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TRP2024ボランティアリーダーふりかえり座談会(前編)

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まず、この短い動画を見ていただきたい。

なによりも、たくさんの笑顔が印象に残るのではないだろうか?

 

規模拡大を続け、今年は2日間で延べ27万人を動員したという東京レインボープライド(TRP)2024。そのTRPと足並みを揃えるように、10年以上前から参加を続けている日本IBMも、今年は200人の社員やその家族、パートナーや友人たちが、そのメインイベントのひとつであるプライドパレードに参加した。

そして日本IBMのTRP出展ブースへの来場者も開催2日間を通じて途切れることはなく、「社会を変えるための行動宣言」をしていただいた方に差し上げていたカラフルなハチたちが描かれた特製タトゥーシールも、用意した数千枚が早々になくなってしまうほどの盛況ぶりだった。

今回、IBM LGBTQ+コミュニティーのメンバーであり、TRP2024参加をリードしてくれたボランティア・リーダー3人に、成功の裏側について話を伺った。


<もくじ>
前編

  1. TRPボランティアとしての関わり
  2. LGBTQ+アライコミュニティー参加のきっかけ

後編

  • ハッピーではないマイノリティーがたくさんいるのに…
  • 本当に伝えたいことはその先にある
  • こんなに熱い気持ちを持たれている方ならきっと…
  • TRPでの体験が次へのアクションに

(写真左) 吉田 さと美(ヨシダ サトミ) | IBM Japan – Project Manager, CIO IBM Financing IT Japan
(写真中央) 湊 陽介(ミナト ヨウスケ) | IBM Japan Digital Service Company – Senior Project Manager
(写真右) 今野 桃衣(コンノ モモエ) | IBM Japan – Associate Security Software Sales
インタビューはTRP2024が終了してほぼひと月が経った2024年5月17日に実施。

 

——TRP2024には皆さんどのような関わり方をされたのでしょうか? 率直な感想と併せて教えてください。

湊: 僕はTRP2024の日本IBMの参加を広く紹介する動画制作チームのボランティアリーダーをやらせてもらいました(当記事冒頭参照)。

僕にとっては初めてのTRP参加だったんですが、あんなふうに渋谷が一日中盛り上がっている姿を目にするのはとても嬉しかったですね。さまざまなブースを見て回る人たちも、そして取材に来られているメディアの方たちも、とてもたくさんの人がみんな幸せそうな顔つきをしていて。

とくに、パレードに参加されている方たちと沿道の方たちが、「ハッピープライド!」と笑顔でハイタッチを交わしながら歩いていく姿にはジーンときました。

 

今野: 私は去年に続いて2回目のTRP参加だったのですが、今年は展示ブースチームのリーダーをやらせていただきました。

ただ一口に展示ブースと言っても、設営・撤収作業の準備や段取り、展示内容やお立ち寄りいただいた方へのプレゼントの企画・準備など、やることは多岐にわたっていましたね。私自身、やりたいことがたくさんあって、途中で少し一杯いっぱいになっちゃうところもありましたけれど、でも展示そのものは納得いくものに仕上がったので達成感を感じています。もちろん、「もっとこうしたかった」という部分もいくつかはありますけどね。でも、充実した時間でした。

 

吉田: 私も去年は「パレード参加者のひとり」で、ボランティアとして関わったのは今年が初めてでした。

あいにく、TRP2024本番の日程とどうしても重なってしまう用事があり、当日は参加できないことは分かっていたので、本番に向けてのさまざまな準備を支援するよう、PMO(プログラム・マネジメント・オフィス)的な役割で今回はボランティア参加しました。

 

——TRP2024の参加母体であるLGBTQ+アライコミュニティーには、どんなきっかけで参加されるようになったんですか?

