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ワークプレイスの競争力を高める3つの方法

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このブログ記事は、イギリスの独立系調査会社Verdantix社によって独自に作成されたものを抄訳し、日本向けにリライトしたものです。

 

■ 鍵となる「従業員エンゲージメント促進」「スペース最適化」「リスク管理」

業種・業界を問わず、あらゆる組織が「競争力を維持し続けること」に力を注いでいます。

今日、多くの経営層が、職場における「人材を惹きつける仕組み」「コスト管理」「リスク管理」の3つに大きな注意を払っており、そのバランスを適切に取ることこそが競争に勝つ秘訣だと気づいています。

幹部たちは、コストとリスクを見直し、現状に満足することなく「賃料は固定費である」という従来の考え方に挑戦しています。そして同時に、仕事に真剣な従業員のエンゲージメントを高めるために、職場環境の質を下げることなく魅力を増すことに挑んでいます。

 

今回は、Verdantix社による洞察、業界調査、ケーススタディから、こうした挑戦を支えるワークプレイス戦略上の3つの重要なアクションを、不動産経営者や施設管理者向けにご紹介いたします。

 

■ ワークプレイス・アプリで従業員エクスペリエンスを向上させる

10年にわたる経済成長と低失業率により、米国では現在、あらゆる業界で人材獲得と従業員定着のための取り組みが熱を帯びています。雇用主は金銭的報酬だけではなく、従業員の職場環境や体験への期待に背くものにならないように十分気をつけなければなりません。

しかし実際には、多くの企業が本社ビルだけは最先端の技術を取り入れているものの、支社やローカルオフィスには手が回っておらず、従業員の期待に応えられていないのが現状です。施設・不動産管理者はこの課題にどのように取り組めば良いのでしょうか?

 

何百もの職場インタビューを実施した2019年ハーバードビジネスレビュー調査は、まずは職場環境の管理手段を従業員に手渡すべきだと結論付けています。具体的には、音声サービスやタッチスクリーンを備えたデジタルアシスタントやワークプレイス・アプリを、従業員に提供するということです。

こうしたツールは、従業員の職場サービスへのアクセスとコントロールを簡単にし、同時にフィードバックを受けやすくするという利点を持っています。また、統合型職場管理システム(IWMS)が多数市場に提供されているので、大規模レベルでの展開も容易で価格も手頃になっています。

 

■ 運用コストの20%を削減するセンサーと分析ソフトウェア

Verdantix社が304社を対象に実施した調査の結果、施設・不動産の財務責任者や担当役員の91%が、自社の所有および契約物件が肥大化していると認識しており、スペース効率管理を経営戦略上の重要なポイントだと考えていることが分かりました。

ここ数十年、オフィスの空間利用率は十分な管理をされてきませんでした。その結果、現在はスペース効率を適切に管理すれば、億単位の費用効果がある状態となっています。以下の2組織はそれに気づき、適切な対策を取っています。

  • ニューヨーク市政府は、自組織の物件のスペース効率を見直し適正化することで、年間約20億円のオフィスコスト節約を実現しました。
  • PwCは、英国内の4つのオフィスを単一施設に統合することで、今後10年間で約42億円を節約できると予測しています。

 

現在ほど、オフィス空間管理に取り組むのに適したタイミングはないでしょう。新世代のテクノロジーツールにより、従来とはまったく異なる簡単かつ効果的な方法で、スペース効率管理が可能となっているのですから。

たとえば、センサーと分析ソフトウェアは、1日の中でどの時間にどのように空間が利用されているかというデータを自動収集・分析し、深く適切な分析をもたらすようになっています。この分析が「従業員に対するデスク数の適切な割合は?」や「もっとも容易にリリースできるのはどの物件のどの部分か?」といった、重要な問いへの答えを導き出してくれるのです。

Verdantix社の調査結果は、センサーと分析ソフトウェアにより、施設・不動産の運用コストの20%が削減できることを示しています。

 

■ 経済変化を見逃さず、施設・不動産戦略に多様性と柔軟性を

経済活動が好況と不況の波を繰り返すことを、私たちはみな歴史を通じて知っています。2019年のフォーチュン500 CEO調査によると、95%のCEOが今後4年間に景気後退が起こると予測しています。施設・不動産の財務責任者や担当役員は、それを見込んだ上で計画を策定するべきです。

リーダーは、賃料、使用率、メンテナンスコストの全体像を常に把握しておき、いつでも強力なコスト管理戦略をスタートできるよう準備しておく必要があります。

 

企業は、IWMSや資産管理ソリューションなどの、統合型不動産管理プラットフォームにデータを集中させる必要があります。そうすることで、短期リース契約や中断条項などの多様性と柔軟性を、自社の施設・不動産戦略に取り込むことができるようになるのです。

 

■ ニューヨーク市政府事例

ニューヨーク市政府は、物件面積を約37,000平方メートル縮小することで、年間約16億円の賃料とエネルギー費用約4億円を節約しました。

そしてスペース使用率に関するデータ収集により、14%のデスクが使用されておらず、職員は持て余した空間を保管場所として用いていることが判明しました。

市政府は、オフィスを再設計してデスク間の距離を狭め、ロウアー・マンハッタンとブルックリンにある地代の高いオフィススペースの一部を売却しています。

(参照: Case Study: New York City Office Space Optimization

 

要登録(英語):  Verdantix社とIBMによるWebinarを開催します。詳細・申し込みはこちらから

 

 

問い合わせ情報

お問い合わせやご相談は、Congitive Applications事業 にご連絡ください。

 

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土屋 敦 |Technical Lead, AI Applications.(Watson IoT)

 

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