IBM Partner Ecosystem

パートナーへの信頼 | エコシステムは戦略そのもの (From IBVレポート「5つのトレンド 2024年」より)

記事をシェアする:

AI、チーム、データ、オペレーティングモデル、そしてパートナー。すべてに共通する重要な視点、それが「信頼」です。

組織のあらゆる側面において、信頼が重要であるという考えは、別段新しくはありません。しかし、ビジネスにおける重要な差別化要因は、これまで以上に「信頼」となってきています。2024年は、それを顕著に感じる年となるでしょう。

当記事では、IBMの提言「5つのトレンド 2024年」の中から、「パートナーへの信頼: エコシステムはもはや戦略の一部ではなく、戦略そのものである。」を中心に、一部抜粋してお届けします。全編は下記よりダウンロードしてください。
https://www.ibm.com/downloads/cas/A5GRJGZX

顧客エンゲージメントと価値創造において、エコシステムが中心的な存在となりつつある中で、信頼できるエコシステムを構築し、維持することは可能だろうか。


 

■ エコシステムは、顧客との信頼関係の構築の成否を分ける。

信頼は築くのに何年もかかるが、失うのは一瞬である。組織が意思決定を行う際、顧客体験がますます大きな意味を持つようになってきており、企業に対する信頼は、エコシステム全体で判断されてしまうようになった。

脆弱なパートナーが犯す顧客とのたった一度のやり取りの失敗やデータ流出で、信頼は簡単に破壊されてしまう。だからこそ、「信頼できる」エコシステムが競争上の優位性を獲得するために不可欠である。

 

2024年、エコシステムは個々の組織の寄せ集めから、1つの目標に向かって進む一体化された場に進化するだろう。

つまり目的を共有するバーチャルな集合体へ移行するのだ。すでに経営層の69%は、エコシステムに参加したことで業績が向上したと回答している。*1

また優秀な人材の重要性はこれまでにないほど高まっているが、経営層の65%がエコシステムを通じて、より適切で需要の高いスキルにアクセスできるようになったと回答している。*2

エコシステム・パートナーと共同でイノベーションを開発するために、共有・統合されたテクノロジー能力を活用していると答えた企業は、10社中3社に満たない。


 

■ オープン・イノベーションは収益成長と結び付いている

 

この進化したエコシステムの特徴は「オープン・イノベーション」である。オープン・イノベーションにより、エコシステムの参加企業は、人材、アイデア、リソース、テクノロジーなどを共有できるようになり、製品設計からアフター・サポートに至るまでの広大な領域で大きな飛躍を遂げられるようになる。

オープン・イノベーションを上手に活用している企業の収益成長率は、そうでない企業と比べ59%も高い。*3

一般的な大企業の収益の10%がオープン・イノベーションに由来していることから、この59%という数字は、非常に大きな意味を持つだろう。*4

 

しかしオープン・イノベーションを成功させるためには、前提として、エコシステム全体でデータを自由かつ安全に流通させなくてはならない。多くの企業はいまだに自社のデータ・ハウスを整えるのに苦労している。

エコシステム・パートナーも同様であり、統合は依然として課題というのが現状だ。実際、最高データ責任者の3人に1人が、パートナーと構成するエコシステムは複雑すぎると認めている。*5

エコシステムを、共通の目的を持ったバーチャルな集団として扱う。より大きなイノベーションを起こせる適切なパートナーが、そのエコシステム内に存在するかどうかを確認する。


 

■ アクション・ガイド

1. エコシステム内のデータを一元化し、パートナーシップを安全にすることで、コラボレーションを引き出し、拡大する

エンタープライズ・データ・ファブリックを導入して、データへのアクセスをシームレスなものに変え、エコシステム内での共有能力を強化する。データ・インフラを統合し、データのサイロ化を解消することで、エコシステム内のどこからでもデータにアクセスできるようにする。パートナー間のコミュニケーションやデータ共有の透明性を高め、共に成長してイノベーションを推進できるようにする。

