IBM Sustainability Software
企業のサステナブル変革に必要な5つの主要領域
2023年02月07日
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近年の政治的、気候的な出来事が、調達、供給、コストのあらゆる面からエネルギー問題を複雑化させています。
とりわけヨーロッパでは、すべての国、産業、業態、社会が大きな影響を受けており、欧州委員会からの報告要請とも相まってエネルギーの持続的な節約・確保、および再生可能エネルギーへの移行が急務となっています。
一方でこのエネルギー危機は、持続可能な社会を実現するための長期的な取り組みを後押しするものでもあります。
以前は、多くの経営陣が「収益性追求と環境保全は相反するもの」という考え方を持っていました。しかし現在では、「サステナビリティーへの取り組みは、組織全体を通じて価値とイノベーションを引き出す」ということが多くの調査により証明されており、持続可能性を高めるための活動と株価や業績の間にポジティブな相関関係があることが示されています。
最近のIBM Institute for Business Valueの調査『CEOスタディ 2022「変革を起こす覚悟 ~トップ主導のSXが企業価値を向上させる~」』では、CEOの83%が、サステナビリティーへの投資によって今後5年間に業績が改善されるだろうと予想しています。
省エネ、セキュリティー、法規制遵守、コスト削減、そして持続可能性という、企業が避けることのできないチャレンジに取り組むには、組織全体のビジネスプロセスの見直しと、それを可能とする技術的ソリューションが必要です。
ここからは、ITとOT(オペレーション・テクノロジー)の役員や管理者が検討すべき、サステナブル変革に必要な5つの主要領域を確認していきましょう。
1. 設備資産管理システム
統合設備管理システムは、ライフサイクル全体を通じて設備資産を一元管理し、ビジネスが環境に与える影響を最小化するのに役立ちます。
予知保全と状態監視によって資産を延命する他、より正確な交換計画が策定できるようになることでメンテナンス回数や本来不要な部品交換を減らします。それに伴い、技術者の訪問回数を減少させられるので使用エネルギーを節約することができます。
統合ワークプレイス管理システム(IWMS)は、企業の不動産と施設管理業務に持続可能性の組み込みを支援するソフトウェアです。
IWMSは、環境マネジメントシステムに関する国際規格群「ISO14000」を活用し、建設や改修プロジェクトなどの指針作成や管理基準に役立たせるだけではなく、スペースの使用効率やリースなどの業務に落とし込み、エネルギー管理・運用コストを削減します。
また、メンテナンスの評価・計画の改善を通じて資産を長寿命化し、カーボンフットプリント削減に貢献します。
参考 | インテリジェント・アセット・マネジメント戦略が必要な6つの理由
2. IT | インフラとコード
2019年以降、世界のデータセンターの電力容量は43%増加しています。今後、企業のエネルギー使用量の大部分をデータセンターが占めるという予測もあり、環境的に持続可能な「コンピューティング全般(サーバー、ストレージ、ネットワーク、データベース、コードなど)がより一層重要となるでしょう。
ハイブリッドクラウドは、グリーンITを実現する重要な要素であり、クラウド環境全体における可視化、統合、機能拡張を促進するものです。そして従来の仮想マシン環境ではなく、コンテナプラットフォームでワークロードを実行することにより、エネルギー効率向上ともあいまって年間インフラコストを75%削減できます。
そして最新のサーバーは、同様の条件のx86サーバーと比較して、エネルギー消費を最大75%、設置面積を50%、CO2eフットプリントを年間850メトリック・トン以上削減することができます。
コードの選択も重要です。実行するワークロードに対し適切なプログラミング言語とコードを用いることで、コンピューティングパワーを削減し、エネルギー使用量を減らすことができます。あるプログラミング言語から別の言語に切り替えることで、アプリケーションのエネルギー消費量が最大50%削減されることもあります。
3. 持続可能なサプライチェーンと循環型社会
インテリジェントなワークフローと自動化により、企業は廃棄物削減と循環性向上を実現できます。
より効率的な出荷や配送方法・ルートを確立し、物流の可視性を高めることで、配送コストと倉庫スペース、そして二酸化炭素排出量を削減することができます。そしてまた、サプライチェーン上のどこが二酸化炭素排出のカギを握っているのかを明らかにすることもできます。
インテリジェントな注文管理ソリューションを導入することで、同一梱包の推奨や機会拡大により出荷をより少ないパッケージにまとめることができ、出荷による廃棄物などの環境負荷とコストを同時に削減します。
カーボンアカウンティング・システムと連動させオンライン・ショッピングの利用者に表示することで、持続可能性と顧客満足度を同時に向上させることができます。消費者の80%がサステナビリティーを重要視しており、60%は環境への影響を鑑みて購買習慣を変化させる意思を持っているのです。
