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現場のエキスパートが語る、WAS・MQ・Db2の魅力とは

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今年、IBM MQとDb2は30周年。WAS(WebSphere Application Server)は25周年を迎えます。アニバーサリー・イヤーとして3製品に関わりのある方々へのインタビューを1年を通じて定期的に行っています。第5回目となる今回は、3製品をご利用いただいているキヤノンITソリューションズ株式会社久保田 賢氏にインタビューを行いました。これまでのご経験や今後の期待についてお話を伺いました。

 

 

久保田 賢氏(写真右) プロフィール

2006年にソフトウェアハウス系の会社に入社し、その後数社を経て2020年にキヤノンITソリューションズに入社。社会人最初にアサインされた金融の案件にてWAS/MQ/Db2のテスト環境管理業務に従事。その後、製品サポートやプリセールス/ポストセールスの立場にてWAS/MQ/Db2の技術支援や提案活動、インフラ構築や運用保守に従事。現在も金融系や製造業、流通業等、数々のお客様内でWAS/MQ/Db2をはじめマルチベンダー環境でのインフラ構築や運用保守に携わり続ける。

 

中村英博(写真左) プロフィール

2001年 ロータス株式会社研究開発部門よりIBMに移籍。ソフトウェアのスペシャリストを経て、長年ビジネスパートナー様専任のITアーキテクトとして技術支援やお客様への提案活動に従事。2023年度よりAIOps製品テクニカル・セールスチームのマネージャーとしてのキャリアをスタートした。

 

1.自己紹介をお願いします。

ー(久保田氏)キヤノンITソリューションズ久保田と申します。今回はIBM製品のアニバーサリーイヤーのインタビューにお誘いいただいてありがとうございます。弊社の話で恐縮ですが、弊社がキヤノンマーケティングジャパングループに入り、20周年という節目の年でして、今回お声がけいただいて社内でも喜びの声を聞いております。

私自身は前職の時にプリセールスやポストセールスで製品のご説明をしたり、PoCを行った際に中村さんや他のWASのメンバーとご一緒させていただくこともありました。

ー(中村)そうですね。当時はビジネスパートナー様を担当していたのですが、最初にお会いしたときにWAS・MQ・Db2全部できる人がいるということを聞きまして「映画にでてくるヒーローみたいな人がいるな」と思いました。当時から現場の第一線で活躍されているエンジニアということで頼りにさせていただいています。最近はどのようなお仕事をされていますか?

ー(久保田氏)最近は、金融系のお客様向けに提供されているデジタルサービスプラットフォーム基盤(以下、DSP)の立ち上げに参加させていただき、クラウドインターネットサービス(以下、CIS)やIBM Kubernetes Service(以下、IKS)上で動かすプロキシのコンテナを作ることをメインで担当しておりました。また金融のお客様向けにマイクロサービスを提供する案件でコンテナのLiberty上で動かすアプリケーションで使用するMQにも関わったりしました。他にも金融のお客様のハブ・システム更改の案件でMQに関わったり、Db2とRed Hat Enterprise Linux(以下、RHEL)が稼働する基盤を構築する案件も関わりました。

 

2.最初に関わったIBM製品はなんですか?

ー(中村)Db2・MQは30年前、WASは25年前にリリースされました。非常に長い歴史のある製品です。久保田さんが最初に関わった製品は何でしたか?

ー(久保田氏)社会人一年目でIBMがリードする金融の案件にアサインされ、そこでWAS、MQ、Db2すべて入っているシステムのテスト環境の管理を行う仕事が最初の仕事でした。

テスト環境は複数の環境がありましたので、プロジェクトに参画している複数のチームに環境割り当てをしたり、製品のバージョン管理をしていました。その中でも特にWASに関わる機会が多かったです。その後もIBM製品を使っている金融系のプロジェクトに参加することが多かったですね。

ー(中村)これまで製品と関わってみて、WAS・MQ・Db2はどんな製品だと思われていますか?

