IBM Consulting
AWSとIBM zSystemsによるメインフレーム・アプリケーション・モダナイゼーション
2023年03月28日
カテゴリー IBM Consulting | アプリの開発とモダナイゼーション | クラウドサービス
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加速するメインフレーム・アプリケーションのモダナイゼーション
DXを遂行するビジネスのニーズに応えるために、複数のお客様がメインフレーム・アプリケーションのモダナイゼーションを進め、俊敏性の向上、投資価値の最大化、イノベーションの迅速化を加速させています。
Amazon Web Services(AWS)は「re:Invent 2021」で、お客様がメインフレーム・ワークロードをモダナイズする一助となる管理対象ランタイム環境を発表しました。
モダナイゼーションを進める過程で、オンプレミスにあるIBMメインフレームとASWクラウド間のアプリケーションの相互接続性と共通のアジャイル開発環境を備え、単一の統合運用モデルを可能にするハイブリッドクラウド戦略を選択するお客様も現れています。
IBM zSystemsとAWSを組み合わせたハイブリッド戦略は、人材ギャップを大幅に削減し、アジャイルなDevOpsアプローチによる迅速なイノベーションを可能にし、大きな変更を加えることなくアプリケーションやデータへのアクセスを容易にし、アプリケーションの運用や拡張のコストを最適化できます。このアプローチにより、ビジネスの俊敏性と投資収益率(ROI)を最大化することができます。
AWSプレミアティア・サービス・パートナーであり、マネージド・クラウド・サービス・プロバイダー(MSP)でもあるIBMとの協業により、AWSでのアプリケーション・モダナイゼーションの利用可能な選択肢が増え、お客様のビジネスに適合しながらモダナイゼーションを進められるようになります。
ハイブリッドクラウド・アプローチでメインフレーム・アプリケーション・モダナイゼーションを始めるための5つパターンを定義しました。
パターン#1:z/OSアプリケーションのクラウドネイティブ開発
お客様は、z/OSアプリケーションの開発とモダナイゼーションにクラウドネイティブ・アプローチを採用することで、開発者の生産性を高め、開発スピードと俊敏性を向上させることができます。
このアプローチであれば、統合開発環境(IDE)を使用して既存のCOBOL、PL1、Java、またはアセンブラーのプログラムを簡単に変更できると同時に、Python、Node.js、Goなどのz/OS上で実行できる新しいプログラミング言語も利用できます。
GitやJenkinsなどエンタープライズ規模の標準的なCI/CDツールチェーンとシームレスに統合し、開発者が使い慣れた安定したオープンソース・ツールを採用できます。
また、AWS CodePipelineで調整された単一の異種パイプラインを使用して、AWSサービスとz/OS環境にまたがって、複数のターゲット・プラットフォームと環境にまたがるアプリケーションの開発、統合、およびデプロイをオーケストレーションすることができます。
IBM Z and Cloud Modernization Stackはアプリケーションのモダナイゼーションを加速できるように設計されています。 Red Hat OpenShift上で実行するように最適化されており、AWSにデプロイできます。Modernization Stackにはコンテナ化されたモダナイゼーション・ツールと、OpenShiftからエンドポイントとしてz/OS環境に接続する機能の両方が含まれています。
開発者は、Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)で実行できるコンテナ化されたサンドボックス(Wazi Sandbox)で、個別のz/OS開発・テスト環境にセルフサービスでアクセスすることができます。このスタックはすぐに使える自動化機能を備えており、開発者はセルフサービスで、開発やテストに必要な環境やソフトウェアを個人のサンドボックスに簡単にプロビジョニングできるようなります。
これにより、z/OSソフトウェアのプロビジョニングと管理をクラウドネイティブの手法で自動化することで、z/OS開発者やシステム・プログラマーの専門的なスキルの必要性が低減されます。
AWSでも実行可能なコンテナ化されたアプリケーション分析機能は、コード変更を迅速に分析し、開始前にすべての依存関係を把握することで、アプリケーション変更のリスクを軽減します。視覚化機能により、依存関係を簡単に共有して理解することができます。
パターン#2:z/OSアプリケーションとAWS間でのリアルタイムの情報共有
ビジネスを個別化し、顧客を楽しませるパーソナライズされたエクスペリエンスを提供することは、ほとんどの組織にとって重要な目標です。そのためには、メインフレームで実行されている基幹業務アプリケーションとAWSで実行されているデジタル・フロントエンド・アプリケーションとの間でリアルタイムに情報を交換できることがますます必要になっています。
このパターンは、クラウド・アプリケーションで基幹業務情報をリアルタイムに共有するための、より迅速で効率的、かつ柔軟な方法を実現し、ビジネスアナリストやアプリケーション開発者などの主要な担当者をサポートします。これらはすべて、基幹業務アプリケーションや関連するサービス品質保証(SLA)に支障をきたすことなく実現されます。
その目的は、多くのコア・アプリケーションと関連データソースから発生するローデータをすべて移動させるのではなく、まず最初に必要な情報を収集してまとめることです。そして、メインフレームに最適化されたテクノロジーを使用して、収集/集約された情報を伝送してメモリーに保存します。
この情報は、Kafkaのようなイベント・ベースの仕組みやオープンスタンダード・ベースのAPIを含む、さまざまな標準ベースのインターフェースで表示できます。
このパターンの設計上の特徴として、CICSやIMSで構築された基幹システム・アプリケーションなどとの効率的な連携、収集・集約された情報の最適な伝達方法、およびAWS上のクラウドベース・アプリケーションからの照会(読み取り専用)要求を処理するために高速かつ容易なアクセスできるように構築されたz/OS上のメモリー内キャッシュなどがあります。
このパターンはリアルタイムの情報に焦点を当てているため、推奨されるアプローチは基本的にハイブリッド型になります。つまり、重要な基幹システムのz/OS上に最適化されたキャッシュを実装し、情報をAWS上の多数のクラウド・アプリケーションに流せるようにします。このハイブリッド・パターンはパフォーマンスを最適化し、基幹アプリケーションへの影響を最小化し、標準ベースのインタラクションを実現することができ、IBM Z Digital Integration Hubと呼ばれるソリューションとして提供されます。
お客様はz/OSの日中のキャッシュから、AWS上のイベント処理、API管理、またはメディエーション用のエンタープライズ規模のアーキテクチャーにイベントを流すことも選択できます。
Kafkaトピックはキャッシュ内のあらゆる情報が変更された後に更新されるように設定できます。これらのトピックはAWS SaaS(Software-as-a-Service)ソリューションで使用でき、よりリアルタイムな特性から大きな価値を引き出し、クラウドネイティブ・アプリケーションの価値実現までの時間を短縮します。
IBM Z Digital Integration Hubを活用することで、AWSクラウドネイティブ・アプリケーション・サービスは基幹アプリケーション環境にほとんど影響を与えることなく最新の方法(JDBC、ODBC、Kafka、REST)を使用して、リアルタイムに理解可能/消費可能なデータおよびイベントを利用できます。
パターン#3:新規チャネルを使用したメインフレームの拡張
このパターンではz/OSのリーチをAWSクラウドに拡張するため、AWSサービスを通じてz/OSのビジネス機能およびデータを新しいユースケースで利用できるようにします。例えば、モバイル・ユーザー向けの新しいWebフロントエンドを構築することを選択するお客様もいれば、基幹ビジネス機能用の音声インターフェースをAWSでセットアップすることを選択するお客様もいます。
これらの新しいサービスでは、Open API標準に準拠したREST APIを使用してメインフレーム・アプリケーションやデータにアクセスでき、IBMのノーコードAPIソリューションであるz/OS Connectを使用すれば数分で構築できます。これにより、Open API仕様を使用した業界標準のAPIを通じて、メインフレーム・アプリケーションとデータに安全かつ簡単にアクセスできるようになります。
ビジネス上重要なAPIを安全に拡張し、IBM zSystemsプラットフォームの強みを活かしながら、Amazon API GatewayなどのエンタープライズAPI管理ソリューションとのシームレスな統合を実現することができます。
一部のお客様は、コア処理能力を増強するための、追加の、または特定の地理的な場所へ配置されたAWSデータセンター容量や、特定の司法管轄区域内で機密個人情報(SPI)の処理できるようにするためのデータセンターを持つAWSグローバル・インフラストラクチャーが必要です。
z/OS上のCICSを補完するための新規チャネル、国内処理、およびハイブリッドクラウド展開のために、IBMはCICS TXを提供しています。 お客様はこのソリューションを活用して、パフォーマンスに影響の少ないCOBOL/CICSアプリケーションをAWSにデプロイし、コアのCICS Transaction Server for z/OS(CICS TS)と相互運用して、z/OSとAWS間でシームレスにロジックを共有することができます。
パターン#4:AWSクラウド・ストレージを使用したハイブリッド・ストレージ
z/OSのお客様は、クラウド・オブジェクト・ストレージを従来のディスクおよびテープ環境に統合してハイブリッド・ストレージ・アーキテクチャーを構築しています。このハイブリッド・アーキテクチャーにより、お客様はオンプレミスのディスクとテープ・ストレージの長所を活用しながら、バックアップ、アーカイブ、非構造化データ用にAWSストレージのようなクラウド・ソリューション特有の利点を追加することができます。
