IBM Consulting
【耳から学ぶ!】IBMコンサルティング流、社内ラジオの作り方
2023年07月05日
カテゴリー IBM Consulting
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目次
1. なぜ今、社内ラジオをはじめたのか
― 社内ラジオをはじめるようになったきっかけはどのようなことですか?
兼山: ちょうど1年ほど前です。当時私たちは入社3年目のコンサルタントで、毎日届く仕事関係の大量のメールの処理にすっかり手一杯になっていました。
一方、IBMには「学び続ける文化」があり、1年を通して社員向けにたくさんの研修やセミナーが開催されていています。最新技術を学ぶコースや、お客様のビジネスのヒントになりそうなテーマのコースもたくさんあります。しかし、面白そうな研修の案内が届いても、メールが見つからずに申し込みを逃してしまったり、そもそも研修を受ける時間も心の余裕もなくなっていることに気づきました。
そんな時、僕らの目と手はもういっぱいだけど「耳なら空いている」と気づいたんです。
仕事をしながら、休憩しながら、音声だけで何かを学べるコンテンツがあればいいなと思いました。そこで、同じ思いを持っていた同期入社の仲間と一緒に「耳から学べる」社内ラジオの発信を決めました。
― 制作しているラジオ番組は、どのような内容でしょうか? 工夫していることはありますか。
篠原: ラジオを制作するにあたり、まず私たちが日頃感じていた課題感を整理したところ、次のようなことが挙がりました。
- 社内に発信される情報量が多すぎて、整理が追いつかない。
- 業務が忙しすぎて、研修や学習活動に手を伸ばす余裕がない。
- 入社前に聞いていたIBMという会社の最先端の取り組みやその輝きを、現場で働く中で感じづらくなってしまった。
どの企業においても、同じような悩みを持つ若手社員は多いのではないかと思います。これらを解決するために、私たちは社内でよく見かける情報から、特にいま知っておくべき / 学ぶべきテクノロジーや社会課題など旬なトピックを取り上げ、IBM社内にいる「その道のプロ」に質問しながら耳から学んでいく、というコンセプトで番組を作ることにしました。
加藤: 制作で工夫していることは、耳だけで聴いているリスナーが理解できるように、技術や専門的な内容を話す時は、資料がなくてもわかるレベルにまで噛み砕いて話す、スキマ時間や仕事中の「ながら聞き」でも最後まで聞き終えられるよう、番組は1本15分に収めるようにしています。ラジオ収録時にゲストの話が1時間に及んだ場合は、15分ずつ3本、4本と分割して配信します。
ただ、技術をテーマにすると、どうしても耳だけで学ぶことに限界がある場合があります。そのような場合は、導入部分だけをラジオで伝え、もっと詳しく知るにはこの研修を受けるといいよ!とおすすめの研修を紹介するようにしています。ラジオを聴いた後に、興味の湧いたトピックの研修を本格的に受講することで、知識の定着にもつながり、学びとしての効果も上がります。
― 社内ラジオのメリットはどのようなことでしょう?
兼山: 社内ラジオは、発信する側、聴く側の両方にメリットがあります。
◆ 発信する側のメリット
- 音声コンテンツにすることで、資料やテキストでは伝わらない発信者の想いが声から伝わる
- 動画ほど緊張したりかしこまることなく収録できるため、自然体で会話ができ、楽しく、面白く本音を語ることができる
- 動画編集や研修資料作成の必要がないので、短い時間で制作できる
◆ 聴く側(リスナー)のメリット
- 旬な技術情報をコンパクトに学ぶことができる
- ラジオを通して、普段接することのない社内のエキスパートやエグゼクティブの考えを知ることができる
- キャリア入社や若手社員など、会社での経験が浅い人こそ理解してほしいテーマを扱っている
- 仕事の合間の良い気分転換になる
2. 社内ラジオはどう作る?テーマ選びから配信まで
◆ My BM Radio(社内ラジオ)実際の制作の流れ
- 構想(リスナーアンケート・お便りチェック、テーマ選び)
- ゲストの出演交渉
- 台本作り
- 収録
- 編集
- 公開
― 番組を1本制作するのにたくさんの段取りがありますね。準備は大変ですか?
竹内: 番組制作にはそれなりに手間ひまがかかりますが、フォーマットを作りテンプレート化したことで効率的に作業ができています。動画や研修コンテンツに較べれば、ラジオ番組の制作はずっと負担が軽いのではないかと思います。そのほか、技術的なテーマを扱う時は、ゲストと会話のキャッチボールができるように予習してから収録に臨むようにしています。
― 毎回の番組テーマはどのように決めていますか?
