IBM Sustainability Software
「生産現場で飛躍的に効率向上 – 本番で使えるAI画像認識 IBM Maximo Visual Inspection」レポート
2020年09月15日
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9月3日、4日の2日間に渡り「ニューノーマルへの挑戦」をテーマに掲げた日本IBMのデジタル・イベント「Think Summit Japan」が開催されました。
デジタル変革の実践例をご紹介する多数のセッションの中から、株式会社システム・ケイ 営業企画本部長 高木 幸樹氏にご登壇いただいた「生産現場で飛躍的に効率向上 – 本番で使えるAI画像認識 IBM Maximo Visual Inspection」の一部をご紹介します。
「『最新のAIを活用した画像認識プラットフォームを活かして、企業のさまざまな課題を解決していく』 — こうした取り組みの最新の動向を、現場の最前線で支援している株式会社システム・ケイの高木様をお招きし、対談形式でお伝えします。また後半では、より分かりやすく最新事例などをデモンストレーションを交えてご紹介させていただきます。」
日本IBM AI Applications事業部長 村澤 賢一はオープニングでそう告げると、「極端な人手不足」、「技術を持ったベテランの退職」、「COVID-19によるソーシャルディスタンスなどの新しい行動制限」という、画像認識活用の現場が直面している3つのリスク要因について説明しました。
「これらの課題にどう立ち向かうのか…。その取り組み方が、成長かはたまた淘汰かへを決定づけるのではないか。このあたりについて、これから株式会社システム・ケイ 高木様とお話しさせていただきます。」と話し、高木氏との対談をスタートした。
システム・ケイ 高木氏は、まず同社の紹介と最近の事業内容についてお話しされました。
「株式会社システム・ケイは、北海道の札幌を中心に30年ほど前から活動しています。
当社の事業の半分は受託開発、もう半分はインターネットカメラのシステム構築などです。最近では、インターネットの特性を活かし、カメラ画像からリアルタイムで人数カウントをしたいであるとか、サーマルカメラで体温を測りアラートを出したいなど、日本中のお客様から毎日いろいろなリクエストをいただいております。」
「AI画像認識の実践について、今日は2つテーマを用意していますので伺わせてください。まず1つ目が「デジタルネイティブな若手によるDX推進」、2つ目が「OT/IT融合」です。
1つ目のDX推進ですが、少し前まで、AI画像認識は専門技術を学びトレーニングを受けた『腕前のある技術者や素養のある方たちが行うもの』と考えられていました。でも現在はかなり変化し、各企業の事業現場の方たちが執り行うものとなっていると思うのですが、実際のところどういった方がたがAI画像認識の現場で活躍されているのでしょうか?」
村澤のこの問いに、高木氏は以下のように答えた。
「当社は、超人的なデータサイエンティストや天才プログラマーがたくさん揃っている会社ではありません。
そうではなく、お客様からの要望をお聞きしたデジタルネイティブ世代の20代若手社員たちが、IBM Maximo Visual Inspectionを使用し、自分のデスクトップ上での作業だけで「出来上がりました。こんな感じでいかがですか」とお客様にお応えしています。
彼らはやはり新しいITツールに馴染むスピードがベテラン社員よりも圧倒的に速いですね。」
「若手社員がお客様の課題解決に積極的に取り組まれている、とても望ましい形ですね。」
村澤はそう答えると、続いて高木氏に質問した。
「ただ、そうは言っても、ITツール以外の『経験が必要な部分』もあるのではと思うのですが、そのあたりの組み合わせだったり埋め合わせといった部分は、どうされているのでしょうか?」
「以前であれば、若手社員が恐縮しながら忙しいベテラン社員やデータサイエンティストに質問をし、アドバイスをもらいながら1カ月かけてシステムを作っていました。でも今の若手は、自分たちで能動的にシステム構築プラットフォームを触り、実際に自分で1度か2度構築作業をやってみると、それでもう勘所が掴めてしまうというのが実態です。
そしてこのやり方で以前よりも圧倒的に早く、数日でご要望にお応えできるようになると、お客様にとても喜んでいただけて、若手社員はそれに強いやりがいを感じられます。
昔からの経験との組み合わせや埋め合わせというのではなく、新しい形に変化したと私は捉えています。」
高木氏はそう答えた。
「もう1つお聞かせください。私たちは『本番業務に画像認識・解析技術を用いて、継続的に価値を生み出し続けられているお客様はそんなに増えていないのではないか?』と現状認識しています。