z/OSは、AWSストレージを別のストレージ層として透過的に活用する多くのソリューションを提供しています。
ハイブリッド・ストレージ環境を構築する簡単な方法として、IBM TS7700クラウド・ティアを使用することができます。この機能を使用すると、最初にTS7700仮想テープ・キャッシュにデータを書き込むことができるため、SLAが確実に維持され、アプリケーションの変更は必要ありません。その後、TS7700はコールドの仮想テープ・データをAWSストレージに透過的に移行して、低コストでサイバー・レジリエントなデータ・レジデンシーを実現します。
さらに、IBM DS8900は透過的なクラウド階層化(TCT)を提供します。これにより、DS8900ディスクからTS7700オブジェクト・ストアおよびAWSストレージの両方に直接、自動化されたポリシー・ベースのデータをバックアップしたりアーカイブしたりすることが可能になります。z/OSを通過するデータはありません。このソリューションにより、データ管理に使用するCPUを大幅に削減できます。
DFSMShsmとDFSMSdssではこの機能を活用して、z/OSのお客様に固有のサイバー・レジリエンシーとライフサイクル管理のクラウド・ストレージ・ソリューションを提供します。
非構造化データの場合、DFSMSdfp OAMはz/OSで提供されるデータ(PDF、音声ファイル、ビデオ・ファイルなど)用の別のストレージ層としてAWSストレージを使用します。OAMはデータをAWSストレージに直接書き込み、データをディスクおよびテープからクラウド・ストレージに移行できます。
AWSストレージをテープ・データに直接使用したいお客様のために、IBM Cloud Tape Connectorでは、ホスト・ベースの圧縮と暗号化を使用するソフトウェア専用エミュレーションで完全なテープ仮想化を提供します。
パターン#5:Enterprise Automation Across z/OSおよびAWS
自動化は、あらゆるクラウドとハイブリッドクラウドのエクスペリエンスを実現する上で不可欠な要素です。
Red Hat Ansible Automation PlatformはAWS上で実行でき、企業全体および複数のIT環境にわたって自動化を構築して運用するための基盤です。このプラットフォームには、AWSおよびIBM zSystemsにまたがるエンタープライズ規模の自動化を実装するために必要なツールがすべて含まれています。
Red Hat Ansible Certified Content for IBM Zにはz/OS、z/OSミドルウェア製品、およびその他のIBM zSystemsリソースの自動化を加速させるコレクションが含まれています。これにより、一貫性のあるエンタープライズ・アプローチで、AWSおよびzSystemsにまたがるハイブリッド・アプリケーションとハイブリッド環境における自動化を実現できます。
まとめ
IBMとAWSは、お客様のビジネスの俊敏性の向上、投資価値の最大化、イノベーションの迅速化を支援するため、アプリケーション・モダナイゼーションの利用可能な選択肢を拡張し、お客様のビジネスに適したモダナイゼーションの方法を選択できるよう協業して取り組んでいます。さらに詳しく知りたい方は、以下を参照してください。
IBM – AWSパートナー・スポットライト
IBMはAWSプレミアティア・パートナーとしてコンサルティング・サービスおよびソフトウェア・ソリューションを提供しています。IBMは、お客様ソリューションのAWSへの導入に特化した経験豊富な専門家のエコシステムを構築しました。IBMは、お客様がAWSクラウドを使用して既存のワークフローをモダナイズし、クラウドネイティブ・アプリケーションを開発し、既存のAWSクラウド環境を最適化できるよう支援しています。セキュリティー、エンタープライズ・スケーラビリティー、およびRed Hat OpenShiftによるオープン・イノベーションにおける専門知識で、お客様がAWSクラウドを使用して迅速かつシームレスにメインフレーム・アプリケーションをモダナイズできるようにお手伝いします。幅広いコンサルティング能力、インテリジェントなワークフロー、人工知能(AI)、および自動化ソリューションを併せ持つIBMは、お客様のクラウド・トランスフォーメーションの遂行にとって理想的なパートナーです。
Steve Steuart, WW Principal Mainframe Modernization GTMS – AWS
Skyla Loomis, Vice President, IBM zSystems Application Platform – IBM
共著
この記事は英語版IBM Z and LinuxONE Communityブログ「Modernize Mainframe Applications for Hybrid Cloud with IBM and AWS」(2022年5月9日公開)を翻訳したものです。
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