鵜飼: テーマは主に「技術」と「人」から選んでいます。IT業界ではとかく専門用語が飛び交いがちなうえに、新しいテクノロジーが生まれるたびに聞きなれない技術用語もたくさん出てきます。私たちは今年入社4年目ですが、いまだに全社会議やミーティングの場で、初めて耳にする用語や新しいソリューションの登場に戸惑うことも。そのような時は、いいテーマ見つけた!とばかりにメモを取り、次の番組で取り上げるテーマの候補にします。
また、IBM社内にはテクニカルに強いエキスパートがたくさんいますので、「この人から面白い話が聞けそうだな」「この人最近新しいことをやっているな」という人を見つけたら、ゲストに招くことができるかさっそくチーム会議 で検討します。
石丸: 番組のゲストは、各回のテーマに応じた「その道のプロ」に出演を依頼するのですが、日ごろ忙しく飛び回っているエグゼクティブらが、どうにかスケジュールを調整して出演してくれるのが嬉しいです。
若手目線で何でも率直に質問することで、出演したゲストも真摯にそれに向き合い、解きほぐすようにわかりやすく説明してくれます。ちょっとしたことから会話が発展して、思いがけず新たな知見を得られることもあり、同じテーマをEラーニングで学ぶよりも、ちょっぴり楽しく、得られるものも多いのではないかと感じています。
竹内: 最近はラジオを聴いてくれる社員が少しずつ増えて、リスナーアンケートに「新入社員研修で出てきた技術用語がこのラジオを聴いて理解できた」「楽しみながら学んでいる」などの声が寄せられるようになり嬉しく感じているところです。
また、キャリア採用で入社した社員から「テクニカルなことだけでなく、人事や福利厚生のことも教えて!」とお便りをいただいたこともありました。それまでは技術をテーマにしてきたのですが、ニーズがあるならと番組で取り上げてみたところ、過去最高のリスナー 数を記録しました(笑)。
こんなふうに、リスナーのちょっとした困りごとや知りたい好奇心をうまく巻き取って、ラジオから社員の耳に届けられたらと思っています。
3. ラジオで本当にめざしているのは、社員に今よりもっと会社に愛着を持ってもらうこと
― リスナーを増やしてたくさんの人に聴いてもらうだけでなく、その先に大きな目標があるのですね。詳しく教えてください。
兼山: 忙しい社員が耳から学べるようにと始めた社内ラジオですが、私たちが最終的にめざしているのは、時短や効率のよい学びばかりでなく、ラジオを通じてたくさんの社員が今よりもっと会社(IBM)に愛着を持つようになることです。
私たちがリスナーと一緒にラジオを通じてIBMに関するさまざまなトピックを学んでいく中で、自社の強みや魅力を再発見してほしいと思っています。そこから、自分が働く会社には優れた技術とプロフェッショナルがたくさんいて、いろいろな領域でお客様や社会に貢献している、自分もそんな会社を支える1人であることを再認識し、IBMという会社を好きになって欲しいと願っています。
篠原: 便利だから聴くだけでなく、「面白いから聴く」「自分の働くIBMという会社をもっと知りたいから聴く」、そんな社内ラジオをめざしています。
おわりに(編集後記)
手や目が空いていない忙しい社員たちに「耳からの学び」を提供したい、そんな思いから若手コンサルタントが始めた社内ラジオは、昨年秋から現在までに13本の音声コンテンツが公開されました。番組ページには、ハイブリッドクラウド、データ活用、メタバース、サステナビリティなど、テクノロジー企業らしいテーマが並んでいますが、番組の進行はいたってゆるやか、技術的な内容であっても難しくなく、クスッと笑えたり前向きな気持ちになれたりするところが魅力です。
筆者も新しいコンテンツが配信されるたびに業務のスキマ時間に聴いていますが、毎回、テーマは何であれ、「声」はさまざまな表情を持っているということを感じます。説明とともに話し手の人柄や思いが活き活きと伝わってくることで、学びの内容が記憶に残りやすくなるのかも知れません。先日、収録現場を訪れた際、デスクの上に置かれた収録マイクと「ON AIR」ランプに目が止まりました。聞けば、その2つは、活動の趣旨に共感したエグゼクティブが、少しでも良い音で収録できるようにとポケットマネーでプレゼントしてくれものだそうです。少しずつ社内ラジオの輪が広がり始めていることを感じます。
読者の皆さんの職場にもさまざまな情報発信のスタイルがあると思います。本記事でご紹介した「耳から学ぶ」社内ラジオにはたくさんのメリットと楽しさがあります。コミュニケーションと学びの手段の1つとして活用を検討してみてはいかがでしょうか。
インタビューしたIBMコンサルティング社内ラジオ「My BM Radio」制作チーム
兼山 将寿 | 篠原 遼平 |
竹内 祐太朗 | 鵜飼 茉里 |
加藤 航洋 | 石丸 佳歩 |
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