Client Engineering

企業の垣根を越えて:生成AI活用アイデアソンをトヨタファイナンス様とIBMが共同開催

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写真右: 梅原明氏 (ウメハラ アキラ) トヨタファイナンス株式会社 IT本部 CIO
写真左: 松原由高氏 (マツバラ ヨシタカ) トヨタファイナンス株式会社 IT本部 イノベーション開発部 部長

 

トヨタファイナンス株式会社IT本部イノベーション開発部部長の松原様の呼びかけにより4社のITベンダーが参加した生成AIアイデアソンが10月7日に開催し、成功裏に幕を閉じました。

 

~トヨタファイナンス株式会社 IT本部 イノベーション開発部 部長 松原様よりアイデアソン開催前にいただいた意気込みコメント~

「生成AIを有効に活用していく上では、アイデアをより多く集めたうえで素早く検証し良質なものを選んでいくことが重要だと思っていたので、アイデアソンという形で社内に閉じず社外の様々な知見を持った方でお集まりいただき意見交換をさせていただくことは非常に価値がある取り組みだと思っていました。また、私個人としてもいろいろな方の考えに触れることで新たな気付きや刺激をいただけるのではないかと思い非常に楽しみにしていました」

 

ここからは、アイデアソンの実施概要と当日の取り組みについてご紹介します。

 

・アイデアソンの目的&背景

IBMのClient Engineering(CE)チームとCustomer Success Manager(CSM)チームは、2024年の1月にトヨタファイナンス様が生成AIが活用できるSaaSライセンスをご購入いただいて以来、トヨタファイナンス様と共に生成AIの活用を推進して参りました。

トヨタファイナンス様では、生成AIを活用する領域として、業務の大部分を占めるコールセンターオペレーションの効率化に着目しました。

 進化のスピードが早い生成AIを用いて業務効果を導き出していくためには、短期間で多くの良質なユースケースアイデアを創出し、迅速に検証を進めることが必要です。

そのためには、生成AIの知見をもった技術者やトヨタファイナンス様のコールセンターを支える様々なステークホルダーの意見を取り入れることが重要となります。 別々の専門知識を持つメンバー間の闊達な議論を促進し、新たなユースケースアイデアを創出する場としてアイデアソンを開催することになりました。

 

・開催レポート

ここからは、アイデアソンで実施した内容を一つずつ紹介して参ります。

以下、アイデアソンの大まかな流れです。


・アイスブレイク

良質なアウトプットを出すためには発言のしやすい空気作りが重要なことから、まずは雰囲気作りのためのアイスブレイクから始めました。

アイスブレイクには今回のアイデアソンの主要技術となる生成AIを用いて進めました。


・課題詳細ヒアリング

当日はトヨタファイナンス様のコールセンター業務部門より社員を3名お招きし、現状や業務の詳細について共有いただきました。各チームでもヒアリングを行い、課題や現状について正しく理解する時間を設けました。


・アイデア出し&アイデアの絞り込み

アイデア出しとアイデアの絞り込みでは、ディスカッションのサポートを担当していたIBMのデザイナーが、 ユーザー体験の視点でどのようにアイデアを出せば良いか、また、実業務への実現可能性やインパクトも含めたアイデアの整理方法をアドバイスしつつ進めました。


・To-Beシナリオ検討&Wizard of Oz

次に、選定したアイデアがユーザーの一連の行動をどのように変えるかを表すTo-Beシナリオを作成しました。To-Beシナリオの検討では、選定したアイデアを「ステップ」、「利用ツール」、「データ」などを軸にシナリオをまとめました。

例: 社内データベースの製品説明資料から製品Aの機能をまとめる場合

「ステップ」→ コールセンターで電話を受ける時
「利用ツール」→ マニュアルデータベース
「データ」→ 製品Aに関するマニュアル
「生成AI活用ポイント」→ 製品マニュアルを全て読み込むのではなく、欲しい情報だけを生成AIがまとめてくれる

