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「電力・ガス・石油・化学業界のデジタル変革を実現するデータを活用した設備保全の最新形」講演レポート

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「まず、電力・ガス・石油・化学業界における設備保全業務において、現在どのような課題が発生しており、それに対してIoTやAIなどのテクノロジーがどのような解決策を提供しているかを紹介いたします。その後、製油所、ガス製造所、鉱山などで、具体的にそれらがどのように用いられているかを、事例を通じて紹介します。」

— 最近、これらのテクノロジーを導入した工場や製造現場がスマートプラントと呼ばれたり、設備保全や保安業務がスマート保安と呼ばれることが増えている。このレポートでは、設備保全最適化に長年携わってきたIBMの宇治原による、設備保全業務における課題と対策についてのオンライン講演の様子を紹介する。

グローバル・ビジネス・サービス事業本部 公益サービス
設備保全最適化ソリューション部 部⻑ 宇治原 里志

 

宇治原はまず、設備保全業務における課題を「外部環境の変化」「設備の複雑化・老朽化」「人」の3つの観点から説明した。以下にそのポイントを示す。

 

外部環境 | 自由化による競争激化。環境面・労働面での規制強化

  • 安全最優先を原則としつつも経済性を意識した保全(RBM, RCM )への変化が必要である。

RBM: Risk Based Maintenance – リスク重視保全
RCM: Reliability Centered Maintenance – 信頼性重視保全

 

設備 | 高度化による複雑化と、老朽化による維持コストの増加

  • 設備の性能や健全性を可視化し、設備重要度や作業の優先順位付けが必要となっている。
  • 突発トラブルへの初動対応力向上が必要であり、そのためには監視の強化が求められる。

 

人 | 人材不足に起因する作業品質の低下

  • 若手保全員の圧倒的経験不足 – 点検・保全作業の省人化や効率化による業務改善が必要。
  • 同時に 自動化・省力化・効率化による机上業務の削減を実現し、より多くの現場作業を経験するための時間も必要。

 

これら3つの視点からなる課題に対し、宇治原は「テクノロジーの活用で克服できる領域」として以下の図を示した。

IoTにより取得可能となる設備データやAIを活用することで高度化が実現できる領域

 

「左下より、右上に向かってステップを踏んでいく形となります。

まず『EAM(設備保全業務の管理システム)の導入』というのは、EAMと呼ばれる設備保全管理システムに、保全履歴をきちんと保管し、データベース化していきましょうという段階です。

次のステップが『設備の透明性(モニタリング、スコアリング)向上』です。EAMによりある程度設備の状態は可視化されますが、そこにプロセスデータなどを加えることで、さらに設備の健全性や作業状況が可視化されていきます。

こうしてデータが蓄積されていくと、次のステップである『最適化および状態監視、故障予測の実現』へと進むことができます。時間基準保全から状態基準保全へと進化させることができるようになったり、機械学習を用いて過去の故障履歴からモデルを作成し、リアルタイム状態監視と合わせることで予測・予知保全を実現することができるのです。

なお、下に書かれている『フィールド業務効率化』と『安全管理支援』は、より現場業務に近い視点のものとなります。」

 

設備保全業務の高度化についての説明に続き、宇治原はこれらのステップを実際に進め、高度化を実現しているIBMお客様事例を紹介した。

以下にそのポイントを紹介する。

 

製油所

老朽化が進みたびたび計画外停止が発生していた。

そこで設備データに加えプロセスデータも用いて設備の透明性を向上させ、過去と現在の状況を比較できるようにして、検知、予測を実現。

 

保守、修理、運用(MRO)在庫最適化

従来の安全在庫水準や発注点からの在庫の受払予測に保全情報を加味することで、保全関連の予備部品の必要数量や必要なタイミングを予測。

業界大手エネルギー企業様やアルミニウム製造企業様において、すでに大きな効果を入手済み。

 

ガス製造所

計画外停止が発生するようになり一掃の監視強化が必要になっていた。

そこで事後対応だけではなく、起こりうることに前広に対応するために、制御システムから得られる各種データを「ヒストリアンDB」に蓄積させほぼリアルタイムでの監視を行い、異常余地システムと予兆監視システムを構築。プラント全体の信頼性向上を実現。

 

鉱山

コンピュータの仮想空間の中に鉱山やプラントを再現する「デジタルツイン」により、今現在どんな状態であるかを一目瞭然とすることができた。

そしてデジタルデータ分析により、異常予測や予知保全が行えるようになり、健全性、信頼性、安全性の向上を実現。

採掘現場の可視化により、効率化・省力化・安全性向上を実現

 

この後、宇治原は設備保全現場の労働者の安全確保への取り組みについて、鉄鋼メーカーや石油ガスプラントなどで用いられている最新のセンサー技術と分析技術を用いた「IBM Worker Insights」の事例を紹介した。

 

問い合わせ情報

お問い合わせやご相談は、Cognitive Applications事業 にご連絡ください。

 

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