 

2. 量よりも質を優先する

パートナーをレビューする際は、自社の目標、文化、戦略に現在も合致しているかどうかを基準とする。将来のパートナーについては、エコシステム全体に利益をもたらす強固な信頼関係を共に築くことができるかを評価する。パートナーに特に求められるのは、広範な能力やテクノロジーへのアクセスを提供してくれることである。

 

3. 変革のための足掛かりとして、エコシステムを活用する

イノベーションに必要なスキルを特定して、エコシステム内の適切な人材とどのように連携するかを決める。オープンな標準に基づき安全なデータ共有を実現させ、エコシステム内でのコラボレーションと信頼を醸成する。

エコシステムはもはや戦略の一部ではなく、戦略そのものである。


 

■ 2024年は信頼を組織全体に行きわたらせる年である

従業員、ステークホルダー、顧客、エコシステム・パートナーとの間の信頼の構築と維持を重視することは、明日ではなく今日において、取り組むべき戦略である。

人間の判断に含まれるきめ細やかな配慮が、ディープ・テックとのバランスを取り、足りない点を補完している。だからこそ信頼こそが重要であり、それは今日のビジネスにとっての貴重な資産なのである。

 

*1 Goldstein, Jill, Bill Lobig, Cathy Fillare, and Christopher Nowak. Augmented work for an automated, AI-driven world: Boost performance with human-machine partnerships. IBM Institute for Business Value. August 2023. 邦訳「自動化とAIが導く「拡張労働力」の世界 – 人と機械のベストマッチで競争優位を呼び込む -」
https://www.ibm.com/thought-leadership/institute-business-value/jp-ja/report/augmented-workforce

*2 同上
*3 Palmer, Kirsten, Jacob Dencik, PhD, and Lisa Fisher. Ecosystems and open innovation: Co-create or stagnate. IBM Institute for Business Value and APQC. October 2023.
https://ibm.co/ecosystems-open-innovation

*4 同上
*5 Turning data into value: How top Chief Data Officers deliver outsize results while spending less. The Global C-suite Study Series. 27th Edition. IBM Institute for Business Value. March 2023. 邦訳 「2023 CDO Study:データから価値を創造する」
https://www.ibm.com/thought-leadership/institute-business-value/jp-ja/c-suite-study/cdo


 

この記事を読んだあなたへのおすすめ

キー・パートナーに訊く | 「Innovation Studio 東京への期待」伊藤瑞穂(株式会社イグアス)

枠を超えた共創の触媒に | 新装IBM Innovation Studio 東京が目指す先

キー・パートナーに訊く | 江澤美保(株式会社クレスコ)

More IBM Partner Ecosystem stories

「みんなみんなみんな、咲け」ローランズ代表 福寿満希さん 講演&トークセッション(前編)[PwDA+クロス11]

IBM Partner Ecosystem

日本IBMは、毎年12月初旬の障害者基本法による障害者週間に重ねて、「PwDA+ウィーク」を開催しています(「PwDA+」は「People with Diverse Abilities Plus Ally(多様な能力を持 ...続きを読む


新しい社会経済の在り方を考え、真の社会課題解決を実現するビジネス構築ワークショップ

IBM Partner Ecosystem

「あらゆるビジネスは、なんらかの課題を解決するために存在している」——。誰しも一度くらい、この言葉を聞いたことがあるだろう。 だが一切の留保なしで、この言葉を掛け値なしに信じることができる人は、一体どれくらいいるだろうか ...続きを読む


職場で小さな変化を起こすヒント | 日本IBMのLGBTQ+への取り組み(後編)

IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software

先日、産業保健に関する日本最大の学術団体「公益社団法人日本産業衛生学会(JSOH)」主催の全国協議会にて、日本IBMの川田 篤が「LGBTQ+について勉強して終わり? 職場で小さな変化を起こすヒント」と題した教育講演を行 ...続きを読む