そして原因として、『画像データを取り入れる人間で言えば「目」に当たるカメラの役割よりも、データを像として再構築し判断をして指令を出すという「脳」の役割にばかり我われはフォーカスし過ぎていたのではないか?』という仮説を立てています。
つまり、『AI』という脳が司るIT部分と同じくらい、『カメラ』という目が果たすオペレーション・テクノロジー(OT)部分が重要なのではないかということです。この辺り、実際のところはどうでしょう。お考えなどあればお聞かせください。」
村澤のこの質問への高木氏の答えが以下だ。
「弊社システム・ケイはこれまで30年間、映像のオペレーションであるOT部分をやってきた会社です。例えば『映像はすでに揃っている』とおっしゃられるお客様も、実際はその多くが『歯抜け』の映像データしか揃っていなかったり。そういった部分を保管するための映像撮影やデータ保存のノウハウなど、OTに関するナレッジはかなり蓄積されています。
ただ、そんな私たちに足りていなかったのは「AI分析モデルをどう作るか」というところでした。そこをIBM Maximo Visual Inspection(MVI)で補完しています。
そのように、これからは1社ですべて行うのではなく、強みを持った会社数社が集まり、一緒にやるようになっていくのではないでしょうか。」
対談の最後では、高木氏と村澤は、事業の一連のプロセスにしっかりと見る「目」と賢い「頭」を組み込むこと — つまりITとOTを統合して継続的に価値を生み出していくための取り組みこそが重要であることを確認した。
そのための仕組みとして、「SKVMS(システム・ケイ・ビデオ・マネージメント・システム)」が、カメラとAIがしっかりと組み合わされた、別システムやモバイルとの連携に強い画像識別診断システムであること。そしてそれを支えているのが、エッジコンピューティングとも連携したIT基盤「IBM Maximo製品群」であることが紹介された。
対談に続いて日本IBM AI Applications事業部の富田が登壇し、従来のAI画像認識システム構築と、IBM Maximo Visual Inspection(MVI)を用いたAI画像認識システム構築の違いが紹介された。
その違いを簡単に説明すれば、AI専門人材が不要であること、AI開発基盤が柔軟であること、そして開発を直感的なブラウザ操作で行えることだと言う。
そして価値創出に重要な「AI画像認識の本番業務適用」について、そのための仕掛けを3つ紹介した。
1. 開発したAIをエッジで実行: PoCで終わらせることなく、本番環境に簡単移
リアルタイムのデータ活用にはエッジ側でのAI画像認識の実行が必要。MVIで開発した画像認識AIは、モバイルを含むエッジ環境に展開でき、データ発生場所で実行することができる
2. エッジの撮影データを使ってAIを繰り返し学習: 循環的にAI精度を向上し続ける
「1度デプロイしたら終わり」ではなく、スマホアプリで撮影したデータをAI開発環境に自動アップロードして再学習させることで、AI精度を継続的に向上することができる
3. AI画像認識結果を設備保全業務に連携: 運用コスト低減
MVIで検出した結果を既存運用システムに連携可能。一例として設備保全業務に連携した場合、画像による異常発見から問題報告書の発行まで一気通貫型で実現できる
続いて活用事例として、IBM社内のサーバー組み立て工程における実用例(ソケット検知モデル作成による、エッジの画像認識装置による検査自動化)と、製薬会社におけるパッケージ不良の検査工程における実用例を紹介した。
そして最後に、「送電線設備不良検出」と「タイヤホイールのネジの不良検出」という、MVIを利用した画像認識AIの開発・検出と、MVI Mobileを利用した画像認識AIの検出のデモンストレーション動画を流し、MVIの使い勝手の良さを案内してセッションは終了した。
なお、当セッションは現在期間限定にてオンデマンド・セッションとして下記よりご覧いただけます(要登録)。
https://events.tools.ibm.com/widget/ibm/thinksummit/sessioncatalog?search=4147
関連ソリューション: IBM Maximo Visual Inspection
問い合わせ情報
お問い合わせやご相談は、Cognitibe Applications事業 cajp@jp.ibm.com にご連絡ください。
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(TEXT:八木橋パチ)
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