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身近な疑問をヒモトク#03-What-if分析で誤算を回避!結婚式のお金の出入りをシミュレーション

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皆様こんにちは。IBMの盛武です。

IBM Planning Analyticsという 計画策定や予実把握など業績管理の効率化を促進するソリューション導入を担当しています。

 

さて「身近な疑問をヒモトク」シリーズ第3回のテーマは「What-if分析」です。

「What-if分析」とは、何かを決めるときに結果に影響を与えるパラメータを洗い出し、それぞれのパラメータ値の変動や組み合わせによって起こり得る結果を算出することで最良の選択肢を考えることや、想定が外れた場合の影響を把握する手法です。

 

 

ものすごく簡単に言うと「”もし~だったら、、、だろう”を様々なケースで考える」や「”設定した数式に対して複数の異なる値を入れて結果がどうなるか”を考える」ということです。これは誰もが一度は実践したことがあるのではないでしょうか。

 

身近なことを取り上げることが本ブログのテーマということで、今回は某氏の”結婚におけるWhat-if”を紹介します。

 

 

30代初め、”宵越しの金は持たねぇ”と貯金もせずに毎日散財していた某氏が結婚をすることになり、式場との打合せの中で、「50名まで200万前後~」、「80名まで300万前後~」という2つのプランから1つを選択する必要がありました。

結婚式支出はご祝儀によって負担を軽減できると言いますが、貯金も少ない某氏にとって100万円の差はさすがに大きいと「50名までのプラン」優勢で比較検討を始めました。

 

なお、新婚旅行や新居での家財調達にもお金が必要なことから、極力支出を抑えたい某氏は最善の案が何かを漠然と考え続けていましたが、なかなか答えは出ませんでした。

 

そこで試算表を作ることにし、最初に試算項目を洗い出してみました。

 

まず収入の部です。

事前に親族からもらった内祝い金とご祝儀を項目として定義します。

1.収入の部

1-1. 祝い金      2,000,000円(両親や祖父母からの結婚祝い金)

1-2. ご祝儀      「ご祝儀額✕来賓者数」

 

ここで某氏は、来賓者が親族の場合、上司の場合、友人の場合それぞれでご祝儀の額は異なるはずだと

「一人当たり 30,000円」という俗説のご祝儀額に来賓者数を乗算するのではなく、

来賓者分類を加味した計算式を採用することにしました。

 

1-2′. ご祝儀     「Σ(来賓者分類別祝儀単価 ✕ 来賓者分類別人数)」

 

 

次に支出の部です。

人数や会場規模に関係なく一定の支出が発生する固定費項目と、人数に応じて発生額が変わる変動費項目に分けます。

2.支出の部

2-1. 固定費

2-2. 変動費      「単価 ✕ 人数(テーブル数)」(*1)

 

固定費の中には、某氏に選択肢が無く金額が定まっているものと、某氏に選択肢があり複数の異なる金額が事前定義されたメニュー(松竹梅など)が含まれています。

また、変動費にも同様に某氏に選択肢があり複数の異なる金額が事前定義されたメニューがあり、それに来賓者数やテーブル数などが乗算されます。

 

(例)

・金額が固定のもの:司会料、新婦衣裳、新郎衣裳、美容着付け

・選択メニュー及び人数によって金額が変動するもの:料理、飲物、招待状、席次表

・選択メニューによって金額が変動するもの:ウエディングケーキ、ブーケ&ブートニア、メインテーブル装花

・人数によって変動するもの:会場代、テーブル装花

 

最後に収入と支出に影響を与えるパラメータを洗い出します。

このパラメータに複数の異なる値を入れて結果がどうなるかを試算します。

 

(主なパラメータ)

・ 来賓者分類別の来賓者数

・ 来賓者分類別のご祝儀額

・ ランク(選択可能な料金メニュー)

 

※試算条件

・ 式場(会場)は2種類あり、それぞれに人数制限(最大:50名、80名)がある。

・ 絶対に招待したい人が決まっている。(来賓者構成ごとの最低招待人数が決まっている)

– 親族代表(16)+親族(8)は確定。

– 友人の招待者数は最低20名。

– 上司・恩師の招待者数は最低4名。

・ 招待したい上司・恩師は上限がある。(最大10名)

・ 1テーブルあたり最大8名まで。(本来10名座れるが、ゆとりをもたせるため 8名で試算)

