IBM Sustainability Software
日経 xTECH EXPO 「IBMが描く労働現場の未来」セッションレポート
2019年10月10日
カテゴリー IBM Sustainability Software | イベントレポート
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2019年10月9日から11日までの3日間、東京ビッグサイトで開催されている「日経 xTECH(クロステック)エキスポ」。
今回は、初日のIBM Watson IoTのセッション「IBMが描く労働現場の未来 ~Technician of the Future~」の様子をお伝えします。
なお、IBMは3日間を通じて多数のセッションと展示を行なっています。お時間のある方はぜひ下記リンク先をご覧いただき、会場に足をお運びいただければ幸いです。
デジタル・トランスフォーメーションのためのIBMプラットフォーム
セッションは、昨年経済産業省が発表して大きな話題を呼んだ「DXレポート 〜 ITシステム”2025年の崖”克服とDXの本格的な展開 〜」の紹介からスタートしました。
講師: 磯部 博史
デジタル対応(デジタルトランスフォーメーション)の遅れとデジタル人材の不足は、企業にとっての死活問題となり、現在の約3倍にも上る「最大12兆円/年の経済損失」が生じる可能性があるのが「2025年の壁」であるというのが経産省のDXレポートの骨子です。
その壁に対して、正しく対処して勝者となるのか、あるいは放置して敗者となってしまうのか。多くの日本企業が今、その岐路に立っているのではないでしょうか。
また現在、製造業の現場では「深刻な人手不足」「設備の老朽化」「作業品質の低下」という大きな3つの問題が発生しています。先ほどの「2025年の壁」という問題と合わせて、特に大きな日本の社会課題となっているのが働き方改革への対応であり、労働者不足という問題です。
労働人口が減り、長時間労働が厳格に規制されるようになっている今、従来の延長線上の対応方法では「品質の低下」は避けられません。
また、FA推進による「設備の自動化」は通常時の作業簡素化を実現しているものの、突発的なトラブルへの初動対応を複雑化していることが多いのです。
そうした中で、テクノロジーの進化を上手に取り入れていくことは、現場作業者にも現場管理者にも必要なことと言えるでしょう。
ここで、テクノロジーの進化という観点から、現場作業者が使用してきたツールの変換を考えてみましょう。
- 紙とペン
- タブレット、スマートフォン、GPS…
- 対話型UI(チャットボット)、IoTデバイス(ウェアラブル)、AIアシスタントやAR…
「今もまだ1の紙とペンだ」という方も少なくないかもしれませんが、多くの現場で2のタブレットやスマートフォンの活用が進んでいます。私も多くのお客さまから現場のデジタル変革に関するご相談をいただきますが、その多くは2のタブレットやスマートフォンの活用というケースです。
ただ一方、ここ1〜2年で、3のIoTやAIの活用に本格的に取り組んでいるお客さまが非常に増えています。
その理由は、IoTやAIのレベルがここ数年で急速に上がり、解決できるようになった作業課題や効率化できる業務分野が増え続けているからです。
また、タブレットやスマートフォンが便利だとはいえ、現場で作業をする人たちにとって「両手を空けたままで作業をしたい」という思いに変わりはありません。手を塞ぐ端末を使用するのは特別な状況の時だけで、普段はつけていることをほとんど感じさせないウェアラブル機器を使用することが今後ますます一般的になっていくでしょう。
例えば、作業者の靴に加速センサーをつけてデータ取得と分析を続ければ、ヒヤリハットの発生場所や時間、その状況を詳細に可視化でき、原因と対策を生みだすことでその発生を大幅に減らすこともできます。
ここからは、そんな環境の中で、どのようにAIとIoTを活かして手を打っていくべきかを、IBMの視点からお伝えさせていただきます。
IBMの強みがもっとも発揮されるのは産業用IoTの分野で、クラウド上においても、IBM Maximoはこの領域のグローバルトップのIoTソリューションとして、高い評価をいただいています。
参考: 「IDC MarketScape」調査で IBM Maximoがクラウド型のEAMアプリケーション分野のリーダーに!
高評価の理由は、IBMの深い業界・ドメイン知識と、それに基づいて開発された業界特化型のソリューションにあります。
近年は、IBMの研究所が開発したAIであるWatsonの力を音声や画像認識の領域に活かしていることや、他社を含めた既存システムとのAPI連携によりさまざまな業務分野やビジネスモデルにご活用いただく機会が増えていることもあり、世界中のさまざまな産業分野でIBM Maximoを採用いただくケースが増えています。
今日は「IBMが描く労働現場の未来 ~Technician of the Future~」と題してお話しさせていただいていますので、ここでは「労働現場の安全管理」と「匠の技能継承」についてお話しさせていただきます。
この図は「労働現場の安全管理」と「匠の技能継承」への道のりを示す「ジャーニー」を示しています。聞きなれない言葉かもしれませんが、ジャーニーとは「ホップ・ステップ・ジャンプ」のような段階を踏みながら進んでいくというものだとお考えください。
どちらの道のりも、まずは「作業・安全管理基盤」からスタートしていて、ここで必要とされるのが施設資産のライフサイクル管理ツール「Maximo Asset Management」です。
この作業・安全管理基盤を起点として、以下の3ステップを実施し、安全管理を実現するのがIoTプラットフォームと「Maximo Worker Insights」です。
- デバイスで必要な情報を収集する「データ収集」
- 危険を予知・予見するアルゴリズムによる「危険検出」
- 作業者や管理者に対策の必要性を伝える「アラート発信」
次に「匠の技能継承」についてご紹介します。
こちらは先ほどお話しした「両手を空けたままで作業をしたい」という作業員の方たちを支援するいくつかのソリューションをお伝えします。
例えば、工場における点検作業などをイメージしてください。紙とペンで点検項目をチェックしていく方法では、どうしても手がふさがってしまいますし、それにより細かな違いに気が付けなかったり、あるいはそれを特記事項として記載することを忘れてしまったりしがちです。
ただ、数年前までは作業現場における音声入力は、騒音や別の作業者の声との混乱などが起きがちで、実業務には耐えられないと考えられていました。
でも現在では、AIが作業者の声や作業環境を学習することで、ノイズの多い現場でも音声チャットボットによる作業指示に返答しながら対話型で作業を完了する「ハンズブリー点検」や、自然言語解析技術による「AI作業支援」も実際に用いられるようになっています。
さらにはAR技術を活用して、現場から動画を専門家に送り、遠隔地から作業員が診断や支援を受けることで、ベテラン専門家の知見と技をAIのサポートを受けながら身に付けていくことができます。
本日のセッションで紹介させていただいたソリューションについて、より詳しい説明をご希望の方は、ぜひ下記からご連絡をいただきますようお願いします。
さらに多くの事例やデモをご紹介させていただき、実際の導入にあたりお客さまにふさわしいジャーニーを一緒に考えさせていただきます。
問い合わせ情報
お問い合わせやご相談は、Congitive Applications事業 cajp@jp.ibm.com にご連絡ください。
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