IBM Sustainability Software
Envizi担当 富井さんに聞いてみた
2023年08月16日
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IBMの社内ニュースレターの人気連載「Envizi担当 富井さんに聞いてみた」。
「お客様にもご紹介したいので、社外にも公開して欲しい」という声にお応えして、ソリューションブログでも公開させていただきます。
——ESG債(気候変動関連)国内発行残高が5兆円に達し、政府も「企業の脱炭素への移行をこれまで以上に後押しをする見込み」という報道が先日ありました。
ESGデータ・プラットフォーム「IBM Envizi ESG Suite」担当スペシャリストの富井さんから見て、これはEnviziにとってどんな意味を持っているのでしょうか?
IBM Enviziに代表される「環境データ」活用テクノロジーがさらに求められるようになると考えています。
企業は、規制、経済、社会など多くの面から脱炭素化への取り組みとその進捗状況の開示を求められています。製品やサービスの品質、コスト、納期といった、いわゆるQCDに加えてサステナビリティーの観点が追加され、業務の複雑性が増しています。
現在、Excelなどを使ってマニュアルな方法でESGデータを管理されている企業は、開示請求やカーボンプライシング*に求められる正確性と適時性に耐えうるものかどうか、改めて考えていただく必要があります。
私たちはお客様の課題を把握し、Enviziに代表されるテクノロジーを活用してその解決に努めます。
*カーボンプライシングとは、CO2排出を抑制するために炭素(二酸化炭素=CO2)などの温室効果ガスに価格を付け(プライシング)、排出者の行動を変容させる仕組み。
——20兆円に及ぶGX経済移行債や、カーボンプライシング導入など、政府の「GX推進法(脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律)」の施行が決定しました。これはIBM Enviziにとってどんな意味を持っているのでしょうか?
IBM Enviziが求められる土壌ができ上がってきたという印象を持っています。
GX推進法は、カーボンニュートラルへ向けた脱炭素化への取り組みを加速させる目的を持ちます。カーボンプライシングもその取り組みの中のひとつです。
炭素税やキャップアンドトレード*などの排出量取引、オフセット証書などのクレジット取引、企業内の投資判断としてGHG排出量に注目するインターナルカーボンプライシングなど多様な取り組みがありますが、どの形態においても企業内におけるGHG排出量をタイムリーかつ正確に管理できていることが欠かせません。
さらに、脱炭素化における企業の目標値を設定していることや、企業独自の脱炭素化施策を考案し取り組むことが前提として必要です。
Enviziでは企業の拠点単位における目標値設定からデータの収集・分析、脱炭素化施策の定義/管理、そしてESGレポートの作成まで、1つのプラットフォーム上で行うことができます。
データ登録はお客様の状況を鑑みながら最大限の自動化をサポートし、正確で適時なデータが常に利用できる状態を目指します。GX推進法がにらむカーボンニュートラルに向けた取り組みに欠かせないツールであり、今後さらにその重要性が増すと考えています。
*キャップ・アンド・トレード(排出権取引制度)とは、温室効果ガスである二酸化炭素の排出量取引制度の一つで、企業に排出量の上限(キャップ)を設け、余剰排出量や不足排出量を売買する仕組み。
——IBM Enviziにおけるモジュールとは一体何ですか?
IBM Enviziのモジュールは、特定の目的を持った9つの機能群を指します。[排出量管理][ESGレポート作成][脱炭素化]の3つの目的にそれぞれ3つ、計9つのモジュールが存在します。
[排出量管理]には、Scope1と2の排出量を収集・計算・管理するモジュール、Scope3の排出量を収集・計算・管理するモジュール、そして企業のあらゆるレベルで目標値を設定しその進捗を把握するモジュールがあります。
[開示レポート作成]には、ESG外部フレームワークに沿ったレポートの作成と作成進捗管理を行うモジュール、GRESB(グレスビー: Global Real Estate Sustainability Benchmark)やNABERS(National Australian Built Environment. Rating System: オーストラリア建築環境格付け制度)といった企業施設の評価をベンチマークするモジュール、サプライヤーからバリューチェーンに関わる情報をサーベイを通して収集するモジュールがあります。
[脱炭素化]には、水道やガスといった公益設備の費用や使用量の異常値を発見したり、管理対象の施設におけるベンチマークを行うことができるモジュール、企業設備に搭載されている15分や30分値などの時間的粒度の細かいメーターデータを収集・分析するモジュール、そして企業の脱炭素化に向けたアクションを定義・管理し、効果分析やシナリオ分析を行うことができるモジュールが存在します。
——モジュールのメリットは何ですか?
機能が目的別に分かれているので、お客様の課題や目的にあったモジュールを選んでいただけることです。また、段階的に利用するモジュールを追加していただくことで、お客様の企業戦略に沿って無理のない脱炭素化へ向けた取り組みをサポートすることができます。
追加モジュールを購入することで、お使いのEnvizi環境で新しい機能を利用することができるこの高い拡張性がEnviziの特徴の一つでもあります。
——IBM Enviziのモジュール選択の考え方を教えてください。
IBM Enviziのモジュールにはいくつかの従属関係がありますが、基本的にはサステナビリティにおけるお客様の課題や目標に対応するモジュールを選択いただきます。下記にEnviziの提供モジュール一覧を記載しました。
左の列が排出量管理、真ん中の列が開示レポート作成、右の列が脱炭素化に利用されるモジュールとなります。左側のモジュールから右側のモジュールへ段階的に拡張していくことが理想的な脱炭素へ向けた取り組みと考えています。
また、Scope1&2モジュール、Scope3のモジュール、請求書データ分析、メーター分析の中から、少なくともどれか1つは選択する必要があります。これらのモジュールが1つも含まれていないとEnviziにデータを収集することができないからです。
—— IBM Enviziには豊富なモジュールが用意されていますが、モジュール選択におけるユーザー事例はありますか?
段階的なモジュール選択を行い、脱炭素化や業務の効率化を遂行したお客様事例をご紹介します。
The GPT Group社は段階的なモジュールの拡大を行うことで、企業のネットゼロ実現ステップに沿った理想的なEnviziの活用を行っているお客様です。
2011年からEnviziを利用しているこちらのお客様は、まずはScope1と2のデータを管理するモジュールと目標値設定を行うことができるモジュールを導入いたしました。その後、段階的に利用機能を増やしていき、脱炭素化モジュールの導入も行うことで、2021年には2005年比でGHG排出量を82%削減、エネルギーや水などの費用の年間2000万ドル削減を実現しています。
参考 | [事例] 世界有数のESG企業GPTグループのパートナーとして
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