デジタル変革(DX)

DX成功の鍵!ストレージ統合でビジネスを加速しませんか~NECのサーバー/ストレージハードウェアとIBM Storage Scaleがもたらす優位性とは~

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こんにちは。IBMでストレージのテクニカルセールスをしています田中です。
クラウドの活用が進むことによって企業のデータはオンプレミスとクラウドに分散して保存されていますが、データの分散は、企業のデータ活用を難しくする要因のひとつとなっています。

IBM Storage Scale (旧称:IBM Spectrum Scale) は、そんなデータ活用に関するお悩みを解決するIBMのSDS(Software Defined Storage) ソリューションです。離れた場所にあるデータをコピーすることなく透過的に参照することや、複数拠点のデータを集約することができる拠点間データ連携機能を備えています。今回、NEC様に、IBM Storage Scaleの拠点間データ連携機能の検証を実施いただきましたので、その効果についてのレポートをご紹介します。

企業内データの活用に課題をお持ちの方や、データ共有基盤の構築をご検討されている方にお役立ていただければ幸いです。

データのサイロ化とは、データが組織内の特定の部門やシステムに閉じ込められ、他の部門やシステムで利用できない状態を指します。このように社内でデータが分散している状況は、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する上で重要な影響をおよぼします。

データのサイロ化は企業の意思決定に必要な情報の収集を非効率にし、迅速な意思決定を阻害します。また、データの正確性・完全性を保証できないため意思決定に誤りをもたらす可能性もあります。これらの影響を回避するためには、組織はデータのサイロ化を解消し、データを一元化することが重要です。これにより、組織は正確なデータにアクセスし、データに基づいた迅速な意思決定を行うことが可能になります。

サイロ化したデータの一元化はあらゆる業種で重要な課題ですが、なかでも製造業においては、製造プロセスが複雑で、膨大な量のデータが様々な場所で生成されることにより、データのサイロ化が起こりやすいと言われています。データは生産ラインや品質管理システム、サプライチェーンなど様々な分野で発生し、さらに複数の工場がある場合には、それぞれの工場が異なる生産プロセスや品質管理システムを持つ可能性があります。これらの要因が組み合わさると、地理的位置が異なる部門間でのデータの共有が難しくなります。例えば、生産ラインの異常を早期に検出するために必要なデータが共有されておらず、それぞれの工場の品質管理システムに閉じ込められている場合、異常を見逃す可能性があります。

製造業においては上記の理由で、データをサイロ化せずに統合するデータ共有基盤を整備することが非常に重要となります。これにより、より正確で迅速な意思決定が可能になり、生産プロセス全体の効率性が向上し、結果として企業の競争力が高まります。

データ共有基盤の選定には、セキュリティー、拡張性、コスト、性能などを考慮する必要があります。IBM Storage Scaleは、データ共有基盤として最適なActive File Management(以下、AFM)と呼ばれる拠点間データ連携機能を備えており、今回、NEC製のサーバー/ストレージハードウェアを使用してその効果を検証しました。

これまでも、データを一元化するため、様々な部門に散在する複数のストレージを一つのストレージに移行・統合するようなことが多く行われてきました。しかし、それらのケースでは、地理的位置が近い拠点内(サイト内)での統合が主でした。

IBM Storage Scale の 拠点間データ連携機能 (AFM) 機能を使用すると、WANのようにレイテンシーが高く、信頼性の低いネットワークを介していても、複数の遠隔地のデータを一元化することが可能です。それぞれの拠点にある既設のNASストレージをそのまま利用して、それらを一元化することもできるため、ストレージ・システム全体を更改するよりも低価格で始めることができます。

今回実施した検証では、分散データの一元化のため、NEC Express5800シリーズのサーバーとNEC iStorageのSANストレージを組み合わせてIBM Storage Scaleのストレージを構築しました。データはサイト内にとどまらず新たにサイト間で共有することになるため、セキュリティー面も考慮し、既存のNASストレージとの間の通信を暗号化によって保護できることも確認しました。

