Db2

日本IBM社長・山口明夫が届けるWAS・Db2・MQの魅力

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MQ Db2 WASの魅力

 

今年、IBM MQとDb2は30周年。WAS(WebSphere Application Server)は25周年を迎えます。
3製品のアニバーサリーを記念して、弊社では3製品にまつわる方々へのインタビューを行っていきます。
第1回目となるインタビューでは、日本IBMの社長でもあり、3製品と所縁の深い山口さんにインタビューを実施しました。

IBM 社長 / 山口明夫

和歌山県出身。87年、日本IBM入社。エンジニアとしてシステム開発・保守に携わりDb2等に触れた後、MQやWebSphere を含むソフトウエア製品販売を担うテクニカルセールス本部長を担当。経営企画、米国IBM役員補佐などを歴任し、コンサルティング、システム開発・保守、アウトソーシングなどのサービス事業担当を経て、19年5月から現職。米国IBM本社の経営執行委員の他、障がい者雇用の新しいモデル確立を目指す、企業アクセシビリティ・コンソーシアム(ACE)の代表理事、22年より経済同友会副代表幹事も務める。

 

インタビュアー / 上野亜紀子

IBM Data, AI and Automation Strategy & Solution 製品統括部長

 

1. 山口さんが初めて関わりを持たれた製品はどれで、いつ頃ですか。また、当時のロールや製品との関わりについて教えてください。

 

ー(山口)最初に接したのはDb2ですね。元々、z/OSにあたるMVS(※1)というOSと階層型データベースのIMS(※2)を使っていて、IMSやOSがどう動いているのか、どうアプリケーションからデータを受け取って、ディスクに書き戻されるのか、そういう全体の流れを勉強していました。Db2が出た時は、これからはリレーショナル・データベースだと言われて、今までIMSで学んだ「階層型でしっかり出来上がったデータを一つ一つ読んでいくもの」から、「縦と横の関係をもつデータベース」へと構造が変わって、理解するのが難しかったという思い出があります。検索条件を動的に発行するダイナミックSQLも今では当たり前だけど当時は難しくて、苦労した印象です。

一番初めの仕事は現場の製品サポートのような立ち位置でしたが、製品がうまく動かないとか、処理が異常終了(アベンド)したといった時に、何がどう動いて、どこで異常が起きたのかを調べるため、その製品やOSの記憶域の状況を16進数でプリントしたダンプ情報を確認していました。「製品のロジックがおかしいのか」「定義がおかしいのか」「アプリケーションからのSQLがおかしいのか」等、自分なりにロジックを整理した上で「これはやはり製品自体の問題か」と思った時に製品の開発部門、例えばDb2やメインフレーム系ならシリコンバレー、AIX(※3)系はトロント、といったところにメールを送って問い合わせ、教えてもらいながら解析をする、というような仕事でした。

(※1)z/OS、当時のMVS:IBMのメインフレームを制御するオペレーティングシステムの1つ。https://www.ibm.com/jp-ja/products/zos
(※2)IMS:IBM Information Management Systemの略。https://www.ibm.com/docs/ja/ims
(※3)AIX:IBM Power Systems向けのUNIXのオペレーティング・システム。https://www.ibm.com/jp-ja/products/aix

 

MQ Db2 WASの魅力

                                                                    (対談中の様子)

 

 

2. これまでIBMの中で様々な部門、ロールをご経験されていますが、WAS(WebSphere Application Server)/Db2/MQ関連案件やプロジェクトで印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

※ WAS(WebSphere Application Server)、以下WASと記載

 

ー(山口)MQを知った時は、「キューイングという考え方はすごい」と思いました。全てのメッセージが疎結合されて効率よく動くというのは、今でいうマイクロサービスに近い、最初の考え方かもしれないですね。お客様にMQを採用いただき、導入とテストをしたあとに、「IBMさん、さすがだね。MQみたいな考え方の製品を最初に出せるのは大したものだ」と言っていただけて、「きっとMQはこれからどんどん広がる」と確信しました。