 

それでは収入の部の試算です。

来賓者分類別祝儀単価に対しては、期待値と上振れ、下振れの金額を設定しました。

 

(来賓者種別に応じた某氏見込金額)

 

来賓者分類別の来賓者数については前述の制約を考慮しつつ、式場ごとの最小構成人数及び最大構成人数を使用することにします。

それぞれの人数に対して、上記の見込金額(下振れ、期待値、上振れ)を乗算することで、想定見込総祝儀額を算出しておきます。

 

 

次に支出の部の試算です。

 

利益を多く出すという観点では選択可能なメニューが用意されている項目の単価は極力低く抑えておきたいところですが、目先のコスト削減に囚われすぎて、大切な花嫁と来賓者の満足度を下げるわけにはいきません。

ということで、一旦すべての項目を高い方を選択した場合で支出を算出してみます。

 

 

最初に提示された「50名まで200万前後~」、「80名まで300万前後~」と2つのプランには100万円の差があったことから50名のプラン優勢で検討が始まりましたが、種々の条件や仮定による試算を行うことにより、下振れしたとしても50名までのプランと80名までのプランにおける収支の差は数万円程度で、期待値もしくは期待値以上の祝儀額の場合は80名までのプランの方が良い収支結果を得られることが分かりました。しかも、選択可能な項目を高い方で選択したにもかかわらずです。

 

最初に提示された絶対額だけで漠然と判断するのではなく、収入と支出の構成要素を分解し、複数の仮定値によって試算したことで、当初と異なる選択肢が優勢となりました。あとは本当に必要と思われるもの以外を安い選択肢に変えてみることや、来賓者構成を調整しながら試算を繰り返していきました。

 

その後、某氏の結婚式は80名までのプランが採用され、50名規模での期待値を超える収支結果を得ることができました。

 

(某氏 収支結果)

 

まとめ

ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

今回挙げた事例は、あくまでも個人的な催し物における試算です。

そのため「もし~だったら、・・・だろう」という試算に使用しているパラメータ数や計算内容はシンプルで、かつ、仮定値や選択内容を個人で決定することが可能でした。

 

しかし、実際の企業活動においては、このような試算をもっと多くのパラメータや複雑な計算処理を多くの人が関わりながら行っていることにより、誤記チェックや多重検算が必要となり、作業の煩雑化や処理の長時間化が生じています。また企業活動においては、より正確に、より早く試算を繰り返し行うことが求められます。

企業全体の年次予算や収支計画といった大規模なものになると、さまざまなパラメータや計算処理に柔軟に対応できる機能を備えたIBM Planning Analyticsが役立ちます。またIBM Planning Analyticsはあらかじめ型が決まった製品ではなく、利用者の用途に応じてカスタマイズ可能な柔軟性を持つため、部門内における経費管理や販売計画など様々な領域で活用できる優れものです。スプレッドシートと日々格闘されている方がいらっしゃったら、ぜひご検討をお願いします。

 

IBM Planning Analyticsの画面イメージ1

 

IBM Planning Analyticsの画面イメージ2

 

なお、IBM Planning AnalyticsはSPSS Modelerと組み合わせて使用することができ、SPSS Modelerで行った需要予測結果などと組み合わせて計画への意思入れの参考情報とすることや、因果関係(相関係数)の情報をもとに選択や意思決定の判断材料として使うなどの活用も考えられます。ある企業では、SPSS Modeler で顧客の来場人数を日毎に予測し、IPAで販促コストと効果の具合を確認しながらレベニューマネジメントに役立てられています。

 

SPSS Modeler のIPA連携ノード

 

次回の身近な疑問にヒモトク#04はMAIの木村さんが「新規出店の売上予測は難問奇問!出店の成功確率を上げるデータサイエンス」を執筆。4月20日に公開予定です。また、並行連載中のブログで学ぶSPSS Modeler#04はスマートアナリティクス畠さんが「新グラフ機能」を紹介してくださいます。4月7日を予定しています。どちらもお楽しみに。

 

IBM Planning Analyticsについてはこちら

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これまでのSPSS Modeler ブログ連載のバックナンバーはこちらから

 

 

盛武 亮

日本アイ・ビー・エム株式会社

IBM Expert Labs

Advisory IT Specialist

 

 

 

 

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