To-Beシナリオ検討後はWizard of Ozというアクティビティを実施しました。

Wizard of Oz とは人がシステムの役割を演じて、実際のシステムがどのように動くかをデモンストレーションしてみるアクティビティのことです。

アイデアソンはハッカソンと違い、動くシステムがないため、アイデアだけでは活用方法をなかなかイメージ出来ないことがありますが、Wizard of Ozを行うことで、ユーザーの体験を実システムを作らずとも具体的にイメージすることが可能になります。


・最終発表

ここまで、課題の詳細確認 ~ アイデア出し ~ To-Beシナリオ検討~Wizard of Ozという形でアクティビティを進めてきました。最終発表では、それぞれのアクティビティでブラッシュアップしてきたアイデアやシナリオを一枚にまとめ、各チームが発表に臨みました。

以下は最終発表の様子です。


・審査&結果発表

トヨタファイナンス様の取締役をはじめとした5名の方とIBM戸倉が審査員を務める形で厳正に審査を行い、結果を発表しました。

 

審査員の方々

トヨタファイナンス 取締役 最高バリューチェーン責任者 村上様

トヨタファイナンス IT本部 CIO 梅原様

トヨタファイナンス IT本部 イノベーション開発部 部長 松原様

トヨタファイナンス CE企画部 CE企画グループ GM 堀江様

トヨタファイナンス 総合企画部 経営管理グループ GM 水野様

日本IBMテクノロジー事業本部 カスタマーサクセス部長 戸倉彩

 

各社の点数がかなり拮抗していたため、審査員によって上位2企業から多数決方式で最優秀審査員賞を選出いたしました。

 

以上、ここまでがアイデアソン開催の詳細になります。

 

・トヨタファイナンス松原部長による参加者へのコメント

皆様、先日は弊社のアイデアソンにご参加いただきましてありがとうございました。​
各社様とも、弊社の業務課題に対して非常に強く当事者意識を持っていただき、弊社のメンバーから非常に熱心にヒアリングをして活発なディスカッションをしていただいたことがとしても印象的でした。弊社のメンバーも普段では思いつかない意見も聞くことができて良い刺激になったと言っていました。今回のアイデアの種をしっかり育てて磨いて何としても業務での実用につなげたいと思います!

 

・日本IBM戸倉による参加者へのコメント

今回のアイデアソンで、参加者の皆さんによる積極的かつ熱心なディスカッションが展開され、その真剣な姿勢が印象的でした。これからの共創によってプロジェクトが実現することで、新たな成果を生むことに大きな期待を寄せています。


 

■ アイデアソン実施結果

アイデアソンで出た各アイデアは実業務にも活用可能なアイデアの芽がいくつもありました。アイデアソンで出たアイデアをそのまま活用する形や、アイデアの一部を活用する形など、さまざまな形で業務活用に向けて構築を進めております。

 

■ 今後の展望

これまでトヨタファイナンス様へはIBMの張、小島、高田、田中をはじめとしたClient Engineering(CE)チーム、そして佐藤、釜谷、上原、李をはじめとしたCustomer Success Manager(CSM)チームが支援してきました。

各参加企業、IBM、そしてトヨタファイナンス様との共創活動を進めることで、今後更にトヨタファイナンス様の生成AI活用を加速して参ります。アイデアソンで決定したアイデアのPoVの状況や、他で並行推進している生成AI活用については今後、事例として発信していきます。

 

■ 今回のアイデアソン中心メンバー

写真左から
トヨタファイナンス 取締役 最高バリューチェーン責任者 村上様
IBM CSM佐藤
IBM CSM李
IBM CE張
トヨタファイナンス IT本部 CIO 梅原様
トヨタファイナンス IT本部 イノベーション開発部 部長 松原様
IBM CSM釜谷
IBM CE高田

 

■ 写真ギャラリー

 

 

 

 

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