をかけ合わせるか、さまざまな業務で人々が意思決定をしています。このような意思決定のあらゆる場面にデータとAIをはじめとするテクノロジーを活用することで、意思決定のスピードと精度の向上が期待できます。

しかしながら、実はこのステージ、すなわちデータから洞察を経て改善や変革につなげる(デジタライゼーション)ということが、多くの企業にとってなかなか突き進むことのできない壁でもあります。

それはなぜか。データを”当たり前”に使えない からです。

データを分析したいときに、データはすぐに入手できますか。ようやくデータが使えるときには手遅れになっていませんか。

毎回、いろんな部署やシステムからデータをかき集め、表計算ソフトに統合し、名寄せしたりクレンジグしたりしていませんか。
データが集められる場合は良いかもしれません。そもそも見たいデータがどのシステムに入っているか、そのデータを抽出してもらえるかすらわからない、ということはありませんか。

データを使おうとするときにデータを準備するために必要な労力が大きいと、定期的な分析したり、あるいは市場になにか変化が起こった際に柔軟に分析や予測をしたりということから、どうしても足が遠のいてしまうでしょう。データを見なければ、課題は適切に把握できず、あたかもそれがないものとして振る舞うこともできてしまいます。課題解決や改善の機会を逃してしまうということです。

施策が効果的であるかを確かめるためには、そしてより効果的なものへと見直すためには、タイムリーな分析が必要です。売り上げが落ちている最中にデータと分析でその要因を突き止めることができれば、売り上げ減少を食い止めるために手が打てるかもしれません。新しい取り組みをはじめようとするとき、市場のトレンドや顧客の行動、競合の動きを捉え予測が立てられれば投資の確度を上げることができます。

逆にデータが当たり前に使える環境であったら、施策が効果的であるかを確かめより効果的なものへと見直したり、売り上げが落ちた要因を突き止めたり、新しい取り組みがうまくいきそうかを予測しべたり、ひとつひとつの業務を着実にスピード感を持って改善していくことができます。

 

もし、データを”当たり前”に使えない、ようやくデータが 使えるときには手遅れ という状況にあるのであれば、この壁を解消することはDXに向けてステージを進むためのエントリーポイントの一つであり、DX実現のために乗り越えなくてはならない壁の一つです。

かといって、企業がもつデータは膨大です。闇雲にすべてのデータを統合すれば良いというわけではありません。
IBMの提案は、データの提供者とデータの利用者が共通して使えるデータとAIのためのプラットフォームです。社内外のデータが、それがオンプレミスであろうとどのクラウドにあろうと仮想的に統合してカタログ化し、データを必要とするユーザーが、必要なときに必要なデータを検索し利用できるようにすることで、あらゆる業務でのデータ活用が進みます。さらに、データの利用者が同じプラットフォーム上で分析したりAIモデルを開発・デプロイすることで、どのデータがどのような用途に利用されているかを記録・管理することができ、分析およびAIモデルの信頼性確保につながります。

このようなデータとAIのためのプラットフォームの構築を仰々しいと思われるでしょうか。IBMは、企業や組織があらゆる業務にデータとデジタル技術を活用し継続的な変革を図るために、必要なITアーキテクチャーと考えています。そしてこれは、これまでのDWHやデータレイクの取り組みを否定するものではなく、これらを拡張し、補完し、進化させるものです。
データとAIのためのプラットフォームに求められる要件と構築のアプローチについて、詳細を下記のオンデマンドWebセミナーでご紹介しています。

 

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