ー(上野)IBMは最近ではマルチクラウド、ハイブリッドクラウド戦略の中でマルチベンダーや多種多様な技術の連携・融合に力をいれています。それと似た考えである「複数の異なるプラットフォームを繋いでいく」という目的で何十年も前に出てきたのがMQだと思います。テクノロジーは日々進化していますが、その経験や文化は今の製品にも受け継がれているのではないかなと感じます。

ー(山口)そうですね。あとWebSphereは、始めは難しいという印象がありました。Db2、TivoliやMQはどちらかというとアプリケーションから切り離された領域でしたが、WebSphereは業務アプリケーションとほぼ一体になって稼働していきます。これが当時インターネットの世界だとか、eコマースが展開していく中で、「すごいな」と思いました。それからWASがどんどん使われるようになって、WAS上で動く新しい業務が増えて、お客様から「WASっていいよね」って言っていただけるようになった。製薬会社のお客様から、「アプリケーションをこんなに効率よく作れるんだ」と褒めていただいたのは覚えていますね。

 

3. 山口さんは以前、ソフトウェア事業部でテクニカルセールスのチームをリードされていました。当時から米国本社や開発部門との関わりが多かったのではないかと思います。IBMの製品開発に対する取り組み、その中で特に強みと感じる部分はどこでしょうか。

 

ー(山口)製品のことが大好きな人たちが多いですよね。このポジションになって、さまざまな海外のリーダーと会うと「昔何やっていたの?」という話をよくするのですが、「シリコンバレーにいたんだよね」とか「トロントにいた」「製品作っていた」と言われると、「Db2とかWASは関わっていたよ」「私も私も」と、今でも急に距離が近くなるんですよ。製品の機能を強化したり、お客様への導入で困難な問題を解決してきたとか、世の中の新たな流れを作り上げてきたといった、それぞれの思い入れや自負のある人たちがすごく多いなと思いました。

あとその製品を好きな人が多いですよね。MQのことを語り出したら止まらない人もいるし、メインフレームなども思い入れが強くて、30分の予定が2時間話してくれる人もいて、盛り上がることができるのがいいなと思います。今はオープンソースや企業買収で統合した製品なども色々ありますが、結果的に自分たちが作っているもの、提供しているものを好きになって、自信を持って提供しているエンジニアが多いですよね。

ー(上野)私もグローバルのセールス系のミーティングに出ることが多いのですが、昔はLabに所属していた人が多く、「自分の担当製品が好きで好きで仕方ない」とか「IBMのテクノロジーや製品に対する取り組みにすごく自信を持っている」方が本当に多いと感じます。さらには、みなさんテクノロジーに対する好奇心をいつまでもお持ちで、常に新しいものを学んだりキャッチアップする意欲がありますよね。どんなにポジションが上がってもそういう方が多く、それがまたチームや会社にいい影響を与えていると感じます。

ー(山口)そうですね、役割が変わっても製品好きな人が多いですよね。

ー(上野)「昔エンジニアだったのだけど〜」から始まって話が止まらない方が本当に多いです(笑)

ー(山口)自分も同じように思われているかもしれないから、気をつけないといけないですね(笑)

 

MQ Db2 WASの魅力

                                                                  (対談中の山口)

 

4. 25年、30年たってなお進化し続けており、現役で活躍しているWASとMQですが、それだけ長く続く理由はどこにあるとお考えですか

 

ー(山口)常に新しい機能を追加して、世の中の変化に対応していることです。だからこそ、MQもDb2もWASもそうですが、昔からあるものが古いという間違った印象を持たれるのは勿体無いですよね。メインフレームにしても、7nmの最先端のチップやAIのチップが入っていたり、世の中の最先端のテクノロジーが詰まっている。それが40年前のメインフレームと混同して語られているのを見ると、本来の価値が伝わっていないなと思います。WASもMQもDb2も、その時代にあった一番新しい形に変わっています。その他の長く続くIBM製品、Business Automation領域のBAW(Business Automation Workflow)やFileNetも同様です。世の中のテクノロジーの変化、そして業態や業務の変化に意識を傾けて、製品も常に改革してきています。昔のイメージの声だけが残っているのはよくない。今、皆さんの時代に毎年脱皮して進化を続けてきたWAS、MQ、Db2の最新の姿を伝えていくことが重要だと思います。