吉田: 私の参加動機は実はちょっと不純なんです(笑)。もともとUSのニューロダイバーシティー*1のコミュニティーに参加していて、そこでスキルや知識・経験を証明するバッジを取得しようとしたところ、「2つ以上のBRG*2プログラムに参加していること」という条件があったんです。

それで、LGBTQ+アライコミュニティーのリーダー川田さんのことは以前から知っていたし、同じ部門で熱心にアライとして活動している同僚もいて、彼らから「楽しいから一緒に活動しようよ!」って声かけしてもらったんです。それをきっかけにLGBTQ+アライとなって、毎月のアライラウンジ*3にも参加するようになりました。

去年のTRPのレインボー・パレードも、コミュニティーに誘ってくれた2人の同僚に「行こうよ。絶対に楽しいから」って言われて初参加しました。

「吉田さんは初参加だから、沿道側に並んでね」って言われて、「一体どんな感じなんだろう?」って思っていたんですけど、実際に始まったら、さっき湊さんが言われていたように、沿道の人たちに笑顔でハイタッチを求められて…「ああ、こういうことか!」って。こんなにすてきな体験ができるのかって、感動しましたね。

レインボー・パレードに参加したIBM社員と仲間たち

 

——それは大事なアドバイスですね、ナイス同僚! 湊さんはどんなきっかけで?

湊: 僕は、大学生時代からダイバーシティー&インクルージョン(D&I)関連の活動を行なっていたんです。

きっかけは、あるアメリカの有名な起業家が「企業の成長戦略として当社もこれからD&I活動を行う」という発信をしていて、僕はもともとちょっと反骨精神が強いこともあって、「D&I活動を成長戦略のために行うっていうのは、ちょっと違いやしないか?」と思ったんですね。でも、少なくとも僕の周囲の社会人たちは皆「特に違和感はない」って…。

そんなことから、民族や性別を理由にマイノリティが不当に扱われ、不利益を被る立場のままである社会構造についてもっと理解を深めたいと思い、アメリカの黒人解放運動や人権関係について勉強をするようになりました。

それで大学卒業前の2018年に、「ダイバーシティ・ウイーク」という大学のイベントの企画に参与することになって、そこで日本IBMでD&Iに関する活動をされている方たち4名をお招きし、パネルトークイベントを行ったりしていました。

そして翌年、現在のIJDS(IBM Japan Digital Services Company。日本IBMの100%出資会社)に入社しました。…実は、日本IBMの新卒採用に応募するつもりだったんですけれど、ちょっと油断していたら募集期間が終わっていて…それで大慌て探したところ、IBMグループ企業のIJDSに無事採用していただき、今ここで皆さんと活動できているという…。そんなちょっと変わった経緯があります(笑) 。

 

——それでは、入社後はすぐにLGBTQ+アライ宣言*4をして、活動を始められたんですか?

湊: アライ宣言は早いタイミングで行いました。そして時間が取れるときは「アライラウンジ」にも参加していたんですけど、業務が忙しく、本格的な活動には関与できないまま時間が過ぎていきました。

でも今年、「忙しさを言い訳にしていたらいつまで経ってもきっと参加できない。そしてそれは変化のための行動を自ら起こそうとしていないということだ」と奮起して、思い切ってボランティアに立候補したんです。

 

今野: 私も湊さんに似たところがあります。私が日本IBMに入社したのは、LGBTQフレンドリー企業を紹介するウェブサービスがあって、そこに日本IBMが登録されていたことが応募のきっかけでした。

大学時代、副専攻でジェンダー研究をしていて、卒業して社会人になってもそれは続けようと思っていました。IBMならそれができそうだというのが入社理由ですね。

だから昨年、入社後4日目くらいにLGBTQ+アライの案内が来たときには、すぐに宣言をしてコミュニティーメンバーになりました。

ただ、私はTRP自体にはもともと懐疑的だったんです。だから、ボランティアとしての参加はちょっと躊躇していました…。

 


今野さんから飛び出した「1年前までTRP懐疑派だった」発言に緊張感が走る対談会場…。はたしてその真意は…?!

後編もお楽しみに!

*1 「ニューロダイバーシティー」とは、脳や神経に由来する個人の特性や違いを「個性」と捉える概念のこと。「神経多様性」や「脳の多様性」と訳されることが多い。

*2 「BRG」は「Business Resource Group」の略で、組織の中で共通する特性や価値観を持つ従業員が主体となって運営される組織。LGBTQもそれらの1つ。ERG(Employee Resource Group)とも。

*3 「アライ・ラウンジ」は、日本IBMや関連企業の社員が集まりLGBTQ関連のさまざまなトピックについて自由に語り合うランチ・ミーティング。原則、毎月第一金曜に開催。

*4 「アライ宣言」とは、当事者たちに共感し支援することを宣言する日本IBM社内の取り組み。

 

 

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TEXT 八木橋パチ

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