ー(久保田氏)私自身が社会人一年目からIBM製品に携わったというのもありますし、インフラ知識のベースの考えはIBM製品ありきだと考えています。またIBM製品でできることが、他社製品ではできないことも多いので取捨選択の基準になっています。ベースはIBM製品でそれが使えなくなると他の製品でどう代替するかと考える、というような発想が染み付いていますね。

また、私自身が一時期IBMのサポートチームに参加していたことがあり、サポートする側とサポートを受ける側という立場の両方を経験しました。その時感じたのはIBMがかなり親切にサポート対応してくれることです。IBMの対応が当たり前だと思っていたので、他社だと問い合わせをしても返事がなかったりしてギャップを感じました。

ー(中村)そう言って頂けるのは大変うれしいです。我々社員がもっとお客様にアピールしないといけないですね。これまで関わってこられた中で印象に残った製品や製品のバージョンはありますか?

ー(久保田氏)Db2のpureScaleが出てきた時はこんなすごい考え方の製品があるというのは本当に驚きでした。またWebSphere Virtual Enterprise(以下、WVE)はリアルタイムに判断して負荷分散を行なってくれるところは驚きました。WVEはお客様のシステム更改案件で関わったのですが、当時は名前も知らないところから機能を理解して製品知識を取得するのに苦労したのを覚えてます。一方でこんなに色々なことができるんだというところに感動しました。

MQだとやはりMQクラスターですね。最初に携わったときは、MQクラスターもない時代だったのでC言語で作った自前のMQ管理のプログラムで可用性の管理をしていましたが、それが不要になったのは大きかったです。MQクラスターのおかげで可用性を考えるベースとして自前のものを作らなくて済むというのは感動でした。

ー(中村)すばらしいですね、その製品がカバーできないところを自力でカバーするなんて、なかなかできることではないです。改めてすごくスキルが高い方なんだなと感じました。

ー(久保田氏)そのプログラム自体は私が入る前から受け継がれてきたものだったので、私が作ったわけではないのですが。優れた方達が作ってきたものと同じ機能をそこまでの習熟度がなくても気軽に製品として使えるようになったというのは本当にすごいと思います。

 

3.これまで製品に関わる中で苦労された経験はありますか?

ー(久保田氏)WASに関しては2つありまして、1つは先ほどお話ししたWVEの件、もう1つはWAS v6からv7へのバージョンアップでのトラブルです。このバージョンアップの際にクラシックJava JDKからJ9JDKに切り替わった時でJavaの構造がだいぶ変わった時でした。WASのバージョンアップ案件ではJavaの動きの変化で案件中も苦労しましたし、リリースしてからも画面の描画が全然違ってしまったりと複数のお客様で大きなトラブルになりました。その後IBMからマイグレーションツールを提供いただいて、どういったコーディングしなければならないかガイドいただけました。その時ツールで自動的で網羅的な調査ができるような備えをするのは本当に大事だという教訓を得ました。

なかなか製品自体のバージョンアップに伴う影響情報がなかったのですが、バージョンアップをしたことでトラブルが発生した過去事例がないかを聞いておくことの大切さを実感しました。他の製品でもマイグレーションの際も事前に確認するのは癖になりました。

(インタビュー中の久保田氏)

 

4.WASに関しては新しいランタイムとしてWebSphere Libertyや、最近はWebSphere Automationという管理製品も出てきていますが、これらへの関わりはありますか?

ー(久保田氏) Libertyに関しては数年前にIBMのTechnical Salesの田中孝清さんとあるお客様に一緒にセリング活動をしました。そのお客様ではこれまでIBM製品を使ったことがなかったところに初めてIBM製品を使っていただく案件でした。 私の方で Libertyの製品説明をしたり、実際に触っていただくためにPoCをして導入作業の説明もしました。私はこれまでずっとTraditional WASを使っていましたので、 Libertyには管理コンソールがなかったり、 Libertyでどういった機能を有効化すると一般的なアプリが動かせるのか分かっていなかったのもあって苦労しました。ただ慣れてくれば設定ファイルを書いてそれを展開していくといった世界に行けるので、今後新規にご提案する際はもちろんのこと、バージョンアップするのであるならば、 Libertyにするのに越したことはないと思いますね。

ー(中村)ありがとうございます。IBMとしても今後はマイクロサービスやコンテナと相性がいい Libertyを強く推しています。これから導入していただけるお客様、もしくは今従来のWASを導入しているお客様も将来的には Libertyに変えていくことをお勧めしています。

ー(中村)続いて、日本のお客様のマイクロサービスに対する取り組みについてはいかがでしょうか?