ー(上野)おっしゃる通り、やはりこの3製品は新しいテクノロジーに対応しつつ、お客様のフィードバックを受けて無理のない形で改善していることと、多くのお客様に長年製品を使っていただいている中でお客様内に蓄積されるノウハウや資産を継続できる形で製品を進化させているところが評価いただけていると思っています。

ー(山口)古い・新しいに拘らず、良いものは継承していく。でも新しい形で製品を進化させる。コンテナやSaaS対応など、どんどん新しい形に進化していますよね。新しくSaaSだけを作るなら簡単かもしれませんが、お客様の既存の資産や、過去の流れも踏まえた上で、これだけ新しい機能を取り入れて、変化に対応できているのはIBMの製品の強みだと思います。

ー(上野)変化に対応する、そこにはどのような考え方が込められているのでしょうか。

ー(山口)メインフレームもその結果だと思いますが、「市場の要求に応える」ことと「新しい市場を創り出す」ことの両方に力を入れていますよね。そのために「何をしたら良いか」を考え続け、新しい要望を取り入れるだけでなく、市場を創出する、という考え方が各製品に取り入れられていると思います。

 

MQ Db2 WASの魅力

                                                                   (対談中の上野)

 

5. 様々な役職をご担当されている中で、製品との関わりは数多くあったと思いますが、今だからこそ感じるDb2の魅力はございますか。

 

ー(山口)かなり前からDb2は、パソコンからメインフレームまでそれぞれで連携する分散リレーショナルデータベースの考え方を実装してきていました。「こういう風にしてメインフレームから当時はOS/2の端末までリレーショナル・データベースでデータが共有されていくんだ、こういう形で全て積み上げていくんだな」と感動したことがありました。当時はさらにDb2であろうが他社のデータベースであろうがオープンにコントロールできるODBC(Open Database Connectivity)を実装した製品がでてきた時期で、今から考えたら20年前からあんな考え方をしていたんだと、Db2もODBCをサポートしていたんだなと思うと驚きますよね。ただ、当時はそれをカバーできるだけのネットワークのセキュリティーやCPU能力やメモリが十分ではなく、チャレンジが多かったです。それが今、AIや色々な世界の中で、アーキテクチャーの考え方は変わらないけれど、形を変えて製品としてオープンなアーキテキチャーが実装されていることに、感慨深いものがありますね。

ー(上野)そうですよね。メインフレームから分散系、クラウドまでプラットフォームを持っていて、さらには自社製プラットフォームに拘らずマルチクラウド、マルチテクノロジーに対応する中で、同じテクノロジーを同じように各プラットフォームで使えるというのは、他社にはない魅力にも繋がるのかなと思います。それがなぜ起こっているかは、今山口さんがおっしゃってくださったように、昔からの文化が脈々と受け継がれているからなのだと感じました。

ー(山口)マルチクラウドなどで、「今はそんな環境でも動かせるの?」と驚く人もいますが、昔からそういう考え方は沢山あって、世の中の流れに沿って進化しているその柔軟性がすごいなと思いますし、IBMのまさに強みだと感じています。

 

6. 最後にWAS/Db2/MQをご利用中のお客様やパートナー様、また今後ご利用いただくお客様にむけて、今後の製品に対する期待とメッセージをお願いします。

ー(山口)長く弊社の製品をご利用くださりありがとうございます。皆様のおかげでこの節目を迎えることができました。これから時代の変化とともに、今まで以上に皆様のお役に立てるよう、日々進化、成長を続けてまいりますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 

MQ Db2 WASの威力

                                                   (最後にお二人の記念撮影を)

 

山口さん、今回は貴重なお話をありがとうございました。インタビューでは製品の歴史や当時のエピソードをお伺いし、和気藹々とした時間が流れていました。また山口さんの製品愛、IBM社員やパートナー様、お客様を想う気持ちをお聞きして「心が温まる」そんな時間でした。

とても気さくにご対応いただき、本当にありがとうございました!

 

MQ Db2 WASの魅力

記事執筆:アニバーサリー広報チーム(Data, AI and Automation 事業部)
撮影者:鈴木智也

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