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デジタル・ツイン〜2019年に調査するべき戦略的テクノロジー・トレンド

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ガートナーが2018年10月に発表した「2019年の戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10」に関する記事を、ご覧になった方は多いと思います。ガートナーが、企業や組織が調査するべき最先端の戦略的テクノロジーの1つとして挙げているのが、「デジタル・ツイン(Digital Twin)」です。では、2019年になり、ニュースや展示会などで見かける機会が増えた「デジタル・ツイン」とは、どのようなテクノロジーなのでしょうか。

「デジタル・ツイン」とは?

「デジタル・ツイン」とは、「デジタル」を用いて作成された、現実世界の物理的なシステム等についての「双子」。換言すれば、車やエンジンのような物理的なオブジェクトについて、非常に正確に作成された仮想モデルのことです。

デジタル・ツインのイメージ

工場の物理オブジェクトと、その仮想モデル

ただし、「デジタル・ツイン」は、単なる仮想モデルではありません。現実世界の物理的なオブジェクトに接続されているセンサーからのデータを仮想モデルに組み込むことで、物理オブジェクトの状態をリアルタイムに可視化できる「もう1つの現実」となるのです。

つまり、製品、システム、工場の機器などに接続されているセンサーが測定したIoTデータ(温度や湿度の状態など)を「デジタル・ツイン」に組み込むことで、現実世界の物理的なオブジェクトの健全性やパフォーマンスを、リアルタイムで把握できるようになります。そして、把握した結果を踏まえて製品や施設の潜在的な障害を特定したり、リモートからトラブルシューティングを行うことも可能となります。

予知保全の実現や、遠隔からのソフトウェア・アップデートなどによる製品の改善、モニタリング・データを活用した新製品の開発やサービスの向上も、「デジタル・ツイン」によってもたらされるメリットとなります。

「デジタル・ツイン」は、米国では「過度の期待」のピーク期

「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2018年」出典:Gartner 2018年8月

先進テクノロジのハイプ・サイクル:2018年(クリックで拡大表示)

冒頭で触れた「2019年の戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10」は、ガートナーが2018年8月に発表した米国における「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2018年」に基づいて選ばれています。同年10月に発表された「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2018年」とでは、取り上げられているテクノロジーが異なるため単純な比較はできません。ただ、同じテクノロジーの場合、日米のハイプ・サイクルにおける「期待度」と「時間の経過」にズレがあり、日本は米国を追いかけるような形となっています。

米国におけるハイプ・サイクルでは、「デジタル・ツイン」は「過度の期待」のピーク期に位置づけられています。日本におけるハイプ・サイクルに「デジタル・ツイン」は登場していませんが、日本の企業や組織にとっても「デジタル・ツイン」は2019年に意識するべきテクノロジーの1つと言えるのではないでしょうか。

「デジタル・ツイン」へのIBMの取り組み

IBMの「デジタル・ツイン」ソリューションは、市場を差別化する主要な要因に基づいて構築された、基本的な機能を適用します。

IBMは、モデリングと設計のためのソリューション「IBM Rational Rhapsody」や設計、製造、運用全体のデータを視覚化、分析するソリューション「IBM Rational Engineering Lifecycle Manager」などを通じて、「デジタル・ツイン」のための機能を提供しています。

スマートヘルメット

DAQRIのスマート・ヘルメット

また、IBM Maximo向けのLab serviceでは、資産管理へのAR(拡張現実)の導入によって、新たな顧客体験を提供しています。

IBMは、ARスマート・ヘルメットの開発企業であるDAQRIと提携しています。そして、システムや工場などの施設に対する付加情報をARスマート・ヘルメットから映像や音声で提供し、重要データへの現場からの即時アクセスを実現しているのです。

今回紹介したRationalやMaximoといった製品を含むIBM Watson IoTを活用した「デジタル・ツイン」の具体的な事例の1つに、「世界でも最もスマートな港」というビジョンを掲げているロッテルダム港があります。

ロッテルダム港は「自律的な船」の実現に向け、産業用IoT(IIoT)基盤であるWatson IoT Platformを用いてデジタルツインを作成し、デジタル・ダッシュボードによって入出港や停泊の管理業務など全てのオペレーションを同時に監視しています。


 

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