製造

Watson IoT ツールキットが、自動車生産現場の仕事を変える

記事をシェアする:

IBMが提供する自動車業界向けソリューションの1つに『Intelligent Automotive Manufacturing Assistant(以下、通称である「IAMA」と記述)』があります。

自動車工場のイメージ

IAMAは、IBMのWatson IoT, コグニティブ、スマート・ファクトリーといったソリューションを自動車業界やユーザーのニーズにあわせて進化させて、短期間で導入ができるようにパッケージ化したものです。

具体的は、IAMAは、自動車工場の製造フロアの作業員や技術者の仕事をAIとIoT技術の力で支援し、仕事の効率を高められるようにするためのツールキットです。既に、いくつかの自動車工場でパイロット導入されています。


自動車の製造部門のお客様とお話していると、生産のアウトプットをどのように最大化するかが、大変に重要なパフォーマンス指標となっていることがわかります。そして、生産のアウトプットを最大化するために、工場向けの様々な生産管理システムが導入されてきました。

IAMAは、全ての作業員が状況に応じた適切な情報を入手することで、個人の経験値やロケーションに関わらず生産性を劇的に向上できるのではないか、という視点にフォーカスしているソリューションです。

IAMAの開発にあたり、自動車メーカーの工場のご担当者様にヒアリングをしたところ、日々の仕事における困りごとが大きく3つあることがわかりました。

  1. 現場の作業員は、必要な情報を探すために非常に長い時間を必要としている。
    「一つの情報にたどり着くために多くのデータベースにアクセスする必要がある」「情報が複数の言語で提供されている」などが要因であり、時間を費やしても情報が見つからない場合もある。
  2. 生産現場が複雑化の一途をたどっているにも関わらず、熟練工やベテランの数が圧倒的に足りない。
  3. 問題が発生した際に、担当者が、直感や感覚で対応せざるを得ない場面が多数ある。

作業員の経験値を一気に向上させることで、多くの問題を現場で速やかに解決できるようになるとしたら、どうでしょう。現場の作業員の不安やストレスが減り、作業効率も向上するはずです。


ツールキットのイメージIAMAの想定ユーザーは、メンテナンス・エンジニア、設備エンジニア、シフト計画担当者、生産設備のオペレーター、工場のプランナーとデザイナー、プロセス・マネージャーです。

そして、想定ユーザーが、ツールボックスから必要に応じて道具を選んで使うように、AIやIOTのツールを使いやすいキットにまとめているのがIAMAなのです。

IAMAは、自動車工場における現場のニーズに合わせてIBM Watsonのテクノロジーや製品をカスタマイズすることで、製品や技術を個別に導入する場合よりも早期に投資対効果が現れるように設計されています。

IAMAに実装されているツール群(2019年3月現在)

  1. IAMAエクスプローラー
    自動車工場特有の専門用語辞書を複数言語で用意し、非構造化文書も対象とするIBM Watsonの検索システムです。パイロットを実施した工場におけるIAMAエクスプローラーの導入効果は良好です。
  2. IAMAアシスタント
    IBM Watsonのチャットボット機能をベースにカスタマイズした、自動車工場向けのアシスタントです。熟練工やベテランが、いつでもそばにいる、とイメージしてください。
    例えば、作業時間の報告方法の質問や、発生した機械トラブルの相談をすると、IAMAアシスタントが適切なIAMAツールへ誘導してくれます。
  3. IAMAインスペクター
    IBM Watson の画像診断、Visual Recognitionおよび音声診断の Acoustic Insightsのテクノロジーを用いた検査支援アプリケーションで、検査工程の目視や聴診による確認の所要工数を削減します。
    IAMAインスペクターによって、画像認識を用いた不良品の検出や分類、音響解析を用いた異常の検知が実現できます。IAMAインスペクターは、大量で高速の生産ラインに固定する状態で実装できますし、固定が困難な場所ではモバイル・アプリケーションで対応できます。
  4. IAMAピアガイド
    IBM独自のARテクノロジーを用いて、熟練工やベテランがリモートから支援を行うツールです。
    IAMAエクスプローラーで解決できない問題が生じた際に、IAMAピアガイドを用いることで熟練工やベテランに助けを求められます。具体的には、現場作業員が携帯しているARデバイスを介して、熟練工やベテランがタグと説明を作業箇所に加えながら支援を行います。
    IAMAピアガイドを活用することで、熟練工やベテランが多くの工場や現場を支援できるようになるため、人材の有効配置が可能になります。
  5. IAMAコックピット
    生産状況のリアルタイム・モニタリング機能です。
    自動車工場用に、複数のパフォーマンス指標がプリセットされています。さらに、IBM Watson Studioのようなバックエンドの分析機能と統合できます。
  6. IAMAマーケットプレイス
    ワンストップでツール群を管理するポータルです。
    IAMAマーケットプレイスは、マイクロ・サービスのアーキテクチャーで作られており、オンプレミス、オフプレミスのいずれのクラウド環境でも稼働します。IAMAのツール群だけでなく、外部のビジネス・サービスの組み込みが可能です。

IAMAをお勧めするポイント

  • 自動車工場で、現場の声を聞きながら開発、テスト、パイロットを行なっています。
  • IBMの最新のAIとIoTの製品およびテクノロジーが、用途に特化したカスタマイズ済みの状態でパッケージ化されているため、導入の所要期間およびコストを従来よりも大幅に削減できます。
  • 複数言語対応も含め、グローバルな工場展開がスムーズに行えます。

どのような現場に適用すると、IAMAは高い効果が期待できるかなど、IBMのコンサルタントが個別にお答えいたします。こちらのフォームを用いて、お気軽にお問い合わせください。


More 製造 stories

「第2回ベジロジサミット」レポート後編 | ベジロジシステム討論会

IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software

ベジロジ倉庫とベジロジトラック、そしてキャベツ食べ比べを中心にご紹介した「第2回ベジロジサミット」レポート前編に続き、ここからは第二部、場所を屋内に移して開催されたベジロジシステム討論会の様子をご紹介します。 目次 前編 ...続きを読む


「第2回ベジロジサミット」レポート前編 | レタスの食べ比べとベジロジ倉庫・トラック

IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software

「佐久地域は葉洋菜類の一大産地であり、産地の生産を守ることは日本の食を守ることです。主体的に取り組んでいきます。ただ、青果物の取り組みは特に困難な要素が多く、物流業界でも取り組みが進んでいない分野です。そんな中で、持ち前 ...続きを読む


職場で小さな変化を起こすヒント | 日本IBMのLGBTQ+への取り組み(後編)

IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software

先日、産業保健に関する日本最大の学術団体「公益社団法人日本産業衛生学会(JSOH)」主催の全国協議会にて、日本IBMの川田 篤が「LGBTQ+について勉強して終わり? 職場で小さな変化を起こすヒント」と題した教育講演を行 ...続きを読む