ー(久保田氏)いくつかのお客様からもマイクロサービス化に取り組んだ方が良いという漠然とした思いや課題感は持たれ、できれば取り組んでいきたいとお考えであるとお聞きしております。一方で、インフラ面、アプリケーション面、いずれにおいてもどのようにアプローチすれば良いか分からず、またマイクロサービス化への変換に伴う負担をどう抑えるかというところに非常に頭を悩ませていて、課題自体はもう何年も前から挙がっているもののなかなか進まないというのが実情で焦りを持たれているように見受けられます。

私自身は、先ほどお話ししたIBM のDSPでマイクロサービスが稼働する基盤を見ているというのもありますし、最初は確かにコンテナのスキルを習得するのは苦労しましたが、慣れてくれば逆に楽ができるかなと思います。なので個人的には早くコンテナにシフトしたいという思いはありますね。アプリ側への影響を避けやすいようなインフラの部分から先行してコンテナ化し、経験を積むことで、コンテナへの抵抗感を払拭し、その後アプリ側もコンテナ化やマイクロサービス化へステップアップしていけると進めやすくなるのではと思いました。

ー(中村)特に日本のお客様はコンテナへの抵抗があるということを聞きますが、どういったところに抵抗があると思われますか?

ー(久保田氏)一番抵抗感を覚えるところは、「世界が違う」という漠然としたことは分かるけれど、ではどれぐらい世界が変わってしまうかが分かりにくいところだと思います。あとはコンテナを使うためにどういったものを整備しないとならないのかが分かりにくいので、コンテナ化以降の影響を考える上で苦労するというのはよくお聞きしますね。

私のような現場の担当者であれば実際にコンテナを触ってみて試すこともできますが、 戦略を考えるような立場の部門長や役員レベルになると手を動かすことはできないので結局どれくらいの労力が必要になるのか分からず、KPIなどを鑑みて最後の一歩まで行きにくいのかなと思います。

ー(中村)おっしゃる通り、コンテナ化について考えた時、まず最初に何が良くなるんだろうというイメージがつきにくいですし、その次にどのように取り組めばいいのかというところもわかりにくいです。我々の経験や事例を含めお客様への理解を深めていきたいと思いますし、お客様と一緒にどう実現できるのかを考えたいと思います。コンテナの運用管理に適した製品も提供していますのでぜひご相談していただきたいですね。

 

5.MQについて、最近のMQをお使いのお客様の傾向はどうでしょうか?何か変化はありましたか?

ー(久保田様)今までもハブ・システムでMQを利用してメッセージを非同期で送るということは行っておりますが、最近はファイル転送の仕組みでMQを導入しているサーバー内に別製品を入れて対応することが増えてきたと個人的には感じます。MQの中にもファイル高速転送の仕組みはあるので別製品は不要なのではないかと思いますが…

MQと別製品を入れて、さらに非同期処理の管理のために別製品を入れるというようなこともあって、かなり大所帯なシステムになるようなところを実は全部MQでできるのになと思います。ちゃんと製品を理解すればお手軽にシステムを作れるのはMQのいいところですね。

ー(中村)確かに昔はMQの中にファイル転送の仕組みが含まれていませんでしたが、今はMQ Advancedの中にはファイル転送の仕組みがあるので実は他の製品を入れなくてもいいんです。あと最近は MQ以外でもAsperaという高速ファイル転送を行う製品も提供していますのでお客様によってそのご提案を変えていただくことがベストなのかなと思います。

ー(久保田氏)メーカーが違うこともあって両方の知識を持った方はなかなかいなく、苦労することもありますので、MQだけでできるなら推進していきたいですね。

ー(中村)ぜひお願いしたいです笑。

 

6.Db2についてお聞かせてください。先ほどpureScaleのお話もありましたがデータベース系についてもご興味はありますか?

ー(久保田氏)これまでは本格的にデータベースをやりたい思いはあったのですが、機会に恵まれなかったため、今後関わる機会のために情報を集めたりしています。先日IBMのアニバーサリーフォーラムに参加した際に、Db2の次期リリースでデータがオブジェクト・ストレージを参照できるようになるという話を聞いて本当に衝撃でした。これができるならストレージの部分をあまり考えないで済むのでDb2に関わる敷居がだいぶ下がるなと思いました。

あとは Db2のマネージド・サービスがすでにAWSに存在し、さらに新しいサービスが登場予定という話も伺いました。お客様的にもマネージドの部分は興味をもつ部分だと思います。マネージドがないことで他社のDBサーバーに変えるというのも見かけたことがあったのでそこがDb2でできるようになるといいですね

(インタビュー中の中村)

 

7.2023年5月30日のアニバーサリーフォーラムへのご参加ありがとうございました。参加されてみていかがだったでしょうか?

(中村)では続いてアニバーサリーフォーラムについてお聞きします。2023年5月30日に開催された記念イベントにご参加いただきありがとうございました。参加されてみていかがだったでしょうか?

ー(久保田)コロナ以降で久しぶりに箱崎でのイベントだったので楽しかったですね。WAS・MQ・Db2の歴史の話を聞けて、現場での経験を思い出したりして懐かしかったです。また、今後のロードマップについての話を聞ける機会は、他社だと中々ないのでIBMの進んでいるところだなと思いました。またInstanaとMQのブースに行ってMQのTechnical Salesの方とお話したり、Db2のブースでもお話を伺いました。そこでも今後の見通しをブースで気軽にきけたのですごいですね。

ー(中村)IBMは今年からコミュニティに非常に力を入れておりまして、様々なイベントを開催しています。下半期はTechXchangeという技術者向けのイベントも開催予定です。Technical Salesのメンバーが主導して今準備しています。イベント以外にもオンラインのコミュニティサイトがありまして、これまでご利用されたことはありますか?

ー(久保田氏)先日コミュニティのイベントに参加させていただいたり、あとは数年前からOpenShift研究会にも参加しています。

 

 

8.最後に、今後IBMやコミュニティに期待することがあれば教えてください。

ー(久保田氏)何年か前はDb2のハンズオン研修を実施されていて、よくお客様も参加されていました。そこでは研修の最後に資格試験も受けることができて、そういった情報をご案内するとお客様に非常に喜んでいただけました。またチャレンジデーという無料で製品資格の対策勉強と試験を受けられる取り組みが過去にございましたが、こちらもお客様から非常に好評でしたので、また再開するようであれば共有いただけると非常に助かります。あとは初学者の人はSeismic(*1)で情報を探すのが難しかったり、資格体系が複雑でわかりにくいと言うのはお客様がよく仰られます。資格の体系や内容がわかりにくいと他社の資格と比べて資格取得の優先順位が下がってしまったりするので、ガイドみたいなものがあるといいですね。

(*1) Seismic:IBMのパートナー様向けの情報公開サイト

ー(中村)資格は今年から体系が変わり、バッジという制度も詳しく出てきていますので、別の機会に紹介させてください。

ー(久保田氏)もう1点はサポートの話ですが、IBM のサポート窓口で今まで日本語問い合わせできたのが、ある時から英語のみになってしまったのが困りました。Globalの体制もあるので中々難しいところでもありますが、やはりサポートのレベルの高さという点でもファンが生まれ、長くお客様にお使いいただけている点だと思いますのでぜひ改善をご検討頂ければ幸いです。

最後に、弊社もキヤノンマーケティングジャパングループに入って20周年なのですが、この20年の中でもIBMさんとのお付き合いは非常に重要なファクターですし、社内にもIBMのファンを公言している人が何人もいますのでぜひ末長くおつきあいさせていただければと思います。

ー(中村)ありがとうございます。IBMとしても非常に頼りにしております。今後ともよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。

 

(インタビューの最後に記念写真を)

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IBM、IBM ロゴ、ibm.com、WebSphere、MQ、Db2、WebSphere Liberty、Db2 PureScaleは、 世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corporationの商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。現時点での IBM の商標リストについては、www.ibm.com/legal/copytrade.shtmlをご覧ください

JavaおよびすべてのJava関連の商標およびロゴは Oracleやその関連会社の商標または登録商標です。

Amazon Web Services、AWS、 Amazon RDSおよびロゴは、Amazon.com, Inc. またはその関連会社の商標または登録商標です。

記事執筆:アニバーサリー広報チーム(Data, AI and Automation 事業部)
撮影者:鈴木智也(Data, AI and Automation 事業部)

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