持続可能なサプライチェーンの取り組みと開示は、顧客ロイヤリティを向上させます。
参考 | サプライチェーン・サステナビリティーをトリプルボトムラインから見直す
4. 持続可能なエネルギー源への移行
持続可能な企業になるためには、組織のあらゆる領域を網羅する厳密な戦略とロードマップが必要です。ESGレポート、ファイナンスや気候変動リスクの評価と適応計画、責任あるコンピューティングとグリーンIT、循環型サプライチェーン、脱炭素とクリーンエネルギーへの移行、これらすべてが考慮されていなければなりません。
脱炭素とクリーンエネルギーへの移行だけを取り上げても、さまざまな要因を有しています。
分散型エネルギーとグリッドレジリエンス、代替燃料と排出、柔軟性のあるエネルギーシステム、モバイルエネルギー、低炭素顧客など、多くの検討すべき分野が挙げられます。
低炭素物理インフラへの移行、低炭素エネルギー市場への参入、EVプラットフォーム導入、消費者向け製品・サービスのデジタル化などは、ビジネス戦略としてすでに実行フェーズに入っていると言えるでしょう。
これらをすべて自力で実行できる企業は存在しません。すでにこうした取り組みで実績を持ち、ノウハウを共有しながらビジネス戦略を共同作成できる、価値共創パートナーの存在が重要です。
広範なパートナー・エコシステムを作りだし、それを活用しながらネットゼロのゴールへと進みましょう。
5. ESGとリスク管理
サステナブル変革の取り組みを科学的に証明し、確かなものとして開示するには、金融機関レベルの監査可能なESGデータとサステナビリティー・データを提供する、単一記録システムのESGプラットフォームが必要です。
ESGプラットフォームを用いることで、エネルギー請求書や電力量計、再生可能エネルギー機器から取得したデータを元に、組織全体のエネルギー需要、消費、排出を効率的に監視することができます。
また、詳細な気象情報や設備資産管理システムからのデータを取り込み組み合わせることで、独自の分析やベンチマーキングの実行のほか、より詳細な予測的洞察力の向上が可能です。
プラットフォームを効果的に活用することで、企業は適切なタイミングで適切な行動を取ることができるようになり、企業リスクと災害による財務的・環境的影響を軽減することができます。もちろん、規制当局の報告義務強化にも対応します。
参考 | IBM、カーボンマネジメント・ソフトウェアの最優秀リーダーと評価される
50年以上にわたるサステナビリティーへのコミットメント
IBMは1971年に世界で最初に環境ポリシーを発表した企業の1社であると言われており、サステナビリティーにおけるイノベーションを自社内で実現し体現し続きてきた企業です。ですから、顧客への提言も、50年以上にわたり環境と社会にコミットメントしてきた自分たちの先例を示しながらお伝えしています。
私たちは「環境の持続可能性に関する21の目標」を掲げており、「2030年までに、温室効果ガスの排出量をネットゼロに」、「2025年までに、非有害廃棄物の90%を埋立と焼却処分以外の方法へ転換」などがそこには含まれています(詳細はESGレポート「IBM Impact」にてご確認いただけます)。
IBMは自社のESG目標の達成だけではなく、環境正義を具体化するために、世界中の重要なサステナビリティー・イニシアチブへの大掛かりな投資を行っています。
具体的には、国連開発プログラム、Sustainable Energy for All、Net Zero Atlantic、宮古島市、Environment Without Borders Foundationの取り組みを支援する「IBM サステナビリティー・アクセラレーター」や、気候変動に立ち向かうソリューションやコミュニティーをサポートする「Call for Code」などがあります。
参考 | 2023年を「加速」の年に | サステナビリティーとESG
参考 | IBMとDavid Clark Cause、食品廃棄物の削減を目指し、第5回となるCall for Codeの最優秀賞にAIを活用したガーデニング・アプリを選出
パートナーに必要なのは、実証された手法と包括的なソリューション
IBMは、業界をリードするテクノロジーと包括的かつ成長中のポートフォリオ、そしてコンサルティング能力とデータ主導のイノベーションにより、お客様が増え続けるESG情報開示や規制コンプライアンスに対応しながら、持続的にエネルギーを節約し、コスト効率を追求しながら環境サステナビリティーの取り組みを全社的に運用できるよう支援します。
お客様の信頼できるパートナーとして、新たな機会と価値の創出にお客様と共に取り組んでいきます。
当記事は『Save energy, decarbonize and transition to renewables while operationalizing sustainability』を編集したものです。
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