IBM Storage Scaleでは遠隔地にあるプライマリー・データに対するキャッシュを保持することによってデータを管理します。プライマリー・データの変更によりキャッシュも自動的に更新されるため、データは正確で信頼できるものになります。また、キャッシュの容量はプライマリー・データと同じ量必要なわけではなく、普段アクセスする量があれば充分であるため、コストを抑えつつデータ共有できます。キャッシュに収まり切らないデータへのアクセスがあった場合は、古いデータはキャッシュから自動的に追い出されます。キャッシュへの格納はデータへのアクセス時にオンデマンドで自動的に行われますが、事前に必要なデータをプリフェッチすることも可能です。今回はプリフェッチの効果も検証しました。

今回の検証では複数拠点に分かれて存在する総容量47TiB(テビバイド)のストレージを統合することを想定し、2つのケースにおける導入コストの比較を行いました。

ケース①: 各拠点にあるNASストレージのデータを新規に導入する1台のNASにデータ移行して集約する場合( = 物理的集約)

ケース②: 各拠点のNASストレージを継続使用し、それらのデータをIBM Storage ScaleのAFM機能を用いたキャッシュにより一元化する場合( = 論理的集約)。キャッシュには、ほとんどアクセスしないデータを含める必要がないため、キャッシュ容量は16TiBと仮定します。

<導入コスト比較>

ケース① 新規NAS 1台に物理的に集約する場合 ¥33,428,210
ケース② IBM Storage Scaleに論理的に集約する場合 ¥12,316,400
コスト削減効果 63%

※価格は装置構成により変動するため、上記はあくまでご参考コストです。お見積りの詳細については担当営業まで個別にご相談ください。

IBM Storage Scaleを使用してデータを集約する場合、既設のNASも併用しながら一元化できるため、ストレージ・システム全体を更改する場合に比べておよそ63%削減したコストで導入することができます。

AIのデータセットを操作することを想定し、アプリケーションによるデータセットのロード・他の形式へのエクスポート性能を確認しました。遠隔の拠点にあるデータセットを使用する場合と、必要なデータをIBM Storage ScaleのAFMを利用して事前にキャッシュ(プリフェッチ)して使用する場合の比較となります。

<処理時間の比較> データセットの
ロード時間
データセットの
エクスポート時間
遠隔拠点にアクセスした場合 2時間31分 6時間28分
IBM Storage Scaleでキャッシュした場合 21分 1時間16分
AFMによる削減効果 86% 92%

※遠隔拠点との通信にかかるレイテンシー(ラウンドトリップタイム)が20ミリ秒の環境(東京~福岡に相当)で測定。
※画像で構成される計30GB程度のデータセットを使用。
※IBM Storage ScaleのAFMのキャッシュモードはSingle Writerを使用。

データセットのロード、エクスポート処理時間はIBM Storage Scaleのキャッシュを利用することで、遠隔地にアクセスした場合と比べてそれぞれ86%、92%と大幅に削減され、性能面での高い効果があることが検証できました。複数の拠点でデータを共有して処理するようなユースケースにおいてAFM機能は魅力的です。

今回、データの一元化を目的として、NEC製のサーバー/ストレージハードウェアを使用してIBM Storage Scaleを導入した場合、コスト面・性能面で十分な効果が期待できることを検証しました。NECでは、容量数TBからリーズナブルなコストでご提供できるため、中堅企業のお客様も含め、企業規模や環境に合わせた柔軟なご提案ができます。本ブログでご紹介したソリューションに関するご相談、ご質問がございましたら、まずは下記までお気軽にお問い合わせください。

【ご参考情報】


渡部 俊幸

渡部 俊幸
日本電気株式会社
データストレージ統括部

豊原 文秀

豊原 文秀
NECソリューションイノベータ株式会社
第一PFソフトウェア事業部

坂本 一光

坂本 一光
NECソリューションイノベータ株式会社
第一PFソフトウェア事業部

田中 裕之

田中 裕之
日本アイ・ビー・エム株式会社
テクノロジー事業本部
ストレージ・テクニカル・スペシャリスト

林 竜生

林 竜生
日本アイ・ビー・エム株式会社
グローバル・アライアンス事業部
アライアンス営業部 新規